2017年11月27日

香港での「横浜市立大学講演会」

 去る9月24日の日曜日、「香港日本人倶楽部」の一室にて、「横浜市立大学講演会」が開催されました。主催は、海外在住の日本人子女を対象とした学習塾「epis Education Centre」で、同塾の説明会と抱き合わせで招聘される形(ありがたいことに渡航滞在費は先方持ち)で開催されたものです。同塾は2002年に香港でスタートし、現在では香港に2教室、中国大陸に2教室、そしてオーストラリアに2教室を運営しています。

 今回、横浜市立大学からは私が出張して、本学の概要や海外帰国生を中心とした入試制度の他、日本の大学入試・高大接続の課題や動向について、国際比較も交えて講演してきました。参加者は香港在住の日本人生徒やその保護者など30数名。大学受験を間近に控えた高校生(やその保護者)よりも、中学や小学生の保護者が多かったのですが、講演後には何人かの方から個別の質問や相談もあり、日本の大学入試の現状や中長期的課題について強い関心を持たれている事を実感しました。

 一口に海外帰国生と言っても、単身留学(国立大学では海外帰国生入試の対象とされない)なのか、親の海外赴任に同行しての事なのか、様々なタイプがあることは、普段の業務でも把握してはいましたが、今回は特に家族滞在で外国で学ぶ生徒の中でも、海外に赴いた年齢や滞在年数などにより特徴や課題の違うことを、肌で感じる事ができました。

 小学校の低学年くらいから現地校やインターナショナルスクールで学び始めた子ども達だと、中学や高校生くらいには英語も含めて複数の言語に習熟し、世界中の大学に楽々進学できそうな者も珍しくありませんが、意外にそうした子ども達の中には、一度は日本語で教授する学校(大学)で学ぶことにより日本人としての芯を確立すべく、一般的な(とは言えそれなりに国際的な)日本の大学や高校を選ぶ者も一定数いるものです。

 一方、中学校くらいで海外に出た子どもの場合は、適応に苦労するケースも多いようです。とりあえず日本人学校(ほぼ中等部まで)に入れば最初は楽ですが、その後の高校進学の際に様々な選択肢(単身で日本国内の高校に進学する事も含む)から、主体的に進学先を決められれば良いのですが、ともすれば一番楽そうな進学先に安易に決めてしまうような問題も見られるようです。

 ところで今回の出張は、18年ほどになる私の大学職員としてのキャリアの中で、初めての海外出張でした。それこそ、学生〜院生時代には留学や学会参加などで度々海外(返還直前の香港も含む)には出ていたものの、入試畑で過ごしてきた職員の仕事では、海外帰国生や留学生にも対応してきたとはいえ国外出張の機会は無く、プライベートでも最後に海外旅行をしたのが12年も前だったので、実にワクワクする経験でありました。

(出光 直樹)


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スゴイぞ!都短協

 先日、とても出来のいい冊子が手元に届きました。それは、一般財団法人東京都私立短期大学協会(以下、都短協)が、発行している「東京・関東 私立短期大学 進学ガイド 2018」です。この本の利用方法として、4点挙げられていました。
  1. 「進路決定の資料としてご活用ください」 進路決定までのスケジュールや各短期大学別学校紹介です。
  2. 「短期大学だからこそできる5つのこと」 社会で活躍する先輩たちの声VOICES!と短期大学だからこそできる5つのことが詳しく書かれていました。
  3. 「学校情報をわかりやすくご紹介」 入試制度と各短期大学別学校紹介です。
  4. 「オープンキャンパスへ行こう!」 私立短期大学の所在地やオープンキャンパス学校Chekシートがありました。

 社会で活躍する先輩たちの声VOICES!では、卒業生が様々な業種で活躍している記事が載っていて、とてもイキイキと仕事をしている感じが伝わってきました。短期大学だからこそできる5つのことは、1.知識と技術が学べる。2.多彩な進路先として、就職、専攻科、四年制大学編入、海外の大学への留学が挙げられていました。3.高い就職率として、2016年の四年制大学の就職率74,7%に対し短期大学は、79.2%と約5%高いことが挙げられています。4.資格取得として、多彩な資格が取れることが明記されていました。5.少ない費用で、実社会に必要な知識を取得できるという、お得感満載になっていました。

