本年もよろしくお願いいたします。
今年のお正月は、優雅な気持ちでスタート! 公益財団法人東京都交響楽団が東京2020大会1周年を記念して「ラジオ体操第一」のフルオーケストラ音源を作成・録音した。おなじみの軽快なピアノ伴奏と違った重厚で華やかな調べが受け、市民の健康作りに一役買っている。
オケ版制作のきっかけは、昨年夏の東京五輪・パラリンピック。大会で高まった市民のスポーツへの関心を持続させようと、東京都の担当者が、「意外性があって楽しんでもらえるのでは」と発案。今年春、五輪開会式で「オリンピック賛歌」を演奏した同楽団に編曲を依頼した。
同楽団は楽曲の著作権を持つかんぽ生命保険(東京)のアドバイスを受け、体操がしやすい曲の間合いなどを考慮しながらアレンジ。チェロとコントラバスの伴奏に乗って、バイオリン、オーボエ、フルートなどが主旋律を引き継いでいく優雅な一曲に仕上げた。
コンサートホールで録画した演奏動画を7月に動画投稿サイト「ユーチューブ」の楽団公式チャンネルで公開すると、再生回数はうなぎ登りに。現在、20万回に迫る勢いで。「豪華すぎて笑える」「体が勝手に動いてしまう」といった感想が数多く寄せられている。
営利目的を除き、オケ版の映像・音源は自由に使用できる。都生活文化スポーツ局の担当者は「スポーツになじみのない音楽好きの人にも体操に取り組んでもらいたいと作りました。配信もしているので社員などの健康作りに活用してほしい」と話していた。
そしてお正月に手に取った本は、『お寺の掲示諸法無我』(江田智昭著、新潮社)。「お寺の掲示板大賞」を立案した僧侶、岩手県の寺の掲示板の張り紙を紹介していた箇所に惹かれた。「人生と地獄は同じ「じ」という文字からはじまるんだな」。人の心の中で地獄がファンタジーとなり、リアリティを持たなくなったと江田氏は感じ、地獄は現実にあることを忘れてはなりませんと書いている。ちなみに2022年度の「お寺の掲示板大賞」の仏教伝道協会大賞は「武器を捨て 数珠を持とう」、仏教伝道協会賞は「私は今多くの死者の上に立っている そのことを忘れてはいけない」、「毒言吐いたら 自分も浴びる」、「修行がたらん」、私の心に留まったのは仏教タイムズ賞「かんしゃくのくの字をすてて 日をくらす」。
(宮本 輝)

タグ:宮本 輝
【巻頭言の最新記事】