2017年03月01日

『21世紀の大学:職員の希望とリテラシー』


寺ア 昌男 ・ 立教学院職員研究会 編著 東信堂(2016/12)

第T講  大学職員にはどのようなリテラシーと能力が求められているか
第U講 「大衆化」の響きを前に ― 高まる大学志願率、紛争、そして大学設置基準の大綱化
第V講 学問環境の変化の中でリベラル・アーツを考える
第W講 求められている新しい学力と大学教育の課題
第X講 立教学院の歴史をふりかえる(1) ― 独自性と建学の理念
第Y講 立教学院の歴史をふりかえる(2) ― 戦中・戦後の実態と問題
エッセイ集
座談会 職員像の探求 ―「大学人」としての出発を控えて

 索引を含めて300ページを超える比較的大部な本書は、(1)立教学院の若手事務職員による自主的な勉強会「立教学院職員研究会」にて2014年6月〜2015年2月に行われた寺ア昌男先生の連続講義の記録(第T講〜第Y講)、(2)各講の内容に対して2名ずつ計12名の執筆者(勉強会参加者)によるエッセイ集、そして(3)勉強会の中心メンバーと寺ア先生、それに立教学院の副総長もゲスト交えて、このユニークなSD活動を振り返る座談会という内容で構成されています。

 寺ア先生は、東京大学で教育史、特に大学史を専攻されて博士課程を修了された後、野間教育研究所の研究員を経て、1974〜1979年立教大学、1979〜1993年東京大学、1993〜1998年に再び立教大学、そして1998〜2003年の桜美林大学を最後に専任教員は退かれるものの、2003年〜2015年まで立教学院の本部調査役を務められます。

 全体として立教大学のお話が色濃く反映された内容となっていますが、もっともそれゆえに、本書を貫くコンセプト・大学職員に最低限必要な3つのリテラシー・「大学とは(または大学という職場は)何を特質とする場なのか」「自分の勤務する大学のことをよく知っているか」「大学政策はどう動いているか」を身につけていることが、いかに大切なのか具体性をもって訴えかけてくる、読み応えのある内容となっています。

 寺ア先生が大学の同僚としての職員の存在を強く認識し、専門とする大学史を熱心に聴いてくれるオーディエンスであることを発見して、職員リテラシーの意義に気づかれたのは、桜美林大学(大学院)で教鞭をとられていた頃のお話。初期の受講生(科目等履修生)として当時・日本私学振興財団におれれた高橋真義さんの名前も出てきますので、ぜひお手に取ってご覧ください。

(出光 直樹)

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posted by fmics at 18:04 | TrackBack(0) | 巻頭言
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