2018年07月27日

国際バカロレア入試の新展開<後編>

<中編から>

 横浜市立大学医学部医学科の国際バカロレア入試について、私が具体的な検討に着手したのは昨2017年の6月頃からでした。メインの学会としてほぼ欠かさず参加している大学教育学会の大会が広島大学で開催された機会を捉え、以前から気になっていた岡山大学まで足を延ばしてみたところ、副学長・アドミッションズセンター長の田原誠先生がご対応くださり、同大学の国際バカロレア入試について詳しくお話しを伺う事が出来たのです。

 またちょうどその頃、本学医学部医学科の中でも国際バカロレアについてのFD講演会を企画する動きがあり、本学の担当者から相談を受けた私が、田原先生を訪問した際にその講師を打診したところご快諾いただき、同年9月に本学にお招きしてのFD講演会が実現しました。しかも同じ9月には、岡山大学でも「国際バカロレア修了生の国内大学進学と今後の展望について」と題した大学教育再生加速プログラム(AP)採択事業シンポジウムが行われ、これには私がシンポジストの1人として招かれて、横浜市立大学の事例を報告する事となりました。

 こうして一気に環境が整いだした中で、医学部医学科における国際バカロレア入試の具体的な制度設計に着手しました。その際、国際バカロレア資格の成績等の出願要件については、実績のある岡山大学のものと全く同じにすることとしたのは、先に述べたとおりです。ただし、その要件をクリアした出願者の中から、合格者を選抜する方法については、岡山大学のように書類審査(基本的にIBDPの成績や出身校からの評価書、自己推薦書等)で行うのではなく、本学の医学部医学科で培ってきたMMI(Multiple Mini Interview)方式の面接で行うことにしたのです。

 2017年9月〜11月の小欄で紹介しましたように、このMMI方式の面接は、2016年度入試より導入した特別推薦入試で取り入れたもので、受験生は観点別の5つの面接室(1面接室あたり10分程度)を巡り、それぞれ独立して審査を受けるものです。実施初年度からこの面接方式での手応え(優秀な学生を引き付けて評価できる)を、とても強く感じていましたが、今年の3月には、この面接を経て入学した最初の学生達が医学の専門教育が始まった2年生を終えた段階で、やはり入学後一貫して一般選抜入学者よりも高い成績を修めている事が明らかとなりました。

 このようなエビデンスも弾みになり、本学の医学部医学科の国際バカロレア入試は、先行する他大学での実践と自大学での実践の成果を共に取り入れて誕生しました。この新しい入試に、どのような志願者が応募してきてくれるのか、とても楽しみにしています。

(出光 直樹)

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大学に主体性は必要なのか

 「高等教育に関するアンケート結果」によると、企業が求める学生の資質の第1位は主体性・実行力だそうです。RECRUITが発行している『Career Guidance』7月10日発行vol.423別冊付録に、企業が求める主体性について載っていました。企業の人材採用コンサルティングを手がける株式会社人材研究所代表取締役社長の曽和利光氏は、企業が求める主体性は2つのタイプに分かれるといいます。
一つは、環境や組織が求めるものを自らくみ取って、実行できる力のことです。<中略> もう一つは、外部の環境や既存のルールにとらわれず、自分のやりたいように内発的な動機で考え、行動するタイプ。いわばルールブレイカーです。

 曽和氏は“主体性”のイメージをAからDの4つに分類していました。Aタイプは、自ら変革を起こすルールブレイカー。Bタイプは、相手のニーズをくみ取り、自ら行動を起こす。Cタイプは、指示に従って適切に行動できる。Dタイプは、指示をされても適切に行動できない。AとBの二つが“主体的”があると評価される。Aタイプは個人の資質に負うところが大きく、BタイプとCタイプは、教育によって伸ばせるといっています。

 上記のタイプを、私が出会った大学職員に当てはめてみると、Aタイプの人は、若干いると思いますが、大学の組織からはみ出しているように感じます。Bタイプの人は、主体性を持って行動しているように感じますが、多数とはいえません。Cタイプの人が圧倒的に多く、この中から組織のリーダーも生まれているような気がしています。曽和氏の4つのタイプに加えて、Dの下のEタイプもいます。Eタイプは、指示を出されても行動しようともしない人達です。

 俗にいうパレートの法則2:6:2の下の2割です。企業ではEタイプが少ないのかもしれませんが、大学にはEタイプが多くいるような気がします。(それでも法則通り2割程度)曽和氏はCタイプのようなタイプをAタイプに育てようとしても無理が生じやすい。それよりも、CタイプをBタイプに育てることが教育に求められる役割だといっていますが、実際にCタイプをBタイプに育てられる教育が大学にあるのか、ないのか、ある大学があるかもしれませんが多くの大学にはないでしょう。そういえるのは、大学の組織がそうなっていないからです。CタイプからBタイプに変われる人材育成が、必要なことは理解できますが、それをどうするのかを大学は考えていないと思います。まさに大学の組織に「隗より始めよ」といいたくなりますね。
(秋草 誠)

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会報 『BIG EGG』 2018年8月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

【日時】 2018年7月27日(金) 午後6時〜9時+食事会

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