人気のある大学が定員増をするニュースを聞くたびに、頭の中で違和感が拡がっていきます。地方の小さな大学の入学定員をはるかに上回る定員増をしても誰も文句も言わず、従うしかないのが現状です。人気がある大学は、定員増をしても目に見える変化は訪れないと思い込んでいるフシが見えます。本音は大学全体や学生のことなどはお構いなし、自大学が生き残るための定員増推進です。隠されている事実は、入学者数はほぼ変わりませんが、規制が厳しくなり補助金に影響するため、集められる学生がいるうちに定員増して安定的な収入増に結び付けたいというのが本音でしょう。
この姿は、まるで以前の大手スーパーDが勢いを増して、ドンドン地方に進出して商店街の意向など無視し、シャッター通りを作ってしまったのに似ている気がしてなりません。結果はご存じのとおり、その地域を衰退させ多くの住民の生きる力をそぎ落としてしまいました。現在はEが同じように、ドンドン増幅中です。この流れも永遠に続けられるものではないだろうと予測しています。
ふと感じたのは、今まで大学は何を考えて進んできたのだろう?学生を育成する機関として、存在していたのだろうか?国民の大切な税金を使い、しっかりと研究成果を出せたのだろうか?もしかして大学は教職員の給与のために存在するではないか?この定員増は、キャッシュディスペンサーを増幅しているだけのように見えるのは私だけなのか?最近、頭の中が混沌とし始めました。
そろそろ我々、大学人は他業種の過去の事例などから、学ぶことを受け入れなければならない時期が来ているのではないでしょうか。ただ自分たちの組織を守る正義のために、推進する行為が愚かな行為だと気づくべきではないでしょうか。
そうはいっても、各大学の教職員まで落とし込んで考えてみると、その家族を養わなければならない事情が目の前にあります。生き残りを賭けた戦いに突入したと暗黙ですが理解しています。まさに一丸となって、なりふり構わず定員増を推進するしか道はないのです。
この行き着く先に残るものは、大学シャッター通りかもしれないが、そうならない努力をFMICSの皆さんと共に頑張りたい思いです。
(秋草 誠)

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