2016年12月28日

『流しの公務員の冒険: 霞が関から現場への旅』


 山田 朝夫 著 時事通信社(2016/10)

  序章 「自分の仕事」をつくる
 第1章 病院再生(動かす / 巻き込む / 創り上げる)
 第2章 霞が関の憂鬱
 第3章 流しの公務員の誕生
 第4章 トイレを磨く
  終章 流しの公務員「仕事の流儀」

 私にとって2016年最高の一冊でした。所々に傍線を引いてしまい、何度も何度もうなずかされ、感動の涙すら誘う、組織の中にあって組織に拘束されない「自分の仕事」の実践記録。カバー写真には、作業着を着てトイレを磨いている著者の、素敵な笑顔が写っています。

 1961年生まれの著者は、1986年に東大法学部を経て当時の自治省に入省。鹿児島県庁、衆議院法制局、自治省選挙課、大分県庁の課長、自治大学校教授を経て、1997年に大分県久住町に赴任。キャリア官僚で初めて町役場の一般職員になり、以後、地方自治体を渡り歩く「流しの公務員」を自称します。

 2015年に愛知県常滑市の副市長を退き、現在は同県安城市の八千代病院の理事兼法人事務部長を務めていますが、本書の半分近い分量を占める第1章は、流しの公務員最後の赴任地での、常滑市民病院再生の壮大な物語がつづられています。累積赤字を抱え「死人病院」とまで揶揄された市民病院を、市民や病院職員の参画による100人会議を立ち上げ、関係者を当事者に巻き込む手法により、劇的な経営改善と新病院建設を果たします。

 第2章〜第4章は、法案作成の激務を担った霞が関の行政官から、地方行政の現場に入り、ワークショップの手法で地域の人々を巻き込み、潜在力を引き出しながら課題を解決していった「流しの公務員の誕生」の物語が、失敗経験の振り返りも含めて語られます。

 終章は、現場に根ざした「仕事の流儀」のまとめ。琴線にふれるフレーズが満載です。 “問題解決で大事なのは「本質=真の原因」に迫ることです。” “現場に入り込んで、自分の体で感じることが必要です。” “人の心を動かすのは「戦略の正しさ」ではない。「ゴール」のイメージとそこに至る「物語」です。” “リーダーの一番の仕事は「こうやれ、ああやれ」と命令する事ではなく、「場を整える」ことだと私は思います。…コーヒーを用意する。朝早く来て部屋に掃除機をかける。会議の準備で一緒にホッチキス止めをやる。これらはみな「場」を整える作業です。”

 非営利の公的セクターであり、立場の違う関係者が複雑に絡み合うという点でも、地方行政と大学運営の現場は共通する点は多く、FMICS人には本書から大きな示唆が得られること、間違いありません。
(出光 直樹)

【追記】Youtubeに、本書で登場する場面の動画がありました!

常滑市民病院竣工式 いきものがかり「風が吹いている」合唱 <本書p138〜144>


山田朝夫常滑市副市長 退任セレモニー@ <本書p290>


山田朝夫常滑市副市長 退任セレモニーA <本書p291>


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タグ:出光 直樹
posted by fmics at 18:04 | TrackBack(0) | 巻頭言

答えはひとつではないのに

 平均寿命が延びて、多くの高齢者が様々な場で活躍している姿を目にします。平日にゴルフ場にいっても若い人は少なくて、高齢者の方々が元気よくプレーしているのを見かけます。平日の昼間の電車にも、席を譲ったら叱られるのではないかと思うくらい、元気でハツラツとした高齢者が多くいます。現在身近にいる多くの高齢者の方が、昔の高齢者よりも若くて元気な人が多くいます。

 一方でなんだか覇気のない若者も多く見かけるようになりました。いつの間にか、週末に飲んで騒いでいる若者を見かけなくなり、社会全体に活気がなくなってきたように感じています。24時間営業のファーストフード店で夜中に働く人が少なくなって、営業が出来ない店もあるそうです。ハングリーという言葉を耳にすることもなくなりました。がむしゃらに働いてお金を貯めるという人も、少なくなってきていると思います。若者の価値観やコミュニケーションの取り方に変化が訪れているといえるでしょう。

 そんなことを考えながら、改めて「ゆとり世代」をネットで検索してみました。ウィキペディアから「ゆとり世代」の文化と特徴は、「情報化社会の急速な発展の中で成長した世代で、幼少期にはポケットベルが隆盛を迎え、PHSも登場、学齢期には携帯電話の普及率が上昇、飽和化し、インターネットも爆発的な発展をとげ、メールをはじめmixi、twitter、Facebookに代表されるSNSやソーシャルネットワークがコミュニケーションツールとして完全に定着した。バブル経済崩壊のあとに長らく続く経済停滞の風潮を受け、戦後の経済成長期の世代と比較すると堅実で安定した生活を求める傾向があり、流行に左右されず、無駄がなく自分にここちいいもの、プライドよりも実質性のあるものを選ぶという消費スタイルをもっている。また、結果を悟り高望みをしないため、この世代は「さとり世代」とも呼ばれている。」とあり、まさに私が感じている若者たちでした。「堅実で安定した生活」の裏には、「失敗をしてはいけない」という気持ちがあります。「失敗したくない」ために職場で確実な答えが欲しいのです。出てくる言葉は、「教えてもらっていませんから、できません」心の中では、「教えてくれればできます」と思っています。堅実なので、一問一答の確実な答えが必要なのです。そうはいっても、職場では教えてもらったことと、少し違ったことにも対応しなければいけない状況は次から次に起きます。これに対して、ひとつずつの答えが欲しいのです。

 ですから、「この間、教えただろう!」といわれ、心の中で「前回とは違います」といっています。このギャップに問題があると感じています。最近は、このギャップを埋めるためのプログラムを考えていますが、いまだ答えが出ていません。わかっているのは、アクティブラーニングではないだろうな〜ということだけです。

(秋草 誠)

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会報 『BIG EGG』 2017年1月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

【日時】 2016年12月28日(水) 午後6時〜9時+食事会

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