2017年03月01日

混迷からの脱出

 はじめしゃちょーHIKAKIN(ヒカキン)さんを知っていますか?この二人は有名なユーチューバーです。彼らがユーチューブに情報を流すと、商品が売れるという話です。若干情報に遅れ気味だと思いますが、最近様々な方向から、ユーチューブの話が聞こえてきます。

 電通の知り合いは、このところテレビの広告費が減って、そのかわりユーチューブ広告へ予算が移ってきているという話を教えてくれました。また、卒業生や学生たちにテレビを見るかリサーチすると、テレビよりユーチューブを見るという人の方が圧倒的に多かったのです。気づかないうちに情報の取り方が大きく変化しているようでした。私のように家に帰ると、すぐに見もしないテレビをつけっぱなしにする人が減ってきたのだと思います。

 先日、友人が小学生の子供に「大人になったら、何になりたい」と質問をすると、ユーチューバーと答えられ戸惑ったという話がありました。友人曰くプロ野球選手とかサッカー選手といわれると思っていたが、流石にユーチューバーには驚いたということです。

 オックスフォード大学が認定した、あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」702業種が本当になりそうな予感がしました。その上、今後10〜20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクがあるともいわれています。きっと子供たちはその変化を肌で感じ取って、言動に表れてきているのではないかと思いました。まさに5年後、10年後にその小中学生が大学に入学する頃には、職業に対する意識は大きく変化していると思います。

 そろそろ大学も勝ち組と負け組のラインが見え隠れしてきた頃だと思いますが、これからの2〜3年は、今まで以上に入学者の動向に大きな変化が如実に表れることは間違いないでしょう。自大学が変わらなければいけないことは、誰もが理解しているとは思いますが、危機感の温度差に問題があります。大きく変わらなければいけないのか、今までの延長線上を少し変化させればいいのか、このカタチを示すことが出来ない大学が多数です。現状の変化に気づき、自大学に合わせた改革をしていない大学が果たしてこのまま生き残れるのかは、結果を見るよりも明らかだと思います。2018年問題といいながら、どのようにして自大学を改革したらいいのか分からない、大学のトップマネジメント達が、耳心地のいい改革案を出してくれるコンサルタントに頼るのは必然のことです。今後は多くの大学がコンサルタントを頼り、学生不在の改革案に乗り学内が混迷すると思います。

 この状況を打開できるのは、上杉鷹山のような灰の中から残り火を見つけ、新たな炭に火を移せる作業が出来る人がいる大学だと思いました。そんな人を目指したいですね。

(秋草 誠)

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2017年02月01日

2017年度「大学アドミッション」のご案内

 例年に引き続き、桜美林大学 大学院 大学アドミニストレーション研究科(修士課程)にて、私が非常勤講師として担当している授業科目「大学アドミッション」のご案内です。シラバスの詳細等は、追々私のブログにて更新して行きますので、あわせてご覧ください。

 この授業科目は2014年度に新設され、今回で4年目となります。4月〜7月の春学期に都心部(千駄ヶ谷)のキャンパスで開講しますが、研究科の通信教育課程に在籍するの遠隔地の方等への履修の便を図りつつ、受講者による課題報告とディスカッションを重視した授業展開を意図して、毎週ではなく月に1回の間隔で日曜日に集中開講します。2017年度の授業日は4月23日、5月21日、6月18日、7月16日の4日間で、時間はいずれも10時〜17時(昼休み含む)です。2単位という限られた時間数の中、以下の展開を予定しています。

 初回は私による包括的なレクチャーで、「入学者選抜と高大接続をめぐる課題」を整理します。もちろんこの段階でも答申等の各種資料について事前に目を通して来てもらいます。2回目は「入学者選抜制度運用の実際」を実例を用いて検討すべく、最初の課題報告として自身の関係する大学等における具体的な入学者選抜制度を取り上げて、その特色や課題を報告します。3回目は「広報活動の課題」を探るべく、関係者へのインタビューを含めた広報活動の実例を報告します。4回目は「学生の目から見た大学選び」を検討すべく、3名以上の学生に対してインタビュー調査を行い、入学前の大学選びに関する意識や行動、受験のプロセス、大学入学後の適応などについてまとめ、報告します。

 昨年は9名の履修者と1名の過年度履修者の計10名がこの授業に参加。遠くは愛知県や新潟県からもお越し頂いくとともに、所属先も大学のみならず、コンサルタント会社や専門学校、大学に留学生を送り出す日本語学校の方も参加されていましたので、様々な興味深い事例報告とともに、活発なディスカッションが展開されました。このように入試広報部門の大学職員の方はもちろん、大学の入試広報や高大接続の課題に関心と何らかの接点をお持ちであれば、それ以外の部門や大学以外の機関に所属されている皆様も、大歓迎です。

