2018年01月25日

「高大接続改革」の忘れもの<中編>

<前編から>

 現行の大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」と新たに導入する「高校生のための学びの基礎診断」。中央教育審議会の「高大接続改革答申」(2014年12月)の段階では、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」と「高等学校基礎学力テスト(仮称)」という名称で提起されたものです。またそれに先立つ教育再生実行会議の第4次提言(2013年10月)では、「達成度テスト(基礎レベル)(仮称)」および「達成度テスト(発展レベル)(仮称)」という名称で提起されていて、ともに高校在学中に複数回受験出来る事と、学習の達成度の客観的把握ということがうたわれていました。

 そして、この段階での2つのテストという考え方に強く影響を与えたと思われるのが、「高大接続テスト(仮称)」の提案です。これは、2004年頃からの国立大学協会私立大学連盟等での議論において、高等学校における基礎的教科・科目の普遍的学習を担保し、その達成度を把握する新たな仕組みの構築が、大学入試や高大接続の課題であると指摘され、それらの議論が中央教育審議会の「学士課程答申」(2008年12月)や文部科学省の委託事業(2008年10月〜2010年9月)での調査研究に引き取られて提唱されたものでした。

 その議論の内容は、『高等学校段階の学力を客観的に把握・活用できる新たな仕組みに関する調査研究報告書』(2010年9月)や、その協議・研究委員であった佐々木隆生氏による『大学入試の終焉:高大接続テストによる再生』(2012年2月 北海道大学出版会)に記されていますが、その要点は以下の通りです。

  1. 諸外国のような中等教育の達成度を測る制度の無い中で、我が国は受験競争の圧力によって高大接続のための学力担保が図られてきたが、少子化による高等学校や大学への全入時代を迎え、高等学校の教育課程の多様化と大学の選抜機能の低下により、高等学校における基礎的教科・科目の普遍的な履修とその学力の担保が機能しなくなった。

  2. 大学入試センター試験は、基本的には各大学における選抜の判定資料となる集団準拠型の試験であり、これを基礎学力の達成度測定の為の試験として利用するのは不可能である。

  3. それゆえ高大接続テストはセンター試験の改変ではなく、目標準拠型の新たなテストとして設計し、段階評価や複数回実施を取り入れる。

 この高大接続テストの提言に対しては、新たなテストの導入ではなく大学入試センター試験の工夫改善により実施すべきという反対意見も寄せられたようですが、学力把握面からの高大接続インフラ構築には、テストの性格の違うセンター試験の改変ではない、新たなテストの構築・導入が求められたのです。

<後編へ>
(出光 直樹)

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大卒って、意味ありますか?

「え?この時代に『大学に入る意味』があると、本気で思ってるの……?」という人気ブロガー、イケダハヤトさんのブログを読んで。
大学好きだな、おまいら……。ごくフッツーに考えて、今の時代に大学行く意味ってないですよね。大学に行かなくても大抵のことは学べる。大学に行かなくても食べていける。大学に行かなくても人とのつながりはできる。
 大学はそもそもコスパが悪すぎる。よっぽどの目的意識がないかぎり、大学なんて行かなくていいと思いますけどね……。

といわれると、いけないこととわかっていながら「ですね」と答えたくなる自分がいます。

 私は業者主催のパネルディスカッション(四大、短大、専門学校、就職)に呼ばれ、高校生達の前で話すことがあり、高校を卒業してやりたいことや学びたいことがないのなら、進学ではなく一度就職を考えることもありだと伝えます。就職後にどうしても、学びたいことや取得したい資格が出てくれば、それから大学・短大や専門学校を考えてもいいと伝えます。なぜかというと、やりたいことや学びたいことがないのに、みんなが行くから進学して中退というのが、お互いに不幸だと思っているからです。

 最近、多くの大学関係者と話していても、大学の魅力というより学生募集のための対策をしている大学が多い気がしています。その大学の方たちが話すことの中に、必ず就職の話も含まれます。結局は、就職にどうつなげられる大学かという選択肢として、大学が見られているといえます。

 社会は少子高齢化が進み、人材不足に悩まされています。今後は過去にあった一過性の人材不足ではなく、永続的に続く人材不足の社会に突入するといっても過言ではないはずです。働く人が大切になる時代を迎えるということです。人材不足が進むと、何が起きるのか想像するとわかると思います。そこには、記憶力勝負の頭でっかちはいりません。学歴は問われなくなるでしょう。働く意欲のある人材が求められ、汗をかいて働きながら、目の前にある課題を解決する能力がある人材が欲しくなるはずです。ですから、アクティブラーニングが出てきたと思っています。しかし、中高でアクティブラーニングが進むと冒頭のイケダハヤトさんの話が、的を射ているといえるといえますね。

