2021年07月07日

高大接続・連携を語る大人はキラキラしていたか?

 人は物事を判断する際、大抵は「天秤」に「錘」を乗せてより振れる方を選択している。楽しい事項ならば天秤皿がより下に振れる方、しんどい事項ならばそれがより上に振れる方…こんな具合である。理科の実験で用いられる天秤の場合は物理量の大小比較が目的であって、それに使われる錘は全員共通の物が利用される。ところが、人の判断に利用される錘はバラバラだと言っていい。同じ事象であっても、たとえばAさんは嬉しく感じるのにBさんは不快に感じるとき、2人で同じ錘が使われるとは考えにくい。また、同じ事象であっても、ある時点ではCさんは不快に感じていたとしても、別の時点では嬉しく感じる事だってあり得る。この場合は、同一人物であっても異なる時点で使われる錘が違うという事である。

 ここで大事なのは、ある時点におけるある事象に関する判断にはそれに適した錘を使った方が望ましい。そして、同じ時点・事象において他者が使う錘と自分が使うそれとの良し悪しの判断はそもそもできない事である。

 以上の話を元に、ここ数か月続けていた高大連携・接続について考えてみよう。片方の天秤皿に高大連携・接続を乗せる。反対側の皿に錘を乗せる。これまでの話に納得できた読者であれば、誰が錘を乗せるかで見え方がまるで違ってくる事、その見え方について他者が一切口出しできない事は容易に想像つくだろう。だが、雑多な見え方のする事象について何とか共通項を見出すとしたら、結局の所、高大連携・接続を通じた教育活動と、その延長線上にあると見なされている進路実績になるのであろう。そうすると当然の事ながら、これらに対する公平性や客観性が要求される。この課題は錘をいかに共通化するかという問題に収斂するのだが、その作業はほぼ不可能であることはちょっと考えれば分かるはずである。同一事象に対して錘を乗せる人物が異なるのだから、比較のしようがないのである。例会でどなたかが仰っていた「総合型選抜は不公平・不条理の塊だ!」この発言は高大連携・接続という課題に対する本質を鋭く突いたものであった。

 ならどう考えればいいのだ!?…と思考停止する人は、若者の人生を鳥瞰して考えたらいい。人の長い人生を考えるならば高大連携・接続は一瞬のイベントでしかない。無論、それがきっかけでその後の生涯を決める可能性もある。ココである。つまり、高大連携・接続を単に高校と大学を繋ぐものではなく、その後も繋ぎうる手段は何かと考えればいい。そんな都合いい手段なんて…と考える人はYouTuberを想起すればいい。今のトレンドに乗って脚光を浴びた存在であるが、彼らがキラキラしてるから若者は憧れるのである。ココである。高大連携・接続に携わる人がキラキラしていたら、それは若者にとって多大なインパクトを持つだろう。

 結局、若者という存在を突き動かすのは周囲の人が与えるインパクトしかない。その意味での教育の原点なり、躍動感、達成感に回帰することから始めてみてはどうだろうか。

(中村 勝之)

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コロナが推す学び/はたらく細胞

 厚生労働省と講談社は人気漫画「はたらく細胞」のうち新型コロナウイルスに関する2編を動画配信サイト「ユーチューブ」で無料公開を始めた。正しい知識を楽しく学んで対策に生かしてもらうのが狙い。国際協力機構(JICA)の支援で、英語やヒンディー語への翻訳も進めている。

 日本経済新聞2021年7月2日(金)「ヒットのクスリ」(中村直文編集委員)でも取り上げている。近年話題になった漫画・アニメの「はたらく細胞」、2015年に始まった本編は終了したが、スピンオフ漫画や関連企画は継続中でシリーズ累計700万部を超えている。この「細胞擬人化漫画」を簡単に説明すると、身体が街というか都市、国に見立てられ、これを守るため、白血球(クールな男性)や赤血球(少しドジな女性)、血小板(少女たち)などが作業員あるいは戦士として活躍するドラマである。

 例えば、街(身体)に入り込んだ細菌やウイルスなど外敵を、戦隊シリーズのように苦戦しながらも撃退していく。敵は花粉症だったり、インフルエンザだったり、その都度、「イケメン」のB細胞や、キラーT細胞などがヒーローとして暴れまくる。

 この想像力あふれる着眼点のきっかけは、著者の清水茜さんの妹が生物の授業中に描いた「細胞の擬人化イラスト」がベース。これを基にした新人賞の読み切りが講談社で大賞を受賞し、連載化した。編集担当者によると、当時の編集長(月刊少年シリウス)が「これが売れなかったら、編集長を辞める」と言うほど期待が大きかったとのこと。

 今年2月に発売した第6巻には再生医療に使うiPS細胞が登場、最終話にはなかなか倒せないウルトラマンのゼットンのような「強敵」、新型コロナウイルスが現れる。こうした化学モノは男性からの人気が高いが、はたらく細胞は10〜20代の女性からの反響が大きく、2度も舞台化した。

 中村編集委員は、作家の井上ひさし氏の名言を引用し「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでもゆかいに」はコンテンツマーケティングの極意であると結ぶ。

(宮本 輝)

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