 中でも特に気になったのは、各短期大学の紹介は30校で、その中の在学生の出身高校です。掲載されている短期大学の所在地は、東京26校、神奈川2校、埼玉1校、千葉1校です。その中に書かれている在学生の出身高校の所在地は、東京7名、千葉4名、神奈川3名、埼玉3名、長野3名、各1名(山形、福島、新潟、茨城、、静岡、高知)となっていました。

 そこで興味がフツフツと沸き起こり、近隣の神奈川、埼玉、千葉の私立短期大学協会が発行している冊子かポスターを調べてみました。神奈川県には、冊子とポスターはありますが、在学生と卒業生の記載はなく学校情報でした。埼玉県には、冊子はなくポスターが作成されていました。そのポスターには県内の短大12校から卒業生と在学生が1名ずつ計2名掲載されていて、出身高校名は明記されていませんでした。千葉県は、大学と短期大学が一緒に掲載されているポスターがあり、大学22校、短大8校があり、在学生や卒業生の個別の写真は掲載がありませんでした。

 やはり一都三県の中でも、都短協の取り組みはピカイチなようです。東京都の学校を探している全国の高校生を対象とした結果が、近隣や地方出身の在学生をピックアップする結果に繋がっていると感じました。本学にも地方出身者が多いので、今後の募集広報におおいに役立つ冊子でした。

(秋草 誠)

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2017年10月25日

面接を重視した医学科入試<後編>

<中編から>

 第1次選考の書類審査で15名程度に人数を絞り、第2次選考の面接審査ではMMI(Multiple Mini Interview)の手法により観点別の5つの面接を課して1000点満点で評価し、そして第3次選考としてセンター試験5教科7科目を課し、その成績1000点満点を面接点に合計して5名の最終合格者を選抜する、横浜市立大学医学部医学科の特別推薦入試。前回・前々回と紹介したように、手間をかけた面接審査を行いその評価を重視するものの、やはり学力の担保のために最後のセンター試験の成績では、一般選抜のセンター試験よる第1段階選抜の合格者の平均以上の得点率(例年85%程度以上にもなる)を合格の条件として盛り込んでいます。

 果たして面接で評価の高かった受験者が、センター試験の条件も問題なくクリアして狙い通りの受験者を選抜出来るのか? 逆に面接評価の低い者ばかりがセンター試験の条件をクリアし、面接を重視するという意図が充分に果たせなくなってしまうのか? 2年前に最初に実施した時は、その点が一番心配ではありましたが、過去2回とも半分以上の者がこのセンター試験の得点率の条件をクリアするとともに、面接評価の高い者はセンター試験の成績も高い傾向にあるという結果が出たのです。ちなみに、この特別推薦入試の出願者(1次選考での不合格者も含む)の半数程度は一般選抜にも併願してきますが、特別推薦入試で不合格となった者からも、毎年数名が一般選抜での合格を果たしており、負荷の高い面接審査を課しつつも、試験学力の高い受験者を引きつける事が出来たようです。

 この特別推薦入試の目玉である面接で採用したMMI(Multiple Mini Interview)という手法は、カナダのマックマスター大学(McMaster University)で2002年に初めて導入され、以来欧米を中心に世界の医学部(医科大学院)の入試に広まってきています。この複数の面接を繰り返すという発想は、それ以前に普及していた医学生の臨床能力を評価するOSCE(オスキー、Objective Structured Clinical Examination)から来ているものです。一般的には、一対一の面接やロールプレイ、双方向的な課題などの多様なテーマが用意され、ステーションと呼ぶ面接室は、10カ所以上にもなる場合もあります。MMIの妥当性を検証する研究では、やはり臨床面での相関が高い事が報告されています。

 横浜市立大学では、現役の高校生対象の推薦入試という事も考慮して、かなりアレンジした形で取り入れてますが、本学に先立って東邦大学が2013年度から藤田保健衛生大学東京慈恵会医科大学が2017年度から、いずれも一般入試等でのMMIによる面接を導入しており、我が国でも注目されてきています。

(出光 直樹)

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二つ目のマシュマロを食べる!