 大学の目的は、違うだろうといっても現状の大学の売り文句が就職率を謳っているので、この話につなげられても仕方ないことだと思うのです。大学に進学することが本当に必要なことなのか、大学に携わる我々が考え直さなければいけない時代になったということですね。

 卒業後10年経って「大学に入学して良かった!」といってもらえるような大学創りが、課題です。

(秋草 誠)

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2017年12月26日

「高大接続改革」の忘れもの<前編>

 もう2年近く前になる2016年4月の小欄に、『「高等学校基礎学力テスト」への期待』という一文を書きました。教育再生実行会議の第4次提言(2013年10月)、中央教育審議会の「高大接続改革答申」(2014年12月)、文部科学大臣決定の「高大接続改革実行プラン」(2015年1月)そして高大システム改革会議の「最終報告」(2016年3月)が出そろい、現行の大学入試センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」と、新たに導入する「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の方向性が固まってきたタイミングでの事です。

 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に改革のエネルギーを注ぐよりも、高等学校段階の基礎学力の定着度合いを客観的に把握する「高等学校基礎学力テスト(仮称)」をしっかりと作り上げることが、高校教育の質の向上につながり、高大接続の土台となると期待を表明しました。4年制大学志願者の約7割を超える50万人以上が志願するセンター試験ですが、センター試験を利用する選抜方式で大学に入学する者は3割ほどに過ぎません。短期大学・専門学校進学者や就職者も含めた教育接続や質の担保の為には、センター試験をいじることでは無く、より基礎的で包括的な学力把握のインフラを、高校と大学の関係者が連携して構築しなければ、意味がないからです。

 しかしその後の展開を見ると、ある程度予想もしてましたが、残念な方向に変わってしまったように思います。2017年7月に公表された「高大接続改革の実施方針等の策定について」において、それまで議論してきた「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」と「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の正式名称は、それぞれ「大学入学共通テスト」と「高校生のための学びの基礎診断」とする事になりました。「大学入学共通テスト」は、大学入試センターが引き続きその実施運営の中心組織になるのに対し、「高校生のための学びの基礎診断」については、それまで検討していた大学入試センター(ないしはこれを改組した新組織)による直接実施案などは退けられ、一定の要件を満たした民間の試験等を認定するという仕組みになることになってしまいました。なお、現在その認定基準・手続等についてのパブリックコメント(意見)募集が、1月13日締切で実施されています。

 高大システム改革会議の「最終報告」(2016年3月)の段階でも、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について、当面は大学入学者選抜(や就職)には活用しないとするなど、腰の引けたスタンスが気にはなっていましたが、結局のところ改革のリソースは、「大学入学共通テスト」にばかり注がれてしまったようです。

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(出光 直樹)

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大学50分以内選択

 先日、数校の大学関係者と忘年会がありました。各大学の理事長や事務局長や理事のそうそうたるメンバーでした。その時の会話で印象に残っているのが、「最近の学生の通学時間」です。参加していた大学の方から、高校生から選ばれる通学時間がドアツードアで50分だというのです。自分の偏差値で、推薦合格できる50分圏内の大学に進学するというのです。まるで、短大と同じような話に驚きました。その後、どれくらいのレベルの大学なのか聞きたくて「日東駒専は違うでしょ」というと「いやいや、同じようなもんですよ」というのです。では、どのくらいのレベルの大学が通学時間を考えないで受験するのか聞くと、MARCHクラスでギリギリだというのです。以前、高校の進路の先生方に聞いて驚いたのは、「私の成績で60分で、自転車で通える大学ありませんか」という話でしたが、それが10分短縮していることに驚きました。都心に住む高校生は、通学時間ドアツードア50分が当たり前の感覚になってきているということです。

 なんとなく思い当たるフシがあります。私は、現在東村山に住んでいますが、20年前は高田馬場に住み、職場は新宿や日本橋でした。当時は、時刻表など確認せずに日々通勤していました。なんといっても、池袋や新宿で呑んでいてもタクシーに乗っても2,000円以内で帰宅できる環境でした。都内に住んでいると、どこに行くにも近い感じがしていました。それが、東村山に移り住んで変わったことは、家を出る時には時刻表を確認するという習慣が身についたということです。住んでいる地域によって、人間の行動が変わることを、身を以て知りました。

