2021年04月27日

FMICS BOOK PARTY 18-337 手塚 治虫 『火の鳥4・鳳凰編』

「FMICS BOOK PARTY」は、本を読んで=INPUT、人に伝えて=OUTPUT、理解を深めあうことができる「安全な場」です。ワイワイガヤガヤ、仲間とともに本を読むことの楽しさを共有します。指定図書を読破された方、読み込み中の方のご参加も歓迎いたします。
 今月の課題図書の推薦者は、桜美林大学名誉教授の高橋真義さんです。
 「文庫版」ではなく、ぜひとも「大判」で読んでください。不世出の天才手塚治虫ワールドに、潜り込むことができます。
 皆さまには、お仲間、生徒さん、学生さんにもお声かけのうえご参加ください。

【日時】 2021年4月27日(火) 午後8時〜10時

【使用媒体】 Zoomミーティング

【指定図書】 手塚 治虫 『火の鳥4・鳳凰編』


【推薦者】 高橋 真義 (桜美林大学 名誉教授)

【参加要件】 指定図書を読破・読み込み中の方
【参加費】 無料
【申込先】 yoneda(アット)fmics.org 担当:米田 敬子
 申込締切 2021年4月26日(月) ※定員15名


★★ FMICS BOOK PARTY 2021.5 ★★
■日時   2021年5月28日(金) 午後8時〜10時
■指定図書 アンデシュ・ハンセン (著) 久山 葉子 (翻訳)
      『スマホ脳』新潮新書 2020.11.18 1078円(税込)
■推薦者  小西 英行 (多摩大学 経済学部教授)
■参加費  無料
■参加定員 15名
■申込締切 2021年5月27日(木)

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2021年04月23日

FMICS 4月例会(第737回例会) 学生の視座からコロナ禍の先を観る PART1 高大接続から高大社接続へ

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■高等教育問題研究会FMICS 2021年4月例会(第737回)をご案内いたします。

コロナ禍、世界的不況の中の大学活き残りのカギは、大学の主役で活きた資産である学生の可能性を引き出すために教職員はスクラムを組むべしという「学生教員職員三輪車論」を見える化することにかかってくるのではないかと強く思います。
 入口・アンコ・出口、教職員の総力戦勝負になることは間違いありません。ブツ切りの戦略ではなく、熱いストーリーを分かりやすく見える化することが求められます。
 勿論、これぞという正解はあり得ません。ただ、「虫の目・鳥の目・魚の目、THINKBIGな視座に加えて、あったかさいっぱい」のミッション・パッション・アクションは、必要不可欠です。

 FMICS人の知恵をキリリと束ねたいのです。新しい年度がスタートする4、5、6月、3回シリーズで、私たちは何をすべきかを多くの皆さまとワイワイガヤガヤと考えることといたします。

●第1弾:2021年4月23日(金)
 リクルート小林浩さまには、シリーズの方向性を示していただきます。
●第2弾:2021年5月21日(金)
 テレビ愛知高木伸治さま、伊藤忠野村典文さま、野村證券片山英治さまに、企業人の視座から、大学を切っていただきます。
●第3弾:2021年6月23日(水)
 総括として、大学新聞社安田賢治さまに登壇いただきます。

 第1弾の小林さまからのメッセージです。
少子化が進む中で、大学の数は増え続けています。社会環境が大きく変化し、日本型雇用の在り方も変わりつつあります。入学者選抜の改革も徐々にですが、確実に進められていて、偏差値だけで大学を選ぶ時代は終焉を迎えようとしています。
 では、「選ばれる大学」になるには何が必要なのでしょうか。皆さんと未来に向けた熱い議論ができればと思います。


【日時】 2021年4月23日(金)
   研究会 午後8時〜10時30分(Breakoutsession 含む)
   茶話会 午後10時30分〜

【使用媒体】 Zoomミーティング

【テーマ】 学生の視座からコロナ禍の先を観る PART1
   学生に選ばれる輝く大学・学校を作るために何をしたらよいのか
   高大接続から高大社接続へ


【問題提起】
 小林 浩 (リクルートカレッジマネジメント編集長)
【コメンテーター】
 長井 美沙希 (取手聖徳女子高等学校 2年)
 土屋 郁夫 (上越教育大学大学院 学校教育研究科専門職学位課程)
 金成 泰宏 (和泉短期大学 教育学習支援ユニットサブリーダー)
 北村 由紀子 (日経HR 営業本部教育ソリューション部 部長)
 中村 勝之 (桃山大学 経済学部教授)
【司会】 高橋 真義 (桜美林大学 名誉教授)

【参加費】 社会人2,000円(年会費を完納している場合は無料) 学生(会員・非会員問わず)無料

【申込&問合先】 yoneda(アット)fmics.org 担当:米田 敬子
 参加定員 40名
 申込締切 2021年4月19日(月)
*お名前、ご所属、連絡方法、本月例会を何によってお知りになられたかをお知らせください。
*参加エントリーをいただきますと参加費の入金を確認の上、資料を送付いたします。
*当日、ミーティングへのご招待をいたします。

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2021年04月01日

踊る阿呆に見る阿呆。同じ阿呆ならどっちを選ぶ?

