2015年12月28日

大学の「コスパ」

「○○はコスパがいい!」なんていう言葉をよく耳にします。最初は何の意味なのか分かりませんでした。ウィキペディアで調べてみると、「コストパフォーマンス(cost performance)とは、あるものが持つコスト(費用)とパフォーマンス(効果)を対比させた度合い。コスパやCPと略されることもあるほか、費用対効果や対費用効果ともいう。費用が安く、効果が高いほど、コストパフォーマンスが高い。」という意味でした。

 最近は、何にでも使われているような言葉です。その内にいわれるのでしょうが、まだ大学の「コスパ」については、出てきませんね。実はこの「コスパ」保育系の学科を持っている短大勤務の私には、重要な話なのです。今年、メディアで盛んに保育士の勤務状況や収入などの待遇が悪いといわれてきました。ガイダンスなどで、高校生にこの件について知っているか、手を挙げてもらうと少ない所でも2割、多い所では5割の生徒が手を挙げます。そして、大変な仕事なんだと思っている生徒が増えてきています。先生方も同様に、保育士は安くて大変な仕事なのですねといいます。この問題について、危機感を感じている私は、様々な場面で出会う生徒や先生方にしっかりと現状を伝えるようにしています。

 報道されている給与については、全国平均で手取りが14万前後といわれていますが、東京、埼玉については、初任給の平均的な手取りは16〜17万円です。高い園になると、19〜20万円の園もあります。一方で、東北のある県では、高卒の初任給が10万円強で短大を卒業した保育士が同様の金額なので、全国平均を下げています。その上に正職員になるためには、2〜3年を要する地域もあると説明します。

 この話を伝えると、高校生も先生方も納得してくれています。私は、広報室の課員に対してはもちろんですが、他大学の広報担当者にもこの話を伝えて、同じような説明をするようにお願いしています。

 なぜ、このような話を伝えなければならないのかというと、ずいぶん前になりますが福祉系の人気が上がり、各大学が学部・学科を設置して数年も経たないうちに、福祉は3Kだというレッテルが張られ、あれよ、あれよという間に人気が無くなってしまいました。その時に似ているような予感がするからなのです。まさに生徒や先生方から、福祉は「コスパが悪い」と判断された結果だと思っています。ですから、同じようなカタチにならないように全国の広報に携わる友人たちに、メールやファイスブックなどで注意を促しています。それは、保育業界全体が風評によって衰退させられるのを、少しでも避けたいからです。
(秋草 誠)

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タグ:秋草 誠
posted by fmics at 18:02 | TrackBack(0) | 巻頭言
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