2017年10月25日

面接を重視した医学科入試<後編>

<中編から>

 第1次選考の書類審査で15名程度に人数を絞り、第2次選考の面接審査ではMMI(Multiple Mini Interview)の手法により観点別の5つの面接を課して1000点満点で評価し、そして第3次選考としてセンター試験5教科7科目を課し、その成績1000点満点を面接点に合計して5名の最終合格者を選抜する、横浜市立大学医学部医学科の特別推薦入試。前回・前々回と紹介したように、手間をかけた面接審査を行いその評価を重視するものの、やはり学力の担保のために最後のセンター試験の成績では、一般選抜のセンター試験よる第1段階選抜の合格者の平均以上の得点率(例年85%程度以上にもなる)を合格の条件として盛り込んでいます。

 果たして面接で評価の高かった受験者が、センター試験の条件も問題なくクリアして狙い通りの受験者を選抜出来るのか? 逆に面接評価の低い者ばかりがセンター試験の条件をクリアし、面接を重視するという意図が充分に果たせなくなってしまうのか? 2年前に最初に実施した時は、その点が一番心配ではありましたが、過去2回とも半分以上の者がこのセンター試験の得点率の条件をクリアするとともに、面接評価の高い者はセンター試験の成績も高い傾向にあるという結果が出たのです。ちなみに、この特別推薦入試の出願者(1次選考での不合格者も含む)の半数程度は一般選抜にも併願してきますが、特別推薦入試で不合格となった者からも、毎年数名が一般選抜での合格を果たしており、負荷の高い面接審査を課しつつも、試験学力の高い受験者を引きつける事が出来たようです。

 この特別推薦入試の目玉である面接で採用したMMI(Multiple Mini Interview)という手法は、カナダのマックマスター大学(McMaster University)で2002年に初めて導入され、以来欧米を中心に世界の医学部(医科大学院)の入試に広まってきています。この複数の面接を繰り返すという発想は、それ以前に普及していた医学生の臨床能力を評価するOSCE(オスキー、Objective Structured Clinical Examination)から来ているものです。一般的には、一対一の面接やロールプレイ、双方向的な課題などの多様なテーマが用意され、ステーションと呼ぶ面接室は、10カ所以上にもなる場合もあります。MMIの妥当性を検証する研究では、やはり臨床面での相関が高い事が報告されています。

 横浜市立大学では、現役の高校生対象の推薦入試という事も考慮して、かなりアレンジした形で取り入れてますが、本学に先立って東邦大学が2013年度から藤田保健衛生大学東京慈恵会医科大学が2017年度から、いずれも一般入試等でのMMIによる面接を導入しており、我が国でも注目されてきています。

(出光 直樹)

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二つ目のマシュマロを食べる!

 最近は、様々なクレジットカードやポイントカードが増えて、カードケースもパンパンになるくらいです。多くの方が、このカードの扱いについては同様の結果だと思うのですが、私はこのポイントの活用方法がへたくそです。たとえば、「ポイントを利用しますか?」と質問されると「結構です」と答える習慣があります。その先に起こることは、いつの間にかポイントの期限が切れてしまうという当たり前の結果です。今まで多くのポイントを期限切れで無くしてしまったので、最近ではすぐに使うようにしています。これは私の性格なのか、育った環境なのか、調べていくとマシュマロ実験という面白い話に当たりました。

 マシュマロ実験とは、子ども時代の自制心と、将来の社会的成果の関連性を調査した著名な実験。スタンフォード大学の心理学者・ウォルター・ミシェル(英語版)が1960年代後半から1970年代前半にかけて実施した。机の上には皿があり、マシュマロが一個載っている。実験者は「私はちょっと用がある。それはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを我慢してたら、マシュマロをもうひとつあげる。私がいない間にそれを食べたら、ふたつ目はなしだよ」と言って部屋を出ていく。

 子どもたちの行動は、隠しカメラで記録された。最後まで我慢し通して2個目のマシュマロを手に入れた子どもは、1/3ほどであった。

 ウォルター・ミシェルの娘も実験に参加した一人だったが、娘の成長につれ、ミシェルは実験結果と、児童の成長後の社会的な成功度の間に、当初予期していなかった興味深い相関性があることに気がついた。そして1988年に追跡調査が実施された。その結果は、就学前における自制心の有無は十数年を経た後も持続していること、またマシュマロを食べなかった子どもと食べた子どもをグループにした場合、マシュマロを食べなかったグループが周囲からより優秀と評価されていること。ウォルター・ミシェルはこの実験から、幼児期においてはIQより、自制心の強さのほうが将来のSATの点数にはるかに大きく影響すると結論した。2011年にはさらに追跡調査が行われ、この傾向が生涯のずっと後まで継続していることが明らかにされた。


