国際総合科学部で147名(650名中の約23%)、医学部看護学科で30名(100名中の30%)と、募集人員のかなりの割合を占める横浜市立大学の指定校制推薦入試。初めて導入されたのは、平成17年に国際総合科学部が設置された時に遡ります。国際総合科学部は、従前の商学部、国際文化学部、理学部を統合改組して設置されました。母体となったこれらの旧学部では、公募制推薦入試(センター試験を利用しないスタイル)を実施しており、学部改組にともなってこれを全て指定校制に切り替えたのが始まりです。
医学部看護学科は、平成17年に従前の看護短期大学部を改組して設置されました。短期大学部では公募制推薦入試を実施していたものの、改組後の医学部看護学科は、一般入試のみでの募集となります。しかし平成22年度より10名(当時は80名中の約13%)の募集人員で指定校推薦入試を導入し、その後割合を増加して現在に至ります。ちなみに医学部医学科においては、今も昔も一般入試のみで学生募集をおこなっています。
私が横浜市立大学に着任したのは、すでに国際総合科学部の1期生が入学した後であり、従前の公募制推薦入試をなぜ指定校制に切り替えたのか、その理由は謎につつまれているのですが、公募制推薦入試の競争的性格(高校から推薦されても不合格となりうる)を嫌った事が、その理由の1つであったと聞いています。従前の公募制推薦入試では(導入直後の指定校制推薦入試でも)、志願者本人及び扶養義務者が共に横浜市民であることが要件の1つに課されておりました。そのため応募してくる高校については、公立高校では当時の学区制度から横浜市内所在の高校に限定され、私立高校については学区の縛りはないものの、やはり横浜市内とその周辺地域所在の高校に限られていました。このように地域の高校との密接な関係のもとで推薦入試が行われていたことが、指定校制に切り替えた背景の1つであったようです。
平成17年度入試で指定校制推薦入試を導入した際、高校への推薦枠の配分は、従前の公募制推薦入試の入学実績に応じてなされました。初年度の募集人員の割合は650名中の100名(約15%)、平成18〜20年度までは110名(約16%)で推移します。そして平成21年度には145名(約22%)と、ほぼ現在と同じ割合に増加させ、それとともに横浜市民に限定していた出願要件を撤廃し、また神奈川県外の高校にも推薦枠を広げます。続いて平成22年度入試では、医学部看護学科にも指定校制推薦入試が導入されました。
これらの背景には、数年間の入学者の追跡調査の結果、指定校推薦入試入学者の大学入学後の成績等が、一般入試を含む他の入試方式の入学者よりも優れている傾向が現れていた事がありました。
<後編>へ
(出光 直樹)

タグ:出光 直樹
【巻頭言の最新記事】