2019年09月04日

寺に危機感あるか?

 毎年夏のお盆の時期の帰省ラッシュ、夏の風物詩といえるニュースを見ながら終活の取材を続ける滝野隆浩記者(毎日新聞)が全日本仏教会「仏教に関する実態把握調査」についての報告を取材した記事(毎日新聞2019年7月26日朝刊『掃苔記』より)を興味深く読んだ。東京・築地本願寺にて開催、全国7万5000カ寺の総元締めの組織は2年前に仏教文化の認知度について調査、今回は2回目、「寺との距離と仏教への距離感の関連性」などを調べたという。

 サンプル数は「一般」「仏教信者」合わせて7412、地方から首都圏に出てきた人などを想定、菩提(ぼだい)寺が遠くにあると仏教への理解や信仰心は低くなりがち、行くのに2時間以上かかると満足度も低下していくという結果が出たそうだ。

 調査結果の項目で滝野記者が一番気になったのは「今後の菩提寺との付き合い方」の項目。一般の人に複数回答で聞くと、「現在と変わらず良い関係」35.8%、「これからは付き合いは減少する」51.4%、さらに「近い将来全くご縁がなくなる」36.8%で、3人に1人は絶縁を予想している。もちろん、信者の方は「変わらず良い関係」「付き合いを深めたい」が7割を超すが、一方で4割は「付き合いは減少する」とも答えているとのこと。また一般の人の半数は、自分の葬儀は「仏教式の葬儀にこだわらない」と考え、一般・信者に関係なく2割近くがお墓の引っ越し(改葬)を希望したりすでに実施したりしている。

 お寺にとっては厳しいデータ、これが現代人のふつうの感覚だが寺側の危機感が感じられないと滝野記者。マメに接触しなければ気持ちは離れるとわかっているのに「電話番号やメールアドレスの集め方などはわからない」と嘆く住職が多いと言う。ネットで葬儀を手配した首都圏の信者に理由を聞いたら「寺や宗派の連絡先がわからなかったから」がなんと4割以上いたらしい。

 9月は秋学期スタート、“ふつうの感覚”で“危機感”から目をそらさず、成長した学生を迎えたい。
(宮本 輝)

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タグ:宮本 輝
posted by fmics at 18:02 | TrackBack(0) | 巻頭言
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