 いきなりだが、若者には解説が必要な格言(?)から始めてみよう。まずは1つ目。
「20歳までに赤くならない奴はバカだ。だが、30歳で赤い奴はもっとバカだ」

 ここで言う「赤」とは共産主義(少し広く捉えて社会主義)的発想に思考が染まる事で、過激な行動をしてしまいがちである事の比喩表現である。字面はともかく、所謂思春期は自分の認識できる環境が急激に広がり、縁遠い境遇に対する理不尽さと、それに対する「怒り」に気づきやすいタイミングである。そこに気づけない人間は相当鈍感だという意味で「バカ」と形容する。ただ、高校卒業後の様々な経験を経て思春期に感じていた理不尽さが自らの知識不足に根ざした事が分かってくると、当時ほど強烈な怒りを覚えなくなる。これをもって「かしこまった」と言う(やや)ネガティブな評価をする向きも可能だが、人間として成熟した証とも評価できる。大半の人間は30歳にもなると後者の向きに自然となるので、思春期に抱いた感情を保持し続ける状況を好ましくないと断じるのが上の格言である。

 次に2つ目。
「やる気のある無能を組織に置いてはならない」

 これは、(本来のニュアンスはもっと過激なのだが)ナポレオンが似たニュアンスを語った事で有名で、直接的にはドイツの軍人ハンス・フォン・ゼークトが語ったものである。軍隊と言うある種特殊な組織に於いて、規律ある行動を維持するためには行動力や戦略思考に長けているという意味での「有能」さが大事なのであって、任務に対する「やる気」の有無は本質的ではない。むしろ、「やる気」だけを顕示する士官は規律行動の維持困難に陥るどころか、組織崩壊に導いてしまう。最悪の事態を回避するための最善の手段、これが上の格言に凝縮されている。

 今回の裏巻頭言に当たってなぜ上記2つの格言を持ち出したのかというと、とりわけ若者に対して、格言の裏に潜む罠にはまる可能性を今回の例会の流れが秘めていた事と、今回の例会のテーマの1つである「高大接続へのモヤモヤ」に対する解消のヒントが隠されているからだ。

 後述する様に、人が本気で考えるきっかけとして作用する要素の1つが(あらゆる場面における)理不尽さに対する「怒り」である。無論、怒りばかりではない。現状に対する「不足」感、「不平」「不満」、(欲求への)「渇望」感、様々な表現が可能だが、大事なことは何がしかの事象に対して自分の感情が揺さぶられなければならないという事である。もっと言えば、感情の揺さぶりは自己正当化するためのポジティブなものではなく、自己否定に向かい兼ねないネガティブなものであった方がいい。教育の観点からはある種賭けになる部分ではあるが、『エヴァンゲリオン』の主人公の如く、少なくとも「ぼく、ここにいていいんだ…」と言わせない事が重要である。相手の感情をネガティブに揺さぶらない、マイルドに言えば居心地の悪さを感じさせないという意味では、相手を無意味に褒めるのもいただけない。凡庸な人間に対して褒める事は彼等の「やる気」を無駄に刺激する事はあっても、有能到達へのきっかけになる事はほぼ皆無なのだから。

 こう断言すれば各所から批判が殺到するのは間違いないが、正直な話、中等教育で実践される「考える教育」は早晩テクニックが生み出されて有名無実化するだろう。これはある意味仕方ない。中等教育までで実践される「考える教育」のための素材は数種類のパターに分類可能であるとともに、中等教育までの教師は教育活動の方法論は理解していても、教科内容の方法論まで十分理解しているとは言えないからである(とりわけ地歴科、公民科、数学科で顕著)。かといって、高等教育に携わる者が講義内容の方法論を熟知しているのも稀で、中等教育での悩みの一端を理解しようとする感受性の存在すら怪しい。その意味で、今回の例会のテーマである高校接続を考えるに当たって重要な論点は高校の「何」と大学の「何」をどう接続するのかと言うことである。ここに対する明瞭な解答を用意できない限り、いつまで経っても高大接続の「モヤモヤ」は本質的に解消されないだろう。

