2017年10月05日

入試広報者の課題

 私は日本私立短期大学協会の入試広報の運営委員です。ここでの仕事は、研修会と短大協会誌の作成です。今年も9月初旬に一泊二日で研修会を開催し、一つの分科会を担当させていただきました。そこで多くの短大や併設大学の話を伺いました。毎回思うのは、大学は規模、立地、学部・学科など様々で、その上組織を見ると、もっと複雑になっているという事です。例えば法人広報と募集広報が分かれていて、入試は入試のみの大学があったり入試広報が一緒だったり、四大と短大入試広報は一緒だったり別々だったり。そんな短大の入試広報担当者の研修に参加してくれる方々の目的のほとんどは、この研修会で事例を聞いて、自大学の広報の答えを持ち帰りたいというものです。

 そんな参加者に最初に伝えることは、この研修会で事例を聞いて持ち帰っても、そのままのサイズを自大学で活用できるわけがなく、まして新しい試みを理解してくれる短大の組織体になっていないはずということです。新たな企画を試みるには、他短大の事例のまま実行するのではなく、自大学に合うようにダウンサイズして試行錯誤することが重要なことだと伝えています。そして、研修会で知り合った仲間と情報交換して終了後も互いにコミュニケーションが取れるようなネットワーク作りを考えて欲しいと伝えます。

 以前から、素晴らしい他短大の事例をワクワクしながら聞いてそのまま持ち帰り実行しようとして、周りの理解を得られずに企画自体をつぶされるという体験談をよく耳にします。「うちの短大では無理なことだった。上が理解を示さない。誰も協力してくれない。予算がつかない。」と。ですから、参加者には事例を聞いて実行するときは、まずは自分の周りに理解してもらえるように汗を流して、それから教員に理解していただき、そこから予算を絞り出して実行するぐらいの気概を持って、取り組まないとできるわけがないことを伝えます。素晴らしい事例がすぐにできたわけではなく、その担当者は目に見えない苦労と調整を繰り返して実現できたことを、知るべきだと思っています。

 まずは、自分のモチベーションのコントロールが重要課題になることは、誰もが理解できるはず。孤軍奮闘しても、長くは続かないことはわかるはずなので、まずは自分と周りのチューニング合わせから始めることだと伝えています。その方法は、自分が実行したいと思う企画の周りにある環境や情報などを新聞、雑誌などから切り抜いて重要点にラインマーカーを引いて、ここだけを読んでくださいと理解していただきたい方々に配布します。3か月継続すると、互いの情報量が同様になるのでその頃に新たな企画を持ち込むことです。そうすると、今まで通らなかった企画が少しは実現可能になるはずですと伝えています。

 まずは小さなことから、始めなければ大きなことは動き出しませんよ。

(秋草 誠)

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タグ:秋草 誠
posted by fmics at 18:02 | TrackBack(0) | 巻頭言
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