2016年04月08日

「高等学校基礎学力テスト」への期待

 去る3月31日、文部科学省の有識者会議・高大システム改革会議が「最終報告」を出しました。教育再生実行会議の第4次提言(2013年10月)、中央教育審議会のいわゆる「高大接続改革答申」(2014年12月)、そして「高大接続改革実行プラン」(2015年1月)をうけて昨年2月に設置された同会議は、高校教育、大学教育、そして大学入学者選抜の三位一体の改革の具体案を検討し、提言をとりまとめました。

 現行の大学入試センター試験に取って代わる「大学入学希望者学力評価テスト」(まだ仮称)と、新たに導入する「高等学校基礎学力テスト」(同じく仮称)のあり方について注目が集まっていますが、両者ともに、まだまだ詰めるべき課題が山積です。

 この2つのテストに対する私の考えですが、まず「大学入学希望者学力評価テスト」については率直なところ、現行のセンター試験の廃止ありきで突っ走るべきではないと思っています。もちろん、長期的には記述式の導入などで評価できる能力の幅が広がることは良いと思いますが、個別入試で対応出来る事もあり、限りのある改革リソースの割り振り先として、優先度の高いものとは思いません。それよりも現行のセンター試験で変えるべき点は、費用対効果の悪い英語リスニングを廃止することと(その機能は必要に応じて各種検定試験で代替)、降雪等のリスクが高くその後の大学入学までの日程が窮屈な現行の1月実施を12月に早める事と思っています。

 一方「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については、高大接続を底支えする大切なインフラとして、重点的に育てて行くべきものと思います。我が国の高大接続は、激しい進学競争の背景のもとにもっぱら大学入試の「選抜」のあり方に焦点があたり、高校教育の質担保や学力把握の仕組みそのものについては、適切な制度化や改革が伴わないままでした。

 しかし、大学入試の選抜機能だけで高大接続の諸課題を解決することは不可能であり、土台となる高校教育の質の向上には、大学入試とは別のインフラ(学力把握の仕組み)が不可欠です。

 なお提言では、2019年度から2022年度までの基礎学力テストは「試行実施期」と位置づけ、その間は大学入学者選抜(や就職)には活用しないとしています。“過度に利用された場合には、高校生活への悪影響を与えるおそれがあることも踏まえ”ての理由だそうですが、それは杞憂が過ぎるでしょう。選抜制の高い大学にとっては、選抜のツールとして直接的に活用する事は考えにくいです。しかし推薦入試などにおいて高校の成績を評価する際に、学校間の差を補正したり、学校内の成績順位は低くとも実力のある生徒を評価する指標などとして、良い形で活用出来る事を期待しています。
 
(出光 直樹)

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タグ:出光 直樹
posted by fmics at 18:04 | TrackBack(0) | 巻頭言
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