私のペンの持ち方で困る事といえば、私の使用に耐えられる筆記具がなかなか見つからない事である。仮に見つかったとしても、マイナーな種故にすぐ店頭から消えてしまい、文房具屋を探し回らねばならない。まさにジプシー状態である。
最近のトレンドで、シャープペンシルやボールペン等の先っちょがとにかく細い。シャープペンシルだと0.3o、ボールペン等だと0.1oも並んでいる。私の学生時代、まだこれらはまだマイナーだったため、0.3oのシャープペンシルとボールペンを積極的に使っていた時期がある。ところが、私の握り方だと、シャープペンシルの芯はポキポキ折れ、ボールペンのペン先が潰れる。悲惨だったのが、新品の0.3oボールペンを使用3分で潰した事である。ここにはペンを(ほぼ)垂直に立てる事もさることながら、やたらと筆圧が濃い事も災いしている。ここから私と相性の合う筆記具を探す長い旅が始まった。
所謂文房具にそこまでの拘りのない人からすると、「何をそこまで…」と思われるかもしれない。だが、理論経済学を主軸に研究らしきことを生業とする者からすると、紙とペンが必須アイテムである。変な話、紙とペンがしっくりする物でなければ研究が捗らないと言っても過言ではない。私の教え子で、万年筆で計算する者がいたが、彼は万年筆本体はもちろんのこと、計算専用のインクに紙まで用意していた。
さすがの私も計算用紙まで専用品を揃える事はない(計算は講義・教授会資料の裏紙を使っている)が、ペンに関しては長期に渡るジプシー生活の結果、シャープペンシルは1.3o、(計算用)ボールペンは1.4o、(計算以外の)ボールペンは0.7oで落ち着いた。とはいえ、今のトレンドからは大きく外れているため、某文房具通販サイトで法人契約を結び、定期的に大量購入している。それが為か、購入した大量の文房具が私の研究室ではなく、図書館に納入される事しばしば。なかなか上手く行かないものである。
(中村 勝之)

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