2020年11月06日

盲導犬幸せやのに

 「世間の誤解にほえさせてもらいますわ」。信号待ちの犬が突然、関西弁で話し始める。7月にスタートした日本盲導犬協会のテレビCMの一コマ。盲導犬へのネガティブなイメージに対して、自らが思いを語るユニークな設定で話題を呼ぶ一方、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などでは「犬の気持ちが分かるの?」と疑問の声も上がる。(2020年10月17日毎日新聞より

 視覚障害者とともに交差点で信号待ちをしている際、周囲から「盲導犬って大変そうだよね」「ストレス多そう」「かわいそう」とささやく声が聞こえてくる。それに気づいた盲導犬がふっと振り向き、「うちら、いつでも一緒におんのが幸せや思てんのに。そんなん言われたら、相方も悲しむわ」と一蹴。最後は「どうか、そんな目で見んといてえや。ほんまに、お願いしますわ。ほな、行こか」と立ち去る。

 CMはACジャパン支援キャンペーンとして制作。日本盲導犬協会は、「かわいそう」など盲導犬に同情するような何気ない言葉が長年にわたり視覚障害者を傷つけてきたとし、CMでは親近感を持ちながら互いの関係を正しく理解してもらおうと犬自身が語りかけるスタイルを採用。

 日本盲導犬協会は「誤解」が生じる背景に、視覚障害者は十分に盲導犬をケアできないのではという疑念が根強く残っていることを一因に挙げる。実際には視覚障害者は4週間にわたってパートナーとなる犬とトレーニングを積む。歩行だけではなく、餌やりや排せつといった犬の世話の仕方など、共同生活に向けて信頼関係を構築している。

 さらに盲導犬への理解を巡って関係者の頭を悩ませているのが施設や店舗への相次ぐ受け入れ拒否の問題。02年に施行された身体障害者補助犬法は、補助犬を伴う使用者を公共施設や飲食店などで受け入れることを義務づけている。

 視覚障害者への理解が進まない中で今年は「世間の誤解を解く」をテーマに全国の広告会社から58案が集まり、犬を主人公に自らの口で偏見解消をアピールした作品を採用した。全国の駅で掲示されるポスターなども作製、狙い目通り過去に比べ反響は大きいとのこと。

 現在盲導犬は900頭余りが全国で活躍中。ポスターの盲導犬は「みなさん、盲導犬の僕のこと、どのように見ています?」と投げかける。人気漫画「ワンピース」が少年ジャンプ編集部内で連載に反対意見が多かったのは有名な話だそうで、最近の名せりふは「異形を恐れるは己の無知ゆえ」。

(宮本 輝)

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posted by fmics at 18:02 | TrackBack(0) | 巻頭言
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