2018年04月03日

大学選び?=高額借金

 高校訪問やガイダンスの時に進路指導の先生方から、奨学金について生徒や保護者に対して説明する時には「奨学金は借金だ」と必ず伝えていただきたいと強く要望されます。生徒も保護者の中にも、奨学金は給付されるものだと思い込んでいる方がいるからだというのです。当たり前だと思っていることが、通じない状況になっているということです。多くの大学の方と退学理由の話をすると、必ず出てくるのは親が奨学金を使い込んで学費を納められない学生がいることです。学生は、学費は保護者が奨学金で支払ってくれていると思い、支払われていない事を説明すると驚いてしまう人もいるようです。これは、保護者が学生に学費を納めていないことを話していないことが原因です。本学もそうですが、年々このケースが増えていると感じています。それを数字で表してくれたのが「2018学研・進学情報3月号」です。一般社団法人NTSセーフティ家計総合研究所は、首都圏の大学や専門学校の来春卒業生を対象に奨学金返還に関する意識調査を行いました。その結果は、「月額返還額を知らない学生が多くいることが分かった。月額返還額の認知については、「だいたい知っている」を含めて78%だったが、具体的な月額返還額を問うと「知らない」と無回答を合わせて31%」ということでした。

 奨学金返還に関するアンケート調査結果(調査日時は2017年10月26日〜11月13日)。「借入総額の認知」は、「知っている44%、だいたい知っている44%、知らない11%。「返還月額の認知」は、知っている30%、だいたい知っている48%、知らない21%」でした。

 なんだか親子で重要なお金の話をしない家庭が増えたようです。以前は、自分の家の状況を察して、進学するかしないかを決めていた生徒が多かったような気がしますが、中流社会の意識が広がった結果、なんとなく子供に家計の話が出来なくなっているのが原因の一つだと思います。今でも進学率の低い高校のガイダンスで、「うちはお金がないから、進学しません」という生徒がいる一方で、公立高校の方針で進学に力を入れている学校では、家庭状況が分からないので進学することを勧める学校が多くなってきたような気もします。ですから私は、保護者には必ず伝えます。進学して卒業するまでの交通費や食費などを考えると自宅から通っていても大体学費の7割〜8割くらいの金額がかかります。四大の学費が500万円だとすると350万円〜400万円くらいは覚悟ですよ。(学費と同額という人もいます。)合計するとザックリ900万円、短大の学費は250万円前後ですから、175万円〜200万円、合計で450万円くらいです。

 学費だけを借金するとしても、大学を卒業すると500万円、同じような環境の女性と結婚すると二人の借金は合わせて1,000万円、家が一軒なんとか建てられる程の金額です。ですから、高額商品を買うつもりで学校選びをして欲しいのです。

(秋草 誠)

 にほんブログ村 教育ブログ 大学教育へ
タグ:秋草 誠
posted by fmics at 18:02 | TrackBack(0) | 巻頭言
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/182928751
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック