気象庁は例年、東京と近畿で木枯らし1号を判定。東京の場合は10月半ば〜11月末に西高東低の冬型の気圧配置となり、北の丸公園(千代田区)の観測点で最大風速8メートル以上の季節風が吹くなどの条件を基に判断するとのこと。今秋は、偏西風の影響などで全般的に暖かい日が続いた。近畿は、冬型が強まった日もあり11月4日に木枯らし1号が吹いたとされたが、東京では風速などの条件を満たさなかった。
今回は農業ジャーナリスト青山浩子氏の記事「スマート農業 消費者行動に鍵」(毎日新聞2019年12月4日(水)「経済観測」より)を紹介する。労働力不足を解消する手段として注目されるスマート農業だが、生産現場に定着するかどうか消費者も無関係ではないとのこと。
岩手県で各種露地野菜を作るある農家は「生産工程全体でスマート農業が実現すれば省力化できるが、まだ工程の一部にとどまっている」と話す。キャベツの場合、労力が必要な収穫の機械化が開発途上にある。開発中の収穫機を実証的に使ったところ、ロスが5〜7%発生したという。生育過程で地面に対し斜めに育つキャベツがある。機械がそれを認知せず地面と平行に収穫すると、斜めのまま切断されてキャベツ本体が一部傷つき、商品価値が落ちやすいからだという。
愛知県のキャベツ農家も「収穫機は使わない」と答えた。同じ畑に同じ時期に植えたキャベツでも個体差があり、生育のスピードが異なる。このため、農家は大きさのそろったキャベツを選んで収穫する。このきめ細かい作業を収穫機に期待できないからとのこと。「グラム売りが一般的である海外の小売店と違い、日本では1個売りが大半で、固定価格なので均一な大きさが求められる。この売り方が続く限り手作業が続く」と語る。
将来、人工知能(AI)を搭載した収穫機が開発されれば、キャベツの形状を記憶し、大きさを見極めながら収穫するかもしれない。その前に、消費者が購買行動を変える手もある。農産物の規格は、消費者が望む以上にサイズや等級が細分化され、農家の負担になっている。これを簡素化したり、グラム売りを導入したりすれば、高額なAI搭載の収穫機を待つまでもなく農家は収穫機を使い、工程全体を省力化できると結ぶ。
2020年度実施予定の「大学入学共通テスト」、ロールキャベツを作りながら注視していきたい。
(宮本 輝)

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