スマートフォンや電話を使って産婦人科医に相談する学生に向けた初めてのサービス。「内診は恥ずかしい」「妊娠したのかと誤解されたくない」など産婦人科医の診察を受けることに抵抗感のある学生が少なくない。生理痛一つを取っても子宮内膜症など隠れた病気が悪化するサインかもしれず、専門家は手遅れにならないよう早期の受診を訴えているとのこと。
産婦人科医の重見大介医師は「『産婦人科は妊娠したら行くところ』というイメージがあるが、そんなことはありません」。と強調する。女性ホルモンの変動で、女性は体や精神に大きな影響を受ける。そこで、重見医師は無料通信アプリ「LINE」を通じた相談窓口『産婦人科オンライン』を開設。今年度から学校法人新渡戸文化学園が学校法人として初導入。「適切な情報がなく、世間の視線や偏見で受診が遅れ、症状が悪化したり、将来に悪影響が起きたりする前に受診につなげたい」と語る。
オンライン相談では、月経に関するトラブルや相談、おなかや腰の痛みなどの一般的な対処法を伝え、受診が必要だと判断した場合は産婦人科の受診を勧める。運営するキッズ・パブリック社(東京都千代田区)と連携する自治体の住民や企業の社員が対象だったが、今年度から高校生・大学生向けにも拡大。ただし、遠隔医療相談サービスであり、医療行為ではないため、診断や薬の処方はしていないとのこと。
同学園は、これまでも保健室担当の看護スタッフが女子学生の相談を受けてきた。提携を決めたことについて、平岩国泰理事長は「性にまつわることだと周囲の目を気にしがちだが、第三者の機関を介せば気軽に相談できるはず」と期待する。
新サービスは、LINEのチャットや通話機能を使って、現役の産婦人科医に何度でも無料で約10分間相談できる。予約制で、相談内容は学園にも、学生の保護者にも明かされない。看護スタッフは「お金のない学生にとって、専門の医師に相談できるのはかなりありがたい」と話す。新渡戸文化学園と産婦人科オンラインは、提携を通じ「女性が主体的に健康管理をする初めの一歩をサポートできる場」の構築を目指すとしている。
(宮本 輝)

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