 最近は、様々なクレジットカードやポイントカードが増えて、カードケースもパンパンになるくらいです。多くの方が、このカードの扱いについては同様の結果だと思うのですが、私はこのポイントの活用方法がへたくそです。たとえば、「ポイントを利用しますか?」と質問されると「結構です」と答える習慣があります。その先に起こることは、いつの間にかポイントの期限が切れてしまうという当たり前の結果です。今まで多くのポイントを期限切れで無くしてしまったので、最近ではすぐに使うようにしています。これは私の性格なのか、育った環境なのか、調べていくとマシュマロ実験という面白い話に当たりました。

 マシュマロ実験とは、子ども時代の自制心と、将来の社会的成果の関連性を調査した著名な実験。スタンフォード大学の心理学者・ウォルター・ミシェル(英語版)が1960年代後半から1970年代前半にかけて実施した。机の上には皿があり、マシュマロが一個載っている。実験者は「私はちょっと用がある。それはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを我慢してたら、マシュマロをもうひとつあげる。私がいない間にそれを食べたら、ふたつ目はなしだよ」と言って部屋を出ていく。

 子どもたちの行動は、隠しカメラで記録された。最後まで我慢し通して2個目のマシュマロを手に入れた子どもは、1/3ほどであった。

 ウォルター・ミシェルの娘も実験に参加した一人だったが、娘の成長につれ、ミシェルは実験結果と、児童の成長後の社会的な成功度の間に、当初予期していなかった興味深い相関性があることに気がついた。そして1988年に追跡調査が実施された。その結果は、就学前における自制心の有無は十数年を経た後も持続していること、またマシュマロを食べなかった子どもと食べた子どもをグループにした場合、マシュマロを食べなかったグループが周囲からより優秀と評価されていること。ウォルター・ミシェルはこの実験から、幼児期においてはIQより、自制心の強さのほうが将来のSATの点数にはるかに大きく影響すると結論した。2011年にはさらに追跡調査が行われ、この傾向が生涯のずっと後まで継続していることが明らかにされた。


 最近のニュースを見ると、親の行動に自制心のない人が沢山いるような気がします。きっと、幼児教育の中で培われる行動なのだろうと感じます。この話は、絵本にして子供たちに伝えられるといいと感じたのと同時に、現在の日本の子供たちにこの実験をしたらどうなるのだろうという興味がわきました。

 もし、私が子供の頃にマシュマロ実験を体験していたとしたら、間違いなくふたつ目のマシュマロを貰えていたはずです。でも、今ならすぐに食べちゃいますね。

(秋草 誠)

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2017年10月05日

面接を重視した医学科入試<中編>

<前編から>

 受験生が5つの面接室を巡る横浜市立大学医学部医学科「特別推薦入試」の面接審査(第2次選考)。移動時間も含めて約50分にもわたる面接を終えた受験生は、再び控室に戻り、職員の確認を受けて帰宅します。各高校選りすぐりの精鋭揃いであっても、さすがにこれだけの回数の面接、しかも後ろの3室では、その場で提示された課題を解答させられるとあって、疲労困憊した感じで戻ってきます。解答は単に口頭で述べさせるだけでなく、前回の課題の中には、地球外生命体が存在するとすればどのような形態が考えられるか絵に描かせてから説明させる課題も登場し、多くの受験生が面食らいつつも、頭をフル回転させて解答をひねりだしていました。

 このように手間のかかる面接審査のため、出願者数が概ね15名を超えた場合は、高校の成績や英語資格の水準等による書類審査による第1次選考を実施する事にしています。

 この「特別推薦入試」は2016年度より医学科の入学定員90名の内の5名を募集人員として導入しました。対象となるのは神奈川県内に所在する高等学校(中等教育学校含む)の内、横浜市立校の全ての他、神奈川県立校と私立校については2009年度入試以降に合格実績のある学校とし、2016年度は46校、2017年度は47校、そして2018年度は50校が対象となっています。1校につき所定の条件を満たした1名のみが応募可能で、2016年度は20名、2017年度は21名の応募があったため、2016年度は15名、2017年度は16名を第1次選考で合格とし、第2次選考としての面接審査を実施しました。

 12月の上旬に実施する面接審査では5つの面接室を合計して1000満点で評価し、特に問題がなければ受験者全員を、第3次選考に進ませます。第3次選考は大学入試センター試験であり、一般選抜と同様の5教科7科目を課します。センター試験の配点も1000点満点(一般選抜のセンター試験配点とも同じ)とし、最終の合否は面接審査1000点とセンター試験1000点の合計点により判定を行います。面接審査とセンター試験を同じ配点としていますが、実際の得点差はセンター試験よりも面接の方が大きくなるため、面接の評価が最終合否に大きな影響を与えることになります。

 ただし、センター試験の得点については条件がつけられており、一般選抜の第1段階選抜の合格者の平均点以上でなければ、面接との合計点が高くとも必ず不合格とします。センター試験の後に出願を受付ける一般選抜(特別推薦入試の受験者も半数程度は併願する)では、2次試験(面接も実施)の収容数に限りがあるためにセンター試験の成績による第1段階選抜を実施しており、2017年度ではその第1段階選抜合格者(募集人員85名の3倍の255名)の得点率の平均は、86.8%にもなるのです。