 ふと気になって、最近の電車の時刻表を調べてみました。山手線のピーク時は、9時台で1時間に22本の電車が走っていました。東西線は8時台で24本、銀座線は8時台で27本です。都内では、ピーク時は当たり前に2〜3分毎に電車が走っている状況です。少し地方の時刻表も調べてみました。栃木県宇都宮駅からJRで東京方面行きは、6時台5本、群馬県高崎駅からJRで東京方面行きは、8本でした。やはり、10分前後に1本という感じです。通学に不便すぎるというわけでもなさそうです。

 現状の高校生たちにとって、何かが変化し通学時間の許容範囲が50分に変わったということだと思います。

 ここで気づかなければいけないのは、50分圏内の大学という表現でくくられている重要性です。高校生にとって、大学のブランド力など関係なく、自分の偏差値で推薦入学できる50分圏内の大学を選択しているということです。大学改革、特色ある大学と騒いだ結果、50分圏内大学選択になっていたという皮肉ですね。

(秋草 誠)

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2017年11月27日

香港での「横浜市立大学講演会」

 去る9月24日の日曜日、「香港日本人倶楽部」の一室にて、「横浜市立大学講演会」が開催されました。主催は、海外在住の日本人子女を対象とした学習塾「epis Education Centre」で、同塾の説明会と抱き合わせで招聘される形(ありがたいことに渡航滞在費は先方持ち)で開催されたものです。同塾は2002年に香港でスタートし、現在では香港に2教室、中国大陸に2教室、そしてオーストラリアに2教室を運営しています。

 今回、横浜市立大学からは私が出張して、本学の概要や海外帰国生を中心とした入試制度の他、日本の大学入試・高大接続の課題や動向について、国際比較も交えて講演してきました。参加者は香港在住の日本人生徒やその保護者など30数名。大学受験を間近に控えた高校生(やその保護者)よりも、中学や小学生の保護者が多かったのですが、講演後には何人かの方から個別の質問や相談もあり、日本の大学入試の現状や中長期的課題について強い関心を持たれている事を実感しました。

 一口に海外帰国生と言っても、単身留学(国立大学では海外帰国生入試の対象とされない)なのか、親の海外赴任に同行しての事なのか、様々なタイプがあることは、普段の業務でも把握してはいましたが、今回は特に家族滞在で外国で学ぶ生徒の中でも、海外に赴いた年齢や滞在年数などにより特徴や課題の違うことを、肌で感じる事ができました。

 小学校の低学年くらいから現地校やインターナショナルスクールで学び始めた子ども達だと、中学や高校生くらいには英語も含めて複数の言語に習熟し、世界中の大学に楽々進学できそうな者も珍しくありませんが、意外にそうした子ども達の中には、一度は日本語で教授する学校(大学)で学ぶことにより日本人としての芯を確立すべく、一般的な(とは言えそれなりに国際的な)日本の大学や高校を選ぶ者も一定数いるものです。

 一方、中学校くらいで海外に出た子どもの場合は、適応に苦労するケースも多いようです。とりあえず日本人学校(ほぼ中等部まで)に入れば最初は楽ですが、その後の高校進学の際に様々な選択肢(単身で日本国内の高校に進学する事も含む)から、主体的に進学先を決められれば良いのですが、ともすれば一番楽そうな進学先に安易に決めてしまうような問題も見られるようです。

 ところで今回の出張は、18年ほどになる私の大学職員としてのキャリアの中で、初めての海外出張でした。それこそ、学生〜院生時代には留学や学会参加などで度々海外(返還直前の香港も含む)には出ていたものの、入試畑で過ごしてきた職員の仕事では、海外帰国生や留学生にも対応してきたとはいえ国外出張の機会は無く、プライベートでも最後に海外旅行をしたのが12年も前だったので、実にワクワクする経験でありました。

(出光 直樹)


