まずは、現状の話です。「2017年の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳で、いずれも過去最高を更新した」と2018年7月20日に厚生労働省が発表しました。一方、企業の定年退職は60歳〜65歳になっています。ザックリいうと、定年後約20年は生きるということになります。今までは超進学校に入学して、塾や予備校に通ってブランド大学に入学して、一流企業に勤めれば幸せなことだと思わされていたはずです。しかし、現実はメガバンクや保険会社に入社しても、50歳で出向に出されて定年を迎え、家族からぬれ落ち葉と言われるのが本当に幸せなのかと思うのです。先日、近所にステーキ屋さんが開店しました。ランチで1500円〜3000円と割高な感じのお店にいたお客さんは、明らかに建設業に携わっているような作業着の方々が多かったのです。彼らはサラリーマンより元気がいいなと感じました。思えば、その方々は大学に行かなかったかもしれないし、中卒の方もいたかもしれません。でも、イキイキとして楽しそうに食事をしていたのは事実です。ですから、私は保護者や生徒に「あなたの周りのお年寄りの中で、元気でイキイキしている人と話をしてください、そしてその方々から何の仕事をしているのか、していたのか、を聞いてください」と要求するのです。
人生80年時代には、今までの常識は破られています。楽しい人生を先人から学び取りましょう。勉強して、ブランド大学に入学して、人気の職業に就職したとしても、早ければ50歳、長くとも65歳までで素敵な時間が止まります。定年後、約20年の間に必要なことはなんだろうとイメージしてみてください。それが現在の進学選びの答えに繋がると思います。
最近は学歴よりも資格重視の社会に変わろうとしています。仕事をするのではなく、仕事を持つことの意味を分かっていただきたい。70歳を過ぎても、人から必要とされる人を目指した方が、確実に「生きている」と実感があるはずです。まずは身近で「元気でイキイキしているお年寄り」を探して、一緒に食事でもいかがですか。それが出来たら、この話の半分は終わりです。
(秋草 誠)

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