2019年01月08日

『ごみ収集という仕事 ― 清掃車に乗って考えた地方自治』


 藤井 誠一郎 著 コモンズ(2018/05)
プロローグ 現場主義を貫く
第1章 初めてのごみ収集
第2章 研究者が体験した収集現場
第3章 多様な仕事
第4章 委託の現場
第5章 清掃行政の展望
 
 本書は、大東文化大学法学部政治学科の専任教員の著者が、2016年6月〜2017年3月にかけて、のべ24日間にわたって行った東京都新宿区での清掃業務の体験調査により、その現場の奥深い実態や課題、そこで働く清掃職員の真摯な仕事ぶりを記した労作です。

 第1章では、運転手と2人の作業員が乗り込む小型プレス車による基本的な1日のごみ収集作業の流れを、著者の実体験により紹介するとともに、フィールドとなった新宿区の清掃行政の概観しています。続いて第2章では、過酷な炎天下での収集作業、排出(分別)ルールが守られていないごみや繁忙期の対応、狭小路地での収集作業、福祉サービスとしての訪問収集、危険の伴う不燃ごみの収集と選別、無法地帯と化す新宿2丁目、災害時の応援、といった様々な収集現場の様子と職人的な仕事ぶりが紹介されています。また第3章では、独自のノウハウが必要な収集車の整備、ルールを守らない住民や事業者に対する清掃指導、小学校・幼稚園等での環境教育、苦情処理などの収集業務以外の多様な仕事、女性職員の活躍とその意義(清掃業務への偏見の払拭やイメージ向上)が述べられています。

 第4章では、収集現場で進む業務委託の現状と課題について取り上げ、民間清掃会社の作業員へのインタビューからは多様な働き方のニーズを満たしているものの、業務のブラックボックス化が進み、現場のノウハウが継承されなくなるなど、行政サービスの低下につながる問題点があると指摘しています。そして第5章では、厳しい財政状況の中で進む地方行政改革と委託化の流れの中で、現業の清掃職員が持つ地域情報の価値を行政の資産ととらえ、他部門(福祉やまちづくり等)との協力・連携による行政サービスの向上といった可能性を提案しています。

 大学の現場にも示唆に富むような内容の本書を著した著者は、同志社大学の事務職員として働きながら同大学の大学院総合政策科学研究科に通い、43歳で博士号を取得して研究者に転進した方でした。現場重視や業務委託に対する問題意識は、大学職員としての経験も背景にあったようで、その点でもなるほどと思いました。

参考:東京新聞「【考える広場】ごみ収集からみる地方自治」(2018年10月27日)

(出光 直樹)

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イキイキ爺さんのおススメ

 最近、友人や知人から中学、高校、大学の受験の相談を受けたり、高校生向けの進学のためのパネルディスカッションに呼ばれたりします。ここで私が保護者や生徒たちに伝えるのは、子供の未来をどう考えるか?自分はどんな大人になりたいのか?を、イメージしましょうということです。

 まずは、現状の話です。「2017年の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳で、いずれも過去最高を更新した」と2018年7月20日に厚生労働省が発表しました。一方、企業の定年退職は60歳〜65歳になっています。ザックリいうと、定年後約20年は生きるということになります。今までは超進学校に入学して、塾や予備校に通ってブランド大学に入学して、一流企業に勤めれば幸せなことだと思わされていたはずです。しかし、現実はメガバンクや保険会社に入社しても、50歳で出向に出されて定年を迎え、家族からぬれ落ち葉と言われるのが本当に幸せなのかと思うのです。先日、近所にステーキ屋さんが開店しました。ランチで1500円〜3000円と割高な感じのお店にいたお客さんは、明らかに建設業に携わっているような作業着の方々が多かったのです。彼らはサラリーマンより元気がいいなと感じました。思えば、その方々は大学に行かなかったかもしれないし、中卒の方もいたかもしれません。でも、イキイキとして楽しそうに食事をしていたのは事実です。ですから、私は保護者や生徒に「あなたの周りのお年寄りの中で、元気でイキイキしている人と話をしてください、そしてその方々から何の仕事をしているのか、していたのか、を聞いてください」と要求するのです。

 人生80年時代には、今までの常識は破られています。楽しい人生を先人から学び取りましょう。勉強して、ブランド大学に入学して、人気の職業に就職したとしても、早ければ50歳、長くとも65歳までで素敵な時間が止まります。定年後、約20年の間に必要なことはなんだろうとイメージしてみてください。それが現在の進学選びの答えに繋がると思います。

 最近は学歴よりも資格重視の社会に変わろうとしています。仕事をするのではなく、仕事を持つことの意味を分かっていただきたい。70歳を過ぎても、人から必要とされる人を目指した方が、確実に「生きている」と実感があるはずです。まずは身近で「元気でイキイキしているお年寄り」を探して、一緒に食事でもいかがですか。それが出来たら、この話の半分は終わりです。

(秋草 誠)

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タグ:秋草 誠
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会報 『BIG EGG』 2019年1月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

【日時】 2019年1月8日(火) 午後6時〜9時+食事会

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