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スゴイぞ!都短協

 先日、とても出来のいい冊子が手元に届きました。それは、一般財団法人東京都私立短期大学協会(以下、都短協)が、発行している「東京・関東 私立短期大学 進学ガイド 2018」です。この本の利用方法として、4点挙げられていました。
  1. 「進路決定の資料としてご活用ください」 進路決定までのスケジュールや各短期大学別学校紹介です。
  2. 「短期大学だからこそできる5つのこと」 社会で活躍する先輩たちの声VOICES!と短期大学だからこそできる5つのことが詳しく書かれていました。
  3. 「学校情報をわかりやすくご紹介」 入試制度と各短期大学別学校紹介です。
  4. 「オープンキャンパスへ行こう!」 私立短期大学の所在地やオープンキャンパス学校Chekシートがありました。

 社会で活躍する先輩たちの声VOICES!では、卒業生が様々な業種で活躍している記事が載っていて、とてもイキイキと仕事をしている感じが伝わってきました。短期大学だからこそできる5つのことは、1.知識と技術が学べる。2.多彩な進路先として、就職、専攻科、四年制大学編入、海外の大学への留学が挙げられていました。3.高い就職率として、2016年の四年制大学の就職率74,7%に対し短期大学は、79.2%と約5%高いことが挙げられています。4.資格取得として、多彩な資格が取れることが明記されていました。5.少ない費用で、実社会に必要な知識を取得できるという、お得感満載になっていました。

 中でも特に気になったのは、各短期大学の紹介は30校で、その中の在学生の出身高校です。掲載されている短期大学の所在地は、東京26校、神奈川2校、埼玉1校、千葉1校です。その中に書かれている在学生の出身高校の所在地は、東京7名、千葉4名、神奈川3名、埼玉3名、長野3名、各1名(山形、福島、新潟、茨城、、静岡、高知)となっていました。

 そこで興味がフツフツと沸き起こり、近隣の神奈川、埼玉、千葉の私立短期大学協会が発行している冊子かポスターを調べてみました。神奈川県には、冊子とポスターはありますが、在学生と卒業生の記載はなく学校情報でした。埼玉県には、冊子はなくポスターが作成されていました。そのポスターには県内の短大12校から卒業生と在学生が1名ずつ計2名掲載されていて、出身高校名は明記されていませんでした。千葉県は、大学と短期大学が一緒に掲載されているポスターがあり、大学22校、短大8校があり、在学生や卒業生の個別の写真は掲載がありませんでした。

 やはり一都三県の中でも、都短協の取り組みはピカイチなようです。東京都の学校を探している全国の高校生を対象とした結果が、近隣や地方出身の在学生をピックアップする結果に繋がっていると感じました。本学にも地方出身者が多いので、今後の募集広報におおいに役立つ冊子でした。

(秋草 誠)

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2017年10月25日

面接を重視した医学科入試<後編>

<中編から>

 第1次選考の書類審査で15名程度に人数を絞り、第2次選考の面接審査ではMMI(Multiple Mini Interview)の手法により観点別の5つの面接を課して1000点満点で評価し、そして第3次選考としてセンター試験5教科7科目を課し、その成績1000点満点を面接点に合計して5名の最終合格者を選抜する、横浜市立大学医学部医学科の特別推薦入試。前回・前々回と紹介したように、手間をかけた面接審査を行いその評価を重視するものの、やはり学力の担保のために最後のセンター試験の成績では、一般選抜のセンター試験よる第1段階選抜の合格者の平均以上の得点率(例年85%程度以上にもなる)を合格の条件として盛り込んでいます。

 果たして面接で評価の高かった受験者が、センター試験の条件も問題なくクリアして狙い通りの受験者を選抜出来るのか? 逆に面接評価の低い者ばかりがセンター試験の条件をクリアし、面接を重視するという意図が充分に果たせなくなってしまうのか? 2年前に最初に実施した時は、その点が一番心配ではありましたが、過去2回とも半分以上の者がこのセンター試験の得点率の条件をクリアするとともに、面接評価の高い者はセンター試験の成績も高い傾向にあるという結果が出たのです。ちなみに、この特別推薦入試の出願者(1次選考での不合格者も含む)の半数程度は一般選抜にも併願してきますが、特別推薦入試で不合格となった者からも、毎年数名が一般選抜での合格を果たしており、負荷の高い面接審査を課しつつも、試験学力の高い受験者を引きつける事が出来たようです。