 大学アドミニストレーション研究科の4月入学に向けた出願締切は、通学課程・通信教育課程ともに2月27日(月)ですので、正規の大学院生への応募もまだ間に合います。また正規の大学院生とならなくとも、大卒やそれに準ずる学歴のある方であれば、科目等履修生(単位認定あり)や聴講生(単位認定無し)として、気軽に履修する事が出来ます。科目等履修生・聴講生の出願締切は、3月31日(金)となっています。

(出光 直樹)

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そこここにある改革案

 ゴルフ場に行くと、以前からこんな話が聞こえていました。「最近は若い人がゴルフしなくなったよな〜」「明らかにゴルフ人口が減っているよ」「平日のゴルフ場はおじいさんとおばあさんが目立つよね」「このままだとそのうちドンドン経営が苦しくなって、閉鎖するゴルフ場が増加するかもね」「ある名門コースは、若い人が入会しないのでガラガラのコースもあるし、おじいさんだと18ホール回らずに9ホールでお昼を食べて帰る人もいるらしいよ」「そうなると一般のお客さんを入れないと経営が苦しくなるし、収入が減ってコースのメンテナンスが出来なくなるだろうな」「このままだと、そういうゴルフ場も出てくるかもね」というどの業界にも当てはまる話でした。未だに古くからあるゴルフ場の中では、ビジターでは予約できずプレーができないというシステムが残っています。そういう古くからあるゴルフ場は、慣習に縛られメンバーの意見や世間体を気にして、安価でプレーできる企画を打ち出して集客を図ることは、なかなか実行できないのが現状でした。

 この話の解決策を最近発見しました。スポニチゴルファーズ倶楽部やゴルフレッスンで有名な米田プロが薦めるハッピーゴルフアカデミーの企画がまさに現状を打開する策です。この二つの企画の特徴は、ある一定条件を満たす会員を募って年会費を取り予約やゴルフコンペが出来るようにしたのです。今までは出来なかったことを具現化したのです。業界にとっては、切実な問題を解決する一助だと思いました。20年前では考えられなかった企画です。結局は、古いシステムが回らなくなり、その業界の構造に歪が生まれ、その現状を打開する新たな企画が生まれるのは当然のことです。今まさに至る所で起きている構造改革のひとつの打対策を見せていただきました。大学も同じように「ムリダメできない」といわず、斬新なアイディアが必要ですね。そのためには、自大学の身丈にあった「ニーズ」は何処にあるのかを、見つけ出すことが重要課題です。新しい企画を打ち出すために、必死になって探れば案外この「ニーズ」は近い所で発見できるはずです。とはいえ、すぐに出来ないといわれそうなので、やってはいけない一例をお伝えします。それは、探し出さなければいけない「ニーズ」をコンサルなどに頼むことです。これをしてしまうと、一瞬は成功するけれど、教職員が育たないことに加え不信感が生まれてしまうからです。人を涵養しなければならない組織にすぐに答えを出す仕組みだけが残ってしまい、「考えない、動かない」組織へと変えてしまうからです。問題は、従来の慣習で生きてきた古い思考の人が、若手を信用して新たな時代を一緒に走れるかということだと思っています。

(秋草 誠)

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2016年12月28日

『流しの公務員の冒険: 霞が関から現場への旅』


 山田 朝夫 著 時事通信社(2016/10)

  序章 「自分の仕事」をつくる
 第1章 病院再生(動かす / 巻き込む / 創り上げる)
 第2章 霞が関の憂鬱
 第3章 流しの公務員の誕生
 第4章 トイレを磨く
  終章 流しの公務員「仕事の流儀」

 私にとって2016年最高の一冊でした。所々に傍線を引いてしまい、何度も何度もうなずかされ、感動の涙すら誘う、組織の中にあって組織に拘束されない「自分の仕事」の実践記録。カバー写真には、作業着を着てトイレを磨いている著者の、素敵な笑顔が写っています。

 1961年生まれの著者は、1986年に東大法学部を経て当時の自治省に入省。鹿児島県庁、衆議院法制局、自治省選挙課、大分県庁の課長、自治大学校教授を経て、1997年に大分県久住町に赴任。キャリア官僚で初めて町役場の一般職員になり、以後、地方自治体を渡り歩く「流しの公務員」を自称します。

 2015年に愛知県常滑市の副市長を退き、現在は同県安城市の八千代病院の理事兼法人事務部長を務めていますが、本書の半分近い分量を占める第1章は、流しの公務員最後の赴任地での、常滑市民病院再生の壮大な物語がつづられています。累積赤字を抱え「死人病院」とまで揶揄された市民病院を、市民や病院職員の参画による100人会議を立ち上げ、関係者を当事者に巻き込む手法により、劇的な経営改善と新病院建設を果たします。