<後編へ>
(出光 直樹)

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入試広報者の課題

 私は日本私立短期大学協会の入試広報の運営委員です。ここでの仕事は、研修会と短大協会誌の作成です。今年も9月初旬に一泊二日で研修会を開催し、一つの分科会を担当させていただきました。そこで多くの短大や併設大学の話を伺いました。毎回思うのは、大学は規模、立地、学部・学科など様々で、その上組織を見ると、もっと複雑になっているという事です。例えば法人広報と募集広報が分かれていて、入試は入試のみの大学があったり入試広報が一緒だったり、四大と短大入試広報は一緒だったり別々だったり。そんな短大の入試広報担当者の研修に参加してくれる方々の目的のほとんどは、この研修会で事例を聞いて、自大学の広報の答えを持ち帰りたいというものです。

 そんな参加者に最初に伝えることは、この研修会で事例を聞いて持ち帰っても、そのままのサイズを自大学で活用できるわけがなく、まして新しい試みを理解してくれる短大の組織体になっていないはずということです。新たな企画を試みるには、他短大の事例のまま実行するのではなく、自大学に合うようにダウンサイズして試行錯誤することが重要なことだと伝えています。そして、研修会で知り合った仲間と情報交換して終了後も互いにコミュニケーションが取れるようなネットワーク作りを考えて欲しいと伝えます。

 以前から、素晴らしい他短大の事例をワクワクしながら聞いてそのまま持ち帰り実行しようとして、周りの理解を得られずに企画自体をつぶされるという体験談をよく耳にします。「うちの短大では無理なことだった。上が理解を示さない。誰も協力してくれない。予算がつかない。」と。ですから、参加者には事例を聞いて実行するときは、まずは自分の周りに理解してもらえるように汗を流して、それから教員に理解していただき、そこから予算を絞り出して実行するぐらいの気概を持って、取り組まないとできるわけがないことを伝えます。素晴らしい事例がすぐにできたわけではなく、その担当者は目に見えない苦労と調整を繰り返して実現できたことを、知るべきだと思っています。

 まずは、自分のモチベーションのコントロールが重要課題になることは、誰もが理解できるはず。孤軍奮闘しても、長くは続かないことはわかるはずなので、まずは自分と周りのチューニング合わせから始めることだと伝えています。その方法は、自分が実行したいと思う企画の周りにある環境や情報などを新聞、雑誌などから切り抜いて重要点にラインマーカーを引いて、ここだけを読んでくださいと理解していただきたい方々に配布します。3か月継続すると、互いの情報量が同様になるのでその頃に新たな企画を持ち込むことです。そうすると、今まで通らなかった企画が少しは実現可能になるはずですと伝えています。

 まずは小さなことから、始めなければ大きなことは動き出しませんよ。

(秋草 誠)

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2017年09月05日

面接を重視した医学科入試<前編>

 昨2016年の12月10日土曜日の午後、神奈川県内の所定の高校から(1校1名ずつ)推薦され、第1次選考(高校の成績や英語資格の水準等による書類審査)を通過した16名の受験生が、横浜市立大学医学部医学科「特別推薦入試」の第2次選考である面接審査に臨みました。

 募集要項には、面接審査はMMI(Multiple Mini Interview)の手法により行われ、受験生は観点別の5つの面接室(1面接室あたり10分程度)を巡り、それぞれ独立して審査を受ける旨が定められています。その評価の観点としては、「志望理由」「社会性」「協調性」「倫理性」「独創性」が掲げられており、その内容(評価方法)としては、初めの2項目(面接室)については出願時に提出する志望理由書(それぞれに対応した2通)に基づいて行われる事、後ろの3つについては、提示された状況課題(シナリオ)に対する解答により評価される旨が記載されています。

 面接日の3週間ほど前、第1次審査の結果とともに受験生に郵送されてきた「受験案内」には、具体的な集合時刻(13時、14時、15時の3グループに分かれている)や、個々の受験生と5つの面接室毎の面接時間が階段状のマトリックスになっている時間割、控室から5つの面接室を巡って再び控室に戻る会場配置図や誘導の手順、シナリオ等の面接内容は17時10分(最後の受験者の面接修了時刻)までは決して他人に話してはいけない事などが記されている他、シナリオのイメージとして次のような例示なども記されていました。

あなたは運動部(チームスポーツ)のキャプテン(3年生)です。入学時から一緒に活動してきた仲良しの同級生メンバーがいますが、友人は成績が振るわないことから次の試合ではレギュラーから外し、成績の良い1年生を抜擢する事になりました。あなたはどのようにそれを伝えますか。


 控室に集合した受験生は、最初の面接開始時刻の3分ほど前になると、係員によって控室から最初の面接室の前に誘導されます。そこには時間割とともに電波時計も用意してあり、開始時刻になるとノックして面接室の中に入って面接を受け、8分ほどで1つの面接が終わると部屋を出て次の面接室の前で待機し、開始時刻(10分毎)が来ると再びノックをして中に入るを繰り返します。

 初めの2つの面接室は、本人が作成した志願理由書を基に、評価者が志望理由や社会的な活動経験などを問い質すというオーソドックスなスタイルで行われます。後ろの3つの面接室では、中に入って着席すると、机の上にシナリオ(課題)が記されたカードが用意してあり、受験生はそれを見て解答を始めるのです。

<中編へ>
(出光 直樹)

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定員割れ大学集まれ!!

 定員割れを起こしている私学にとって恐ろしいニュースが流れました。「定員割れ私大、補助減額 財務省検討、経営改善促す」という記事です。8月20日の日経新聞には

財務省は定員割れの続く私立大学について、国からの補助金の減額・停止を検討する。 (中略)
補助金を受け取る私大のうち40%は5年連続で定員割れに陥っている。財務省は補助金頼みの経営に限界が来ているとみる。

 18年度からは補助金を配る要件を厳しくし、定員割れが続く大学への配分を減らす方向だ。定員割れが数年続いたり、経営状況の改善がなかったりした場合、補助金の打ち切りも検討する。
と書かれていました。

 たとえば、この問題に直面している「定員割れ大学の40%の方々に危機感はあるのか」と問われたとしたら、おそらく多くの当該大学の方々は「危機感はあるが、なすすべがない」と答えるのではないでしょうか。若しくは、「危機感などなく、楽観的な意見が横行する」としかいえない。それほど、私学人はぬるま湯につかり続けていたといっても過言ではないでしょう。とはいえ当該短大に勤務する私でさえ、そんなに急激にルール変更されても、組織として対応できないことは即決でわかるので、「なすすべがない、いわれた通り従います」としかいえないでしょう。それはまるで、ゲリラ豪雨が突然やってきて、川が氾濫し家が流されるくらいの衝撃的なことと似ています。まさかこの地域にやってくるとは・・・ゲリラ豪雨が、この地域にやってきたら危険だろうな、避難場所はどこだったっけ、浸水前に車は何処においておけばいいかな、くらいしか感じていないのと同じように、誰もが数年前からこの日が来ることを、薄々と感じていたはずです。

 補助金がカットされるその先には、募集停止が待っています。その時に悲しむのは、在学生、卒業生とそこに関わってくれたすべての人が挙がるのは間違いないでしょう。その職場で禄を食んでいる教職員の次のことを考える前に、この問題が起きることを認識し、大きな責任の下に今の我々の立ち位置があることに気づくことが大切です。

 大きな変革期に入ったこの時に、まさにその現場で働いていることに感謝し、それを多くの人たちと語り合い、この苦難を乗り越えられる仲間づくりが重要課題になりますね。

 定員割れ40%の大学は、そこここに沢山あるのです。うちは大丈夫だなんていわないで!転職しようとも考えないで!せっかくなのでこの場を切り替える何かを考えましょうよ。FMIICSには、そのシーズがあるのかもしれないと期待している私です。

(秋草 誠)

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2017年07月27日

『オックスフォードからの警鐘 − グローバル化時代の大学論』


 苅谷 剛彦 著 中公新書ラクレ(2017/7)

序章 日本の大学が世界の「落ちこぼれ」になる
第一部 「スーパーグローバル大学」の正体
1 「国際競争力」という幻想
2 オックスフォードから見た日本
3 スーパーグローバル大学のゆくえ ― 外国人教員「等」の功罪
第二部 文系学部廃止論争を超えて
4 国立大学の憂鬱 ― 批判のレトリックをめぐる攻防
5 文系学問の国際貢献と大学ランキング
第三部 海外大学・最新レポート
6 EU離脱と高度化人材
7 グラマースクール復活から見るイギリスの教育論議
8 どこでも行ける者と留まる者
9 教育の不平等をめぐる国際会議
第四部 ガラパゴスからの脱出
10 大学院競争に乗り遅れる日本
11 成人力がトップなのに生産性が低い理由
終章 「グローバル大学」への警鐘 ― 日本の大学は何をめざすべきなのか?

 東京大学で学士・修士と修め、米国のノースウェスタン大学でPhDを取得し、東京大学教授から2008年よりオックスフォード大学の教授となった教育社会学者による、日本の“ガラパゴス化”した“グローバル大学”批判の書。2014〜2017年に学術誌・雑誌・新聞等で発表した論考(序章と1〜11)を加除修正し、書き下ろしの終章を加えて構成されています。併せて、2012年に同じく中公新書ラクレで「グローバル化時代の大学論」としてシリーズ刊行された『アメリカの大学・ニッポンの大学 ― TA・シラバス・授業評価』『イギリスの大学・ニッポンの大学 ― カレッジ、チュートリアル、エリート教育』も一読すると、より背景の理解が深まるでしょう。

 スーパーグローバル大学を巡る狂騒や、文系大学廃止論争の沸騰、大学院教育の振興と高度化人材の獲得競争(に遅れる日本)、といった問題を通じ、日本の教育政策に大きな影響力を持つようになったグローバル化という言葉が、現に社会で起きている社会変動の実態を表すよりも、イデオロギーとして用いられる側面が強く、実態の理解よりも外部に創られた序列(世界大学ランキング)に迎合していることが、日本の大学(政策)の混迷や迷走の背景と指摘します。

 日本の大学(政策)が取るべき道は、日本語での教育研究が可能になった知の遺産と独自性を活用し、自分たちの内部に参照点(自分たちにとって大学とは何か、何をすべきところかという原点)を持つこと。それは大規模研究大学に限らず、短期大学も含めて全ての大学人が肝に銘ずるべき事と思います。

(出光 直樹)

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2017年07月26日

短大は生き残るか?

 前回の保育系学校選びのポイントの中で、四大への進学について説明しました。では、短大はどうなるのかを説明します。その前に少しだけ、昨年10月頃にメディアで取り上げられたニュースでの問題のおさらいをします。当時は、保育士の給与は安く(手取り13万〜14万円)、労働環境が悪いなどと報道されていました。これについては、高校生や保護者と高校の先生がたも信じていたようでしたので、これは全国平均の金額だと、ことあるごとに説明していました。本学の近隣では手取り16万〜17万円です。ある県では、初任給が10万円強で、なおかつ専任として採用されない地域もあることも説明しました。これは高卒が工場のラインで働くより、条件が悪いのです。こういう地域もあるので、全国的にみると労働条件が悪いと報道されてしまったことを説明し、理解していただきます。お蔭様で、近隣の高校の先生方や生徒・保護者には、広く理解していただけたようです。

 この問題をクリアしても、短大の生き残りがどうなるかという根本的な問題が残っています。私は全国に大学関係の友人がいるので、情報が入ってきますので整理すると、地方ではすでに生き残り確定の短大も出ていると思っています。これについては、立地条件や競合校などが絡み合う問題なので、一概にいうことは出来ませんが、地方のある地域では如実に表れていることを知っています。果たして、この流れは都心部だとどうなるのか、未だ見えてきませんが、事実だけを積み上げてみます。来年度、募集停止を決めた立教女学院短大の今年の入学者は、定員300名の8割強の状況だと聞きました。さすが立教女学院さんは募集停止が決定しているのに、強い募集力だなというのが本音です。この他に渋谷区にあるブランド短大も募集停止を考えているようです。都心ではこのほかにも、四大併設の短大は募集停止を考えている学校もあるようです。まさにこの状況を見ると、短大は生き残れるのかという議論が高まると思うのです。コップの水が、半分の入っているのか、半分しかないのかに似ています。高校現場の先生方と話していて、不景気で進学するのも大変だ。という一方で、最近は四大志望者が増えているという話に似ています。

 この中で短大が生き残っていく、道があるのかを考えることが、学生募集の先方隊で戦っている私の仕事だと思っています。

 結論は、短大進学者の数はある一定で下げ止まり、多くの四大併設短大が無くなった後までこらえ切れた短大は生き残ることが出来ます。それまで、多くの短大がマーケットから消えてなくなるのでしょう。その時に、日本私立短期大学協会が存在しているのかは、神のみぞ知るですね。

(秋草 誠)

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