2018年12月04日

『受験と進学の新常識:いま変わりつつある12の現実』


  おおた としまさ 著 新潮新書(2018/10)
序章 小・中・高のどこで受験すべきか
第1章 勢いがあるのはどんな高校か?
第2章 大学受験の塾・予備校選びの注意点
第3章 最難関大学への“王道”あり
第4章 9歳までの“最強”学習法
第5章 難関化する公立中高一貫校
第6章 中学入試が多様化している
第7章 私立大学付属校が人気になる理由
第8章 いま見直される男子校・女子校の教育
第9章 地方では公立高校が強い
第10章 受験エリートでなくても医師になる方法
第11章 海外大学受験の実際
第12章 インターナショナルスクールにご用心
終章 大学入試改革の行方

 リクルートから独立後、「育児・教育ジャーナリスト」として育児誌・教育誌への寄稿や多くの書籍を著している著者が、2020年の大学入試改革をひかえた我が国の受験事情について、丹念な取材の成果を書き下ろした一冊です。

 序章では、小学校・中学校・高等学校の各段階での受験について、日本の受験・進学システムの特徴を俯瞰した上で、費用や子供の向き不向きの面など、メリットとデメリットの見取り図が示されています。第1〜第4章は最難関大学進学において躍進する高校や進学塾・予備校をめぐる事情、第5〜第9章は価値観の多様化する中学入試から高校にかけての様相について、第10〜第12章では従来の我が国の受験・進学秩序とは違う世界での実態が、描かれています。そして終章は、今まさに右往左往している2020年からの大学入試改革について、その混迷した議論の経緯が良くまとめられています。

 なお、本書が扱う受験と進学の世界は、最難関から中堅大学くらいのそれではあります。私のようにまさにその層の受験生を対象にしている方もいれば、やはりほとんど重ならない機関の方もおられるかもしれませんが、本書を読まれれば、著者が受験や進学についての唯一の正解を提示しようとしているのではなく、当事者である子供たちが、納得した道を選べるような道標を示そうという思いが伝わってくるでしょう。

 本書の中の言葉ではありませんが、著者が最も伝えたいことは、他の媒体で書いている以下の言葉に集約されていると思います。
“教育における選択では、「何を選択したか」よりも「なぜそれを選択するのかを説明できること」、そして「選択したあとにそれを良い選択にする努力を怠らないこと」が大事である。”

 我々教育に関わるものは、そうした“良い選択にする努力”をサポートする役割を担っていることを、肝に命じたいと思います。

(出光 直樹)

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タグ:出光 直樹
posted by fmics at 18:04 | TrackBack(0) | 巻頭言
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