 第2章〜第4章は、法案作成の激務を担った霞が関の行政官から、地方行政の現場に入り、ワークショップの手法で地域の人々を巻き込み、潜在力を引き出しながら課題を解決していった「流しの公務員の誕生」の物語が、失敗経験の振り返りも含めて語られます。

 終章は、現場に根ざした「仕事の流儀」のまとめ。琴線にふれるフレーズが満載です。 “問題解決で大事なのは「本質=真の原因」に迫ることです。” “現場に入り込んで、自分の体で感じることが必要です。” “人の心を動かすのは「戦略の正しさ」ではない。「ゴール」のイメージとそこに至る「物語」です。” “リーダーの一番の仕事は「こうやれ、ああやれ」と命令する事ではなく、「場を整える」ことだと私は思います。…コーヒーを用意する。朝早く来て部屋に掃除機をかける。会議の準備で一緒にホッチキス止めをやる。これらはみな「場」を整える作業です。”

 非営利の公的セクターであり、立場の違う関係者が複雑に絡み合うという点でも、地方行政と大学運営の現場は共通する点は多く、FMICS人には本書から大きな示唆が得られること、間違いありません。
(出光 直樹)

【追記】Youtubeに、本書で登場する場面の動画がありました!

常滑市民病院竣工式 いきものがかり「風が吹いている」合唱 <本書p138〜144>


山田朝夫常滑市副市長 退任セレモニー@ <本書p290>


山田朝夫常滑市副市長 退任セレモニーA <本書p291>


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答えはひとつではないのに

 平均寿命が延びて、多くの高齢者が様々な場で活躍している姿を目にします。平日にゴルフ場にいっても若い人は少なくて、高齢者の方々が元気よくプレーしているのを見かけます。平日の昼間の電車にも、席を譲ったら叱られるのではないかと思うくらい、元気でハツラツとした高齢者が多くいます。現在身近にいる多くの高齢者の方が、昔の高齢者よりも若くて元気な人が多くいます。

 一方でなんだか覇気のない若者も多く見かけるようになりました。いつの間にか、週末に飲んで騒いでいる若者を見かけなくなり、社会全体に活気がなくなってきたように感じています。24時間営業のファーストフード店で夜中に働く人が少なくなって、営業が出来ない店もあるそうです。ハングリーという言葉を耳にすることもなくなりました。がむしゃらに働いてお金を貯めるという人も、少なくなってきていると思います。若者の価値観やコミュニケーションの取り方に変化が訪れているといえるでしょう。

 そんなことを考えながら、改めて「ゆとり世代」をネットで検索してみました。ウィキペディアから「ゆとり世代」の文化と特徴は、「情報化社会の急速な発展の中で成長した世代で、幼少期にはポケットベルが隆盛を迎え、PHSも登場、学齢期には携帯電話の普及率が上昇、飽和化し、インターネットも爆発的な発展をとげ、メールをはじめmixi、twitter、Facebookに代表されるSNSやソーシャルネットワークがコミュニケーションツールとして完全に定着した。バブル経済崩壊のあとに長らく続く経済停滞の風潮を受け、戦後の経済成長期の世代と比較すると堅実で安定した生活を求める傾向があり、流行に左右されず、無駄がなく自分にここちいいもの、プライドよりも実質性のあるものを選ぶという消費スタイルをもっている。また、結果を悟り高望みをしないため、この世代は「さとり世代」とも呼ばれている。」とあり、まさに私が感じている若者たちでした。「堅実で安定した生活」の裏には、「失敗をしてはいけない」という気持ちがあります。「失敗したくない」ために職場で確実な答えが欲しいのです。出てくる言葉は、「教えてもらっていませんから、できません」心の中では、「教えてくれればできます」と思っています。堅実なので、一問一答の確実な答えが必要なのです。そうはいっても、職場では教えてもらったことと、少し違ったことにも対応しなければいけない状況は次から次に起きます。これに対して、ひとつずつの答えが欲しいのです。

 ですから、「この間、教えただろう!」といわれ、心の中で「前回とは違います」といっています。このギャップに問題があると感じています。最近は、このギャップを埋めるためのプログラムを考えていますが、いまだ答えが出ていません。わかっているのは、アクティブラーニングではないだろうな〜ということだけです。

(秋草 誠)

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2016年11月28日

隠れキリシタンではなく堂々と

 大学職員を主たるターゲットにした大学院である、桜美林大学の大学アドミニストレーション研究科の関係者によって使われるジャーゴン(業界用語?隠語?)に“隠れキリシタン”があります。おそらく他の社会人大学院でも通じるのではないかと思うのですが、職場に内緒で大学院に通っている人を意味する言葉です。

 大学職員が大学院で学ぶ事が、江戸時代のキリスト教信仰の様に法令で禁止されている訳でもなく、はたまