2014年12月26日

ニーズを読む

 10月のFMICSに「大卒と高卒の違いは?」というタイトルで裏巻頭言を書かせていただきました。それを読んだ国立大学の職員の方から、国立も高卒を一定割合採用し続けたらいいと話してくれました。彼が勤務している大学は、日本のトップレベルの大学で、法人化以降、自大学出身者を含め、難関大学と呼ばれる大学を卒業した学生ばかりを採用していることに違和感をもっているといっていました。彼曰く、「勉強や英語は優れており自分の成長には関心があるが、他者とのコミュニケーション力が著しく欠如している人が散見される。部署や同僚のために汗をかいて協力するという姿勢がない。」と嘆いていました。

 同じような話を企業の方からも聞いています。難関大学を卒業した新入社員は、筆記試験の点数は良かったが、いざ仕事をしてみると教えてもらっていないので「シリマセン。デキマセン。ワカリマセン」を繰り返し、少し怒鳴られると翌日に「辞めます」というメールが届くという信じられない話でした。新人担当の3・4年目の人たちが、この新人達の指導にヤキモキしているという話です。気になったので他の業者さんに聞き込みしてみると、広報関係で出入りしているR社さんやMナビさんも同じような話があるといっていました。恐らくこの1・2年の間に新卒の人たちの人柄に変化が起きているのではないかと思っています。

 企業が困っているのを聞いて、これを勝手にニーズとして捉え解決策を考えてみました。たとえば、今まで高卒を取っていない企業さんが高卒採用をするのです。その条件のひとつとして、入社後は夜間大学に通わせることとし、費用は全額会社負担とする。モチベーションが高い優秀な高校生が入ってくるのは間違いないでしょう。これを実行すればメディアも取り上げてくれるはずですし、応募も多くなるのは間違いないはずです。その後、企業は大卒と高卒の社員を見比べてみるのです。この方法で入社した高卒社員さんは4年も経つと、かなりの線まで上がっているのではないでしょうか。わざわざ昼に働いて夜間大学に通わなければいけないのですから、根性と忍耐力がつくのは間違いないです。信頼できる有能な社員さんが一丁上がりですね。大卒と比較すれば答えは明らかになるはずです。もちろん4・5年で夜間大学は卒業し、素晴らしい人材となって会社に残ってくれると思います。そんな仕組みで企業側が高卒を採用し始めたとき、大学の教育は変わらなければならないはずです。まさに人財育成型の機能別大学を目指せばいいのです。学生が集まらないから、「グローバルだ」なんて叫ばなくてもキャリア教育と向き合い、人財育成型大学に変わることで人気は集まると思います。当然、入学者が増える大学に変われますね。

(秋草 誠)

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タグ:秋草 誠
posted by fmics at 18:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 巻頭言
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