2020年03月05日

大学教員の悲しい性(さが)

 新型コロナウィルスの世界的流行を受けて、日常生活がいつも通りできない生活を余儀なくされている。人々の間に焦燥感や沈滞感が広がっている一方、非日常空間の出現にドキドキワクワクする連中がいる。それが大学教員である。

 まずは感染症の専門家。不謹慎な表現だが、新型ウィルスの発見は新種の発見ともいえる。その生態を調べ尽くしたいと思うのは強烈な知的好奇心の発露だと言える。ここが分かればさまざまな分野に伝播する。公衆衛生学やワクチン開発などがその典型だろう。情報工学などは人の移動経路を詳細に追跡できる技術開発のきっかけになるかもしれない。意外なところでは歴史学。過去に流行した感染症にわれわれがどのように立ち向かってきたのか、それを知ることで今の対策に何らかの示唆を与えてくれるかもしれない。

 そして経済学者。地域間を物的人的に交流することで活動を拡張してきた事実を踏まえれば、ひとたびウィルス感染が発生すればたちまち世界的な流行になってしまう。これもグローバル化の「必然」である。そして、ウィルスの感染拡大で経済活動の制約が増えると投資家心理を冷え込ませてしまう。それが一瞬起こった株価の世界同時安である。これを書いている時点でNY株式市場が1300ドルほどの上昇があったようなので一安心と言いたいところだが、まだ予断を許さない状況であるのは間違いない。

 世界にひろがる非特異な事象(ショック)に際して、私が注目している指標が「為替レート」である。2008年9月に起こった「リーマンショック」後に起こった急速な円高(これによってトヨタ自動車の営業利益が数兆円規模で消し飛んだことに「トヨタショック」と言われたことを知る人は少ない)。これが何を意味しているのかについて学者間のコンセンサスは成立してないが、おそらくだが、世界の投資家において最後のセーフティネットとして日本円が選ばれるようになったと考えられる。もしこの考えが正しいのなら、先日一瞬起こった世界同時株安をきっかけに円高基調で推移したというのも納得できる話である。そしてもし、急速な円高が進行してしまえば周囲の諸国が経済活動を回復させる中で日本だけが遅れることになる。経済学者として新型ウィルスの感染拡大で一番恐れること、それが円高である。

(中村 勝之)

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タグ:中村 勝之
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ブログまず手書きで

 新型コロナウイルスをめぐる様々なデマ情報、連鎖して拡大していくと大きな影響力となることを認識、こういう負の心理の連鎖はウイルス感染以上に問題で特に今回のような緊急事態においては深刻な問題となる。「国語力が危ない「読む・書く」の今」(読売新聞2019年12月6日)をあらためて読み直した。

 インターネットで簡単に情報がやりとりできる今、あえて「じっくり書く」ことの意味が見直されている。東京都小金井市のブロガーあまかすさんは、ほぼ毎日ブログを更新する。題材はグルメやアニメなど。文章を作るにあたりまずはA5判のノートを開きペンを握る。例えば11月下旬のある日のテーマは、市販のレトルトカレー。ノートには「スパイスがきいて、からくてうまい」と一番言いたいことを最初に書き、「チキンにもしみておいしい」「コスパは悪いが刺激を求めるならこれ」と記していく。順番を整理し最後にタブレット端末を起動させて、キーボードで一気に文章を打ち込む。

 あまかすさんは、以前はパソコンで直接ブログを書いていたが、時間ばかりかかって伝えたいことがまとまらない。知り合いのブロガーに勧められてノートに下書きをしてみると、「言いたいことが短時間で整理でき、筋の通った文章になった」という。東北大学加齢医学研究所によると、手書きの方がパソコンの文字打ち込みに比べて、思考や情報処理を担う「脳の前頭前野」を活発に動かすという実験結果が出ているという。

 パソコンはすでに社会に定着している。企業では手書きでなくともよく考えて文章を作り、思考力を高めようとする取り組みが広がっている。アマゾンジャパン(東京)の社内会議では、「パワーポイント」などのスライド式の資料作成ソフトは使わず、社員が1ページまたは6ページのワード文書に意見や提案をまとめる。その文書を全員で読んで論議する。スライド式の資料は、図や矢印などが挿入でき、短文で論点を示せる。だが、個々のスライドは分かりやすくても、全体を通して読むと意味が理解できなかったり、論理的につながらなかったりすることもある。同社の担当者は「一連の流れの中で説明する文書を作る方が、社員たちの論理的な思考力が高まる」と長文重視の理由を説明する。

 新型コロナウイルスの蔓延で「死」の恐怖が国中に広がり、命を守る(と信じられている)マスク、生活が不自由になると(思い込まれている)トイレットペーパーなどの「今の生活を維持しよう」という保身の「欲」剥き出しの消費行動が人間の浅ましい姿を垣間見させる。相田みつを氏の言葉「奪い合えば足らぬ、分け合えば余る」を心に刻み、お互いを励まし合ってこの危機を乗り越えていきたい。

(宮本 輝)

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タグ:宮本 輝
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【中止】会報 『BIG EGG』 2020年3月号 発送作業

<2020/3/5 更新>
今般の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今回の発送作業は事務局メンバーにて分散して行い、日能研 恵比寿ビルでの作業は中止します。

●FMICSの運営は、会員のボランティア作業によって支えられています。毎月の会報の発送作業も、その大切な活動の1つです。早い人はお昼過ぎから作業を開始し、夕方になると職場から一人また一人とメンバーが駆けつけます。

【日時】 2020年3月5日(木) 午後6時〜9時+食事会

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