2019年04月02日

「大学入試英語成績提供システム」の課題 <後編>

<中編から>

 横浜市立大学では私が着任して以降、様々な入試の出願要件として英語資格を求めるように整備してきました。2006年度入試までは海外帰国生と外国人留学生の入試においてのみ一定水準以上の英語資格を求めていたものを、徐々にその適応範囲を広げていきました。

 2015年度入試以降は、センター試験を課す一般選抜と公募推薦入試以外の全ての入試区分において、最低でも英検準2級程度(他にTOEFL、TOEIC、GTEC、IELTSも可)の英語資格を求めるようになり、次の2020年度入試からは、最低でも英検2級やTOEIC(L&R)500などのスコアが無いと応募出来ないようになっています。ただしその対象となる資格は、「大学入試英語成績提供システム」の参加要件とは異なり、4技能の検定に限定されることはなく、また資格の受検日も大学受験年度の4月〜10月ではなく、大学入学前3年以内(現役高校生であれば高校入学以降)であれば良いと広めに設定しています。

 横浜市立大学において入試の出願要件に英語資格を設定するようになった背景には、2005年度以降のり全学必修英語科目において、「TOEFL」を単位認定・進級要件に設定した事があります。団体特別受験のTOEFL-ITP(PBTと同等)を学内で定期的に実施し、基本的に500のスコアに到達しないと必修英語科目の単位認定がされずに再履修となり、その単位修得が学部によって2年次または3年次の進級要件となるという厳しいルールです。

 英語資格の提出を求めるに際して、当初は級やスコアを不問として提出を義務づける事から始め、徐々にその水準を上げてきましたが、英検2級程度の資格を有していれば、単位修得要件のTOEFL-ITP500のスコアをスムーズに達成できる事や、英語以外の学習する力量も高い傾向にあることが見て取れます。また海外帰国生の入試になると、TOEFL-ITP500相当のより高いレベルの資格を要件としていますが、2技能のTOEIC(L&R)よりも、4技能のTOEFL-iTPやIELTSで高いスコアを持っている者の方が、日本語での論述試験のパフォーマンスも高い傾向が見られます。しかしマジョリティーである日本の高校出身者の場合は、受検料の高価な4技能試験でなくとも、TOEIC(L&R)などの比較的安価で受けやすい2技能の試験で充分なのです。

 この度、横浜市立大学も2021年度からの一般選抜においては「大学入試英語成績提供システム」を活用する基本方針を発表しましたが、それ以外の入試においては、新システムの資格と共に従前からの英語資格にも対応していく予定です。今回の高大接続改革において、負担の大きい4技能試験のみによって「大学入試英語成績提供システム」が制度化されてしまった事は、現場の人間として本当に残念でなりません。

(出光 直樹)

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大クリエーティブ力生かす人事

 FMICS BOOK PARTYがスタート、未だ参加できていないが指定図書は必ず購入している。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』(山口周著)を読み返しながら、2018年7月10日(火)朝日新聞「波問風問」で編集員の多賀谷克彦氏の「マツダの挑戦」という記事を思い出した。

 インタビューした人の言葉で記憶に残る一言として、当時マツダのデザイン本部長だった前田育男さんの言葉「次の仕事は、彼らが公平な評価基準で昇格する仕組みをつくることです」を紹介。マツダは「魂動(こどう)」というデザイン哲学を掲げ、次々と格好いい自動車を出し、その取り組みを聞いていたときのことだった。前田さんが言う「彼ら」とは、デザイナー、粘土模型をつくるクレイモデラーらクリエーティブ人材。前田さんは「彼らの昇格試験はマネジメント力が求められる一般社員と同じ。彼らの才能は評価されにくい」と話していた。

 それから4年、評価基準は大きく変わり、幹部社員への昇格試験はマネジメント系とは異なる独自の基準が設けられた。感知力、創造力、表現力などのほか、情熱・志というのもあり、幹部社員の職位もマネジメント系と同様に4段階が設けられた。各段階の処遇も対等、幹部社員に昇格したクレイモデラーは敬意を表して「匠(たくみ)モデラー」とも呼ばれる。人事担当の高村勝彦さんは「彼らの頭上にあったガラスの天井が抜けた」という。

 職場の空気も変わり、かつては腕のいいモデラーほど独立したり他社へ移ったりしていたのが激減、いい人材が採用できるようになったという。また、モデラーはデザイナーが描いた絵を粘土を使い黙々と立体にするだけだったが、モデラーも一緒になって意見を言い合えるようになった。

 前田さんの後任、デザイン本部長の中牟田泰さんは「各人の強みを見いだし、伸ばすようにしている」と言う。平均的に仕事をこなす人材よりとがった人材を育てやすい環境になり、結果、人材が育ち、マツダ車は数々の世界的な賞を受けるようになった。影響は社内外に広がり、金型をつくる工程では粘土製のクレイモデルを忠実に再現しようと他にはない砥石を開発した。「じゃあ、経営のスペシャリストって何だ」と人材評価の議論はいい意味で逆流している。

 今ほどデザインとビジネスが結びつけられて語られることはなかっただろう。ただ、マツダのような人事・評価制度は聞いたことがない。デザイン重視といっても、製品の見た目を少し変えてみるだけでは成果はない。バブル崩壊後の家電のように、消費者ニーズとは縁遠い過剰な機能を求めたり、低価格路線を走ってきたりした経営では、クリエーティブ人材による改革は難しいだろう。マツダが次に挑戦するのは「日本の美」という。余計なものを徹底してそぎ落とす「引き算の美学」である。4月1日新年度スタート、「魂動(こどう)」スタート!

(宮本 輝)

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会報 『BIG EGG』 2019年4月号 発送作業

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

【日時】 2019年4月2日(火) 午後6時〜9時+食事会

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