 この特別推薦入試の目玉である面接で採用したMMI(Multiple Mini Interview)という手法は、カナダのマックマスター大学(McMaster University)で2002年に初めて導入され、以来欧米を中心に世界の医学部(医科大学院)の入試に広まってきています。この複数の面接を繰り返すという発想は、それ以前に普及していた医学生の臨床能力を評価するOSCE(オスキー、Objective Structured Clinical Examination)から来ているものです。一般的には、一対一の面接やロールプレイ、双方向的な課題などの多様なテーマが用意され、ステーションと呼ぶ面接室は、10カ所以上にもなる場合もあります。MMIの妥当性を検証する研究では、やはり臨床面での相関が高い事が報告されています。

 横浜市立大学では、現役の高校生対象の推薦入試という事も考慮して、かなりアレンジした形で取り入れてますが、本学に先立って東邦大学が2013年度から藤田保健衛生大学東京慈恵会医科大学が2017年度から、いずれも一般入試等でのMMIによる面接を導入しており、我が国でも注目されてきています。

(出光 直樹)

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二つ目のマシュマロを食べる!

 最近は、様々なクレジットカードやポイントカードが増えて、カードケースもパンパンになるくらいです。多くの方が、このカードの扱いについては同様の結果だと思うのですが、私はこのポイントの活用方法がへたくそです。たとえば、「ポイントを利用しますか?」と質問されると「結構です」と答える習慣があります。その先に起こることは、いつの間にかポイントの期限が切れてしまうという当たり前の結果です。今まで多くのポイントを期限切れで無くしてしまったので、最近ではすぐに使うようにしています。これは私の性格なのか、育った環境なのか、調べていくとマシュマロ実験という面白い話に当たりました。

 マシュマロ実験とは、子ども時代の自制心と、将来の社会的成果の関連性を調査した著名な実験。スタンフォード大学の心理学者・ウォルター・ミシェル(英語版)が1960年代後半から1970年代前半にかけて実施した。机の上には皿があり、マシュマロが一個載っている。実験者は「私はちょっと用がある。それはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを我慢してたら、マシュマロをもうひとつあげる。私がいない間にそれを食べたら、ふたつ目はなしだよ」と言って部屋を出ていく。

 子どもたちの行動は、隠しカメラで記録された。最後まで我慢し通して2個目のマシュマロを手に入れた子どもは、1/3ほどであった。

 ウォルター・ミシェルの娘も実験に参加した一人だったが、娘の成長につれ、ミシェルは実験結果と、児童の成長後の社会的な成功度の間に、当初予期していなかった興味深い相関性があることに気がついた。そして1988年に追跡調査が実施された。その結果は、就学前における自制心の有無は十数年を経た後も持続していること、またマシュマロを食べなかった子どもと食べた子どもをグループにした場合、マシュマロを食べなかったグループが周囲からより優秀と評価されていること。ウォルター・ミシェルはこの実験から、幼児期においてはIQより、自制心の強さのほうが将来のSATの点数にはるかに大きく影響すると結論した。2011年にはさらに追跡調査が行われ、この傾向が生涯のずっと後まで継続していることが明らかにされた。


 最近のニュースを見ると、親の行動に自制心のない人が沢山いるような気がします。きっと、幼児教育の中で培われる行動なのだろうと感じます。この話は、絵本にして子供たちに伝えられるといいと感じたのと同時に、現在の日本の子供たちにこの実験をしたらどうなるのだろうという興味がわきました。

 もし、私が子供の頃にマシュマロ実験を体験していたとしたら、間違いなくふたつ目のマシュマロを貰えていたはずです。でも、今ならすぐに食べちゃいますね。

(秋草 誠)

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2017年10月05日

面接を重視した医学科入試<中編>

<前編から>

 受験生が5つの面接室を巡る横浜市立大学医学部医学科「特別推薦入試」の面接審査(第2次選考)。移動時間も含めて約50分にもわたる面接を終えた受験生は、再び控室に戻り、職員の確認を受けて帰宅します。各高校選りすぐりの精鋭揃いであっても、さすがにこれだけの回数の面接、しかも後ろの3室では、その場で提示された課題を解答させられるとあって、疲労困憊した感じで戻ってきます。解答は単に口頭で述べさせるだけでなく、前回の課題の中には、地球外生命体が存在するとすればどのような形態が考えられるか絵に描かせてから説明させる課題も登場し、多くの受験生が面食らいつつも、頭をフル回転させて解答をひねりだしていました。