 ならば、その「何」とは何なのか。私なりの解答は「考える力」であるという事を例会後の茶話会で提言させてもらった。教育学的発想から言えば「考える力」をどう測定するのかが大きな問題となるのであろうが、ここではそれを脇に置いておく。とりわけ今回の例会で「モヤモヤ」を解消できなかった者にとっては、どんな条件が重なると「考える力」を「身に付ける」きっかけになるのかを知りたいはずだ。茶話会では3つの要素を提示させてもらった。1つ目が先述の「怒り」に代表される感情の揺さぶりであって、(厳密なニュアンスは異なるが)FMICSの標語の1つであるPassionに通ずるものである。残り2つは中等教育までの「知識」と、高等教育で学ぶ「学問」である。今の中等教育までで伝達される知識の殆んどは各種学問領域から得られた知見の「つまみ食い」で構成される。言ってみれば、中等教育までの「つまみ食い」の内容の理屈を知るために提供される教授内容が高等教育の主戦場なのである。ここで大事なのは、高等教育で教授される内容が中等教育までの「知識」と質的に異なること、その理由が各種学問領域の発想方法や論理展開の「礼儀」が高等教育に散りばめられているからである。つまり、高大接続とは中等教育までの「知識」を念頭に置きつつ、各学問領域の「礼儀」を如何に身に付けさせるか、そのきっかけとしての接続であるべきだと言う事である。言葉として簡単に書いてしまっているが、これを実行に移すのは容易な事ではない。行動力を持続するための燃料として「怒り」などを挙げる事が出来るが、勿論、こうした事だけが燃料になる訳ではない。「知的好奇心」だって重要な燃料になるはずだ。

 かなり長くなったが、昔の経済学の入門書の冒頭に結構な頻度で書かれていた格言、これで本欄を閉める事にしよう。

 “Warm heart, cool head”(心は熱く、頭は冷静に)

(中村 勝之)

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チェーン店の挑戦、個人経営店の意識改革

 各飲食チェーン店の「徹底攻略」を指南する著作がありベテランの料理人でもある稲田俊輔氏、2021年3月6日朝日新聞「いま聞く」で久保田侑睴記者が飲食業界のコロナ再起のヒントに迫っていた。

 2019年の著書『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』(扶桑社新書)で経営的な観点ではなく消費者目線でファミリーレストランやファストフードの魅力を語り、その一例としたのが「サイゼリヤ」(本社・埼玉県吉川市)。いわく「パスタやドリアは確かに安いが原価を計算するとちゃんと儲かるようにできている。でも生ハムやサラミは原価だけを考えるとずいぶん無理をしているように見える」と分析。「パスタやドリアでしっかり利益を出しているからこそ、高品質な前菜やワインを常識外れの価格で提供できる」。他に「マクドナルドの肉は本物志向」「ケンタッキーはご飯と味噌汁を付けて定食専門店を出すべき」「日高屋はビールの安いスタバ」など独自の視点で次々と斬っていく。

 なぜチェーン店に注目した本を出したのかの問いに「『しょせんチェーン店』という上から目線の評価が目立ちます。お金も時間もなくチェーン店で仕方なく食べているという人もいます。卑屈に背中を丸めていた人たちに私がどのようにチェーン店を徹底的に楽しみ尽くしているかを伝えようと思いました」。

 そんな時に出会ったのが当時サイゼリヤで提供されていた「粗挽きソーセージのグリル」。食卓でなじみのある燻製のソーセージではなく、イタリアで「サルシッチャ」と呼ばれる生ソーセージ。当時は専門店にしかないようなメニューが近くのファミレスにあったのだ。「サイゼリヤの人たちはイタリア料理が大好きで、マニアックなものをひそかにアピールしていると気付いたんです」。安くて親しみやすいメニューの中に通好みの一品を潜ませる。そんなチェーン店に自分との共通点を見つけた。サイゼリヤの広報担当者は「私たちが美味しいと思うものを提案していましたが、食通の方にそれを見つけて楽しんでいただけるのは販売者冥利に尽きる」という。

 一方で集いの場としての機能を担ってきた個人経営店、コロナ禍は長期化し依然厳しい状況。今後のカギは客側と店側の「意識改革」にあると訴え、「お一人様」の客に注目する。すでにその変化の兆しは現れていると語る。「『一人飲み』『お一人様』といった特集が雑誌でも組まれ、潜在的なニーズに世間が気付きつつあります」。チェーン店の挑戦や個人店の変革を受け入れ、面白がる。その独自の視点には、「食」を徹底的に楽しむヒントがあふれていると久保田記者。コロナ禍での大学の役割と機能の今後のカギに注目していきたい。

(宮本 輝)

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タグ:宮本 輝
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