2020年10月06日

「ひらめく」タイミングは、どこにでも転がっている!

 例会のテーマから容易に話が逸れるFMICS、それ自体は今の時代が方向性を見失っている事を物語っている。そんな現状をまるッと包み込みつつ無茶振り全開の高橋真義先生が代表を務めるFMICS、それを見て「まだ老け込んではいられない」と思いを強くする参加者たち。その中に、真義先生の無茶振りに忠実に応えようと筆を走らせる私がいる。

 さて、今回も真義先生から本欄のお題を頂戴した。それが「ひらめき」である。この言葉は例会後の茶話会(?)の席上で偶々出たもので、それを真義先生が確実に拾い上げつつ広げるだけ広げて、着地点が見出せそうなタイミングで「じゃぁ、かっちゃん。今回の裏巻頭言のネタはこれで」とのたまう真義先生。ここまで読んで噴き出した皆さん、立派なFMICSメンバーですな(笑)

 これで場は和んだだろう。ここから本欄の主題である「ひらめき」について考えてみよう。何かを考えている時にふと思いつく場面に遭遇した経験は誰しも1度はあるだろう。茶話会ではそのタイミングについての話題になった。「風呂に入っている時」「トイレに入っている時」「目覚めた時」「皿洗いしている時」こんな感じの事例だったと記憶している。ただ、こうした事例を列挙するほどに、勘違いする人達が存在する。

『〜すればひらめくんですか?』

 …それは違うだろう。風呂やトイレに入るのは何らかの欲求を満たしたいから。目覚める前の段階では寝ている状態だが、さらにその前段階には「眠たい」という睡眠欲求がある。皿洗いをするのは使ったものを綺麗にして清潔を保ちたいから。人の行動は何らかの欲求充足を目的で為されるが、上記事例から「ひらめき」を期待して為した行動はほとんどないことに気づく。つまり、特定の行動で「ひらめき」を導くことはほぼない(あっても稀だろう)という事である。

 この指摘を逆から見れば、人のあらゆる行動の中に「ひらめき」を導く物が含まれているという事である。こう書いてしまうとキョロキョロ「ひらめき」を探してしまいそうだが、それは必要ない。いや、必要かもしれないが「ひらめき」を意識しない方がいいだろう。

 それはどういう事か? ここを考える起点として、茶話会でも発言のあった〈考えないと「ひらめ」かないよ〉から話を転がしてみよう。「ひらめき」とはある課題の解決のきっかけというニュアンスがあるだろう。無論、課題解決のためには「考える」という行動を為しているが、「ひらめき」の前段階で「考える」がなければならないという事を上記発言は意味している。一方、課題解決が困難に見えるほど「考える」事に日常が支配されがちになるが、我々が人間である限り、日常の中に基本的欲求があるのも確かである。ここを満たさなければ「考える」事すらおぼつかなくなる。そのため、一旦「考える」事を保留して基本的欲求を充足するための行動に切り替える。そう、この行動の【切り替え】、私なりの表現で表せば【目線を変える】事こそが、「ひらめき」のきっかけになるのである。上記「ひらめき」のきっかけの行動で共通している事、それが行動の【切り替え】であり、「考える」事から基本的欲求充足に【目線を変える】事であり、これが茶話会の折に私が若者達に発した質問に対する模範解答である。

 無論、私の提示した模範解答が唯一のものではないし、内実は同じであってもその表現は大いに異なりうる。「ひらめき」のきっかけに限らず大事なのは、試行錯誤を通じて自分の納得する物を見出すこと、それを自分の納得した言葉で表現する事である。君達が数年後にそれを見出せたのであれば、その後の人生において他人の言葉や裏切りに傷つく程度もグッと低くなるだろう。自分で納得した上で発したものなら、仮に他人に理解されなくても「そうなのね」で終了できて、深く悩まなくていいからである。「ひらめき」を起点にあれこれ語ってきたが、行動の【切り替え】や【目線を変える】事はかように重要なのである。

(中村 勝之)

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タグ:中村 勝之
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果たしたい約束

 2020年10月3日(土)日本経済新聞オピニオン面(コメンテーター・上杉素直氏)で損害保険大手のSOMPOホールディングスが今年夏に始めた働き方改革の一環を取り上げ、社員の人生と組織の成長をいかにうまくつなげていくかというテーマにコメントしていた。社員一人ひとりに「あなたの使命は何ですか?」と人生観を正面から問いかけるユニークな試み。コロナ禍による就労環境の激変を奇貨として、桜田謙悟社長がかねてから温めてきた構想を実行に移したとのこと。

 SOMPOが取り入れたのはマイ・ミッションという耳慣れない概念。業務上の目標ではなく、あくまでその人が生涯かけて目指す何かを指す。「日本社会や企業に新しい価値やインパクトを与えていく」など。研修をのぞくと「Zoom(ズーム)」で集まったのは持ち株会社の管理職たち。まずは部長陣が外部講師の助けを借りて自分の人生を見つめ直し、マイ・ミッション・ステートメントを作ってみる。心が動かされるWANT(ウォント)、社会で果たすべき責務のMUST(マスト)、運命が与えた能力のCAN(キャン)。3つの切り口から自分を洗い出し、人生の使命を定義していく。

 部長は、自分のマイ・ミッションを作った経験を生かし、部下のマイ・ミッションづくりに携わる。部下のものの考え方や強みを面談で引き出したうえで、チームの業務を進める中で適切な役割を見つけ出す。この人間対人間のやり取りを促すプロセスこそ、リモートワークであっても結びつきの強いチームを築く土台になる。「仕事帰りに一杯やりながら語り合うノミニケーションの代わりみたいだ」と感じる人もいたそうだ。

 SOMPOが社員への福利厚生や社会活動として個人の使命探しを手伝っているわけではない。桜田社長は約8万人のグループ社員に宛てて8月に発信したメッセージで、働き方改革に取り組む理由に「圧倒的な生産性を発揮し続ける」ことを挙げていた。使命に基づくから高い生産性を発揮し「続ける」のが可能になる。SOMPOが出した答えである。

 朝日新聞「経済気象台」(9月29日(火))ではコピーライター・岩崎俊一氏(2014年67歳逝去)が1993年にセゾン生命保険で使われたコピー「仕事の約束は誰でも守る。遊びの約束をすぐ破ってしまう人が私はさびしい」を紹介し、このところ知人友人とのメールを「コロナ禍が落ち着いたらぜひお会いしましょう。楽しみにしています」と結ぶことが多く、約束は果たしたいとしていた。学生の学び、マイ・ミッションづくりを止めない約束を果たしていきたい。

(宮本 輝)

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