 このように手間のかかる面接審査のため、出願者数が概ね15名を超えた場合は、高校の成績や英語資格の水準等による書類審査による第1次選考を実施する事にしています。

 この「特別推薦入試」は2016年度より医学科の入学定員90名の内の5名を募集人員として導入しました。対象となるのは神奈川県内に所在する高等学校(中等教育学校含む)の内、横浜市立校の全ての他、神奈川県立校と私立校については2009年度入試以降に合格実績のある学校とし、2016年度は46校、2017年度は47校、そして2018年度は50校が対象となっています。1校につき所定の条件を満たした1名のみが応募可能で、2016年度は20名、2017年度は21名の応募があったため、2016年度は15名、2017年度は16名を第1次選考で合格とし、第2次選考としての面接審査を実施しました。

 12月の上旬に実施する面接審査では5つの面接室を合計して1000満点で評価し、特に問題がなければ受験者全員を、第3次選考に進ませます。第3次選考は大学入試センター試験であり、一般選抜と同様の5教科7科目を課します。センター試験の配点も1000点満点(一般選抜のセンター試験配点とも同じ)とし、最終の合否は面接審査1000点とセンター試験1000点の合計点により判定を行います。面接審査とセンター試験を同じ配点としていますが、実際の得点差はセンター試験よりも面接の方が大きくなるため、面接の評価が最終合否に大きな影響を与えることになります。

 ただし、センター試験の得点については条件がつけられており、一般選抜の第1段階選抜の合格者の平均点以上でなければ、面接との合計点が高くとも必ず不合格とします。センター試験の後に出願を受付ける一般選抜(特別推薦入試の受験者も半数程度は併願する)では、2次試験(面接も実施)の収容数に限りがあるためにセンター試験の成績による第1段階選抜を実施しており、2017年度ではその第1段階選抜合格者(募集人員85名の3倍の255名)の得点率の平均は、86.8%にもなるのです。

<後編へ>
(出光 直樹)

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入試広報者の課題

 私は日本私立短期大学協会の入試広報の運営委員です。ここでの仕事は、研修会と短大協会誌の作成です。今年も9月初旬に一泊二日で研修会を開催し、一つの分科会を担当させていただきました。そこで多くの短大や併設大学の話を伺いました。毎回思うのは、大学は規模、立地、学部・学科など様々で、その上組織を見ると、もっと複雑になっているという事です。例えば法人広報と募集広報が分かれていて、入試は入試のみの大学があったり入試広報が一緒だったり、四大と短大入試広報は一緒だったり別々だったり。そんな短大の入試広報担当者の研修に参加してくれる方々の目的のほとんどは、この研修会で事例を聞いて、自大学の広報の答えを持ち帰りたいというものです。

 そんな参加者に最初に伝えることは、この研修会で事例を聞いて持ち帰っても、そのままのサイズを自大学で活用できるわけがなく、まして新しい試みを理解してくれる短大の組織体になっていないはずということです。新たな企画を試みるには、他短大の事例のまま実行するのではなく、自大学に合うようにダウンサイズして試行錯誤することが重要なことだと伝えています。そして、研修会で知り合った仲間と情報交換して終了後も互いにコミュニケーションが取れるようなネットワーク作りを考えて欲しいと伝えます。

 以前から、素晴らしい他短大の事例をワクワクしながら聞いてそのまま持ち帰り実行しようとして、周りの理解を得られずに企画自体をつぶされるという体験談をよく耳にします。「うちの短大では無理なことだった。上が理解を示さない。誰も協力してくれない。予算がつかない。」と。ですから、参加者には事例を聞いて実行するときは、まずは自分の周りに理解してもらえるように汗を流して、それから教員に理解していただき、そこから予算を絞り出して実行するぐらいの気概を持って、取り組まないとできるわけがないことを伝えます。素晴らしい事例がすぐにできたわけではなく、その担当者は目に見えない苦労と調整を繰り返して実現できたことを、知るべきだと思っています。

 まずは、自分のモチベーションのコントロールが重要課題になることは、誰もが理解できるはず。孤軍奮闘しても、長くは続かないことはわかるはずなので、まずは自分と周りのチューニング合わせから始めることだと伝えています。その方法は、自分が実行したいと思う企画の周りにある環境や情報などを新聞、雑誌などから切り抜いて重要点にラインマーカーを引いて、ここだけを読んでくださいと理解していただきたい方々に配布します。3か月継続すると、互いの情報量が同様になるのでその頃に新たな企画を持ち込むことです。そうすると、今まで通らなかった企画が少しは実現可能になるはずですと伝えています。

 まずは小さなことから、始めなければ大きなことは動き出しませんよ。

(秋草 誠)

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