2021年04月01日

チェーン店の挑戦、個人経営店の意識改革

 各飲食チェーン店の「徹底攻略」を指南する著作がありベテランの料理人でもある稲田俊輔氏、2021年3月6日朝日新聞「いま聞く」で久保田侑睴記者が飲食業界のコロナ再起のヒントに迫っていた。

 2019年の著書『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』(扶桑社新書)で経営的な観点ではなく消費者目線でファミリーレストランやファストフードの魅力を語り、その一例としたのが「サイゼリヤ」(本社・埼玉県吉川市)。いわく「パスタやドリアは確かに安いが原価を計算するとちゃんと儲かるようにできている。でも生ハムやサラミは原価だけを考えるとずいぶん無理をしているように見える」と分析。「パスタやドリアでしっかり利益を出しているからこそ、高品質な前菜やワインを常識外れの価格で提供できる」。他に「マクドナルドの肉は本物志向」「ケンタッキーはご飯と味噌汁を付けて定食専門店を出すべき」「日高屋はビールの安いスタバ」など独自の視点で次々と斬っていく。

 なぜチェーン店に注目した本を出したのかの問いに「『しょせんチェーン店』という上から目線の評価が目立ちます。お金も時間もなくチェーン店で仕方なく食べているという人もいます。卑屈に背中を丸めていた人たちに私がどのようにチェーン店を徹底的に楽しみ尽くしているかを伝えようと思いました」。

 そんな時に出会ったのが当時サイゼリヤで提供されていた「粗挽きソーセージのグリル」。食卓でなじみのある燻製のソーセージではなく、イタリアで「サルシッチャ」と呼ばれる生ソーセージ。当時は専門店にしかないようなメニューが近くのファミレスにあったのだ。「サイゼリヤの人たちはイタリア料理が大好きで、マニアックなものをひそかにアピールしていると気付いたんです」。安くて親しみやすいメニューの中に通好みの一品を潜ませる。そんなチェーン店に自分との共通点を見つけた。サイゼリヤの広報担当者は「私たちが美味しいと思うものを提案していましたが、食通の方にそれを見つけて楽しんでいただけるのは販売者冥利に尽きる」という。

 一方で集いの場としての機能を担ってきた個人経営店、コロナ禍は長期化し依然厳しい状況。今後のカギは客側と店側の「意識改革」にあると訴え、「お一人様」の客に注目する。すでにその変化の兆しは現れていると語る。「『一人飲み』『お一人様』といった特集が雑誌でも組まれ、潜在的なニーズに世間が気付きつつあります」。チェーン店の挑戦や個人店の変革を受け入れ、面白がる。その独自の視点には、「食」を徹底的に楽しむヒントがあふれていると久保田記者。コロナ禍での大学の役割と機能の今後のカギに注目していきたい。

(宮本 輝)

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posted by fmics at 18:02 | TrackBack(0) | 巻頭言
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