 最近のニュースを見ると、親の行動に自制心のない人が沢山いるような気がします。きっと、幼児教育の中で培われる行動なのだろうと感じます。この話は、絵本にして子供たちに伝えられるといいと感じたのと同時に、現在の日本の子供たちにこの実験をしたらどうなるのだろうという興味がわきました。

 もし、私が子供の頃にマシュマロ実験を体験していたとしたら、間違いなくふたつ目のマシュマロを貰えていたはずです。でも、今ならすぐに食べちゃいますね。

(秋草 誠)

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会報 『BIG EGG』 2017年11月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

【日時】 2017年10月25日(水) 午後6時〜9時+食事会

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2017年10月21日

FMICS 10月例会(第691回例会) 大学の宝物を見える化する 自校史の意外な使い方

■高等教育問題研究会FMICS10月例会をご案内いたします。問題提起は、拓殖大学創立百年史編纂室の武田秀司さんです。(株)ぎょうせいに30余年勤務され、史誌を含む単行本の編集、制作は100冊を超えていらっしゃいます。2006年に籍を拓殖大学創立百年史編纂室に移されました。
■大学沿革史(自校史)は、創始メンバーの体中から発散される情熱と継承者の思いが詰まったものです。近年、この自校史を編纂できない大学が増えつつあります。OBOGだけが懐かしく読むモノとしてではなく、在学生が、我が大学がどれほど魅力的ですばらしいものであるかを知るためのツールとしての活用が望まれます。
■大学が大競争時代を勝ち抜くためには、学生に帰属意識感と一体感を持たせることが必要不可欠になります。改めて、大学のたくさんの「宝物」を見える化することによって、学生に大学を好きになってもらうために、自校史は大いに活用すべきです。学生が、自信を持って広報マンとして、大学の魅力を語る大学は、学生募集においても勝ち組になることは確実です。
■今回は、多面的に自校史を使い切ることを考えます。武田さんからのメッセージです。
 大学の宝物とは、何か。周年事業の記念品であった大学沿革史(自校史)は、今や大きく存在とその意義を転換してきました。それは、明治時代中期に起源をもつ大学が百周年を迎えたあたりで、顕著になりました。印刷物という形態から業績書、報告書及び読み物といった性格をもつ「著作」へと転換しています。この沿革史(自校史)から何が見えるかを検証します。「意外な使い方」としたのは、通読からでは見落としてしまう事柄を拾ってみようとしたからです。逆説ではないことをお断りしておきます。
各大学の沿革史(自校史)編纂の目的「過去に学んで、良き未来を志向」するところについて、皆さんとともに追求したいと思います。


【日時】 2017年10月21日(土)
 受付 午後5時30分
 月例会 午後6時〜8時
 懇親会 午後8時15分〜9時45分

【会場】
 月例会 日能研恵比寿ビル 7階プレゼンテーションルーム
    (会報発送作業で利用している会場です)
 懇親会 中華料理「天童」

【テーマ】 大学の宝物を見える化する
   自校史の意外な使い方


【問題提起】
 武田 秀司 (拓殖大学 創立百年史編纂室)
 司会 高橋 真義 (桜美林大学 名誉教授)

【参加費】 会員1,000円 非会員2,000円 学生(会員・非会員問わず)500円

【申込先】 米田 敬子 yoneda(アットマーク)fmics.org
 *お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
 *当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。


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タグ:武田 秀司
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2017年10月17日

FMICS SD 307

■激動の時代を教育業界の枠にとらわれることなく、多面的・大局的視座からじっくりと展望いたします。新聞・雑誌等から教育&経済トピックスを持ちより、侃々諤々とディスカッションいたします。トピックスは、厳選して1件、A4縦判にコピー(10枚程度)して、簡単なMEMOを付してご持参ください。10分間程度のコメントをしていただきます。

【日時】 2017年10月17日(火) 午後6時30分〜8時30分

【会場】 四谷・蔵や
(JR・東京メトロ 四ツ谷駅 徒歩1分)
*会場の予約名は「フミックスの高橋」です。


【申込先】 米田 敬子 yoneda(アットマーク)fmics.org
*お名前、ご所属等をお知らせ下さい。参加費は当日会場でお支払い下さい。
*当日の飛び入りも歓迎ですが、なるべく事前の連絡をお願いします。


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2017年10月05日

面接を重視した医学科入試<中編>

<前編から>

 受験生が5つの面接室を巡る横浜市立大学医学部医学科「特別推薦入試」の面接審査(第2次選考)。移動時間も含めて約50分にもわたる面接を終えた受験生は、再び控室に戻り、職員の確認を受けて帰宅します。各高校選りすぐりの精鋭揃いであっても、さすがにこれだけの回数の面接、しかも後ろの3室では、その場で提示された課題を解答させられるとあって、疲労困憊した感じで戻ってきます。解答は単に口頭で述べさせるだけでなく、前回の課題の中には、地球外生命体が存在するとすればどのような形態が考えられるか絵に描かせてから説明させる課題も登場し、多くの受験生が面食らいつつも、頭をフル回転させて解答をひねりだしていました。

 このように手間のかかる面接審査のため、出願者数が概ね15名を超えた場合は、高校の成績や英語資格の水準等による書類審査による第1次選考を実施する事にしています。

 この「特別推薦入試」は2016年度より医学科の入学定員90名の内の5名を募集人員として導入しました。対象となるのは神奈川県内に所在する高等学校(中等教育学校含む)の内、横浜市立校の全ての他、神奈川県立校と私立校については2009年度入試以降に合格実績のある学校とし、2016年度は46校、2017年度は47校、そして2018年度は50校が対象となっています。1校につき所定の条件を満たした1名のみが応募可能で、2016年度は20名、2017年度は21名の応募があったため、2016年度は15名、2017年度は16名を第1次選考で合格とし、第2次選考としての面接審査を実施しました。

 12月の上旬に実施する面接審査では5つの面接室を合計して1000満点で評価し、特に問題がなければ受験者全員を、第3次選考に進ませます。第3次選考は大学入試センター試験であり、一般選抜と同様の5教科7科目を課します。センター試験の配点も1000点満点(一般選抜のセンター試験配点とも同じ)とし、最終の合否は面接審査1000点とセンター試験1000点の合計点により判定を行います。面接審査とセンター試験を同じ配点としていますが、実際の得点差はセンター試験よりも面接の方が大きくなるため、面接の評価が最終合否に大きな影響を与えることになります。

 ただし、センター試験の得点については条件がつけられており、一般選抜の第1段階選抜の合格者の平均点以上でなければ、面接との合計点が高くとも必ず不合格とします。センター試験の後に出願を受付ける一般選抜(特別推薦入試の受験者も半数程度は併願する)では、2次試験(面接も実施)の収容数に限りがあるためにセンター試験の成績による第1段階選抜を実施しており、2017年度ではその第1段階選抜合格者(募集人員85名の3倍の255名)の得点率の平均は、86.8%にもなるのです。

<後編へ>
(出光 直樹)

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入試広報者の課題

 私は日本私立短期大学協会の入試広報の運営委員です。ここでの仕事は、研修会と短大協会誌の作成です。今年も9月初旬に一泊二日で研修会を開催し、一つの分科会を担当させていただきました。そこで多くの短大や併設大学の話を伺いました。毎回思うのは、大学は規模、立地、学部・学科など様々で、その上組織を見ると、もっと複雑になっているという事です。例えば法人広報と募集広報が分かれていて、入試は入試のみの大学があったり入試広報が一緒だったり、四大と短大入試広報は一緒だったり別々だったり。そんな短大の入試広報担当者の研修に参加してくれる方々の目的のほとんどは、この研修会で事例を聞いて、自大学の広報の答えを持ち帰りたいというものです。

 そんな参加者に最初に伝えることは、この研修会で事例を聞いて持ち帰っても、そのままのサイズを自大学で活用できるわけがなく、まして新しい試みを理解してくれる短大の組織体になっていないはずということです。新たな企画を試みるには、他短大の事例のまま実行するのではなく、自大学に合うようにダウンサイズして試行錯誤することが重要なことだと伝えています。そして、研修会で知り合った仲間と情報交換して終了後も互いにコミュニケーションが取れるようなネットワーク作りを考えて欲しいと伝えます。

 以前から、素晴らしい他短大の事例をワクワクしながら聞いてそのまま持ち帰り実行しようとして、周りの理解を得られずに企画自体をつぶされるという体験談をよく耳にします。「うちの短大では無理なことだった。上が理解を示さない。誰も協力してくれない。予算がつかない。」と。ですから、参加者には事例を聞いて実行するときは、まずは自分の周りに理解してもらえるように汗を流して、それから教員に理解していただき、そこから予算を絞り出して実行するぐらいの気概を持って、取り組まないとできるわけがないことを伝えます。素晴らしい事例がすぐにできたわけではなく、その担当者は目に見えない苦労と調整を繰り返して実現できたことを、知るべきだと思っています。

 まずは、自分のモチベーションのコントロールが重要課題になることは、誰もが理解できるはず。孤軍奮闘しても、長くは続かないことはわかるはずなので、まずは自分と周りのチューニング合わせから始めることだと伝えています。その方法は、自分が実行したいと思う企画の周りにある環境や情報などを新聞、雑誌などから切り抜いて重要点にラインマーカーを引いて、ここだけを読んでくださいと理解していただきたい方々に配布します。3か月継続すると、互いの情報量が同様になるのでその頃に新たな企画を持ち込むことです。そうすると、今まで通らなかった企画が少しは実現可能になるはずですと伝えています。

 まずは小さなことから、始めなければ大きなことは動き出しませんよ。

(秋草 誠)

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会報 『BIG EGG』 2017年10月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

【日時】 2017年10月5日(木) 午後6時〜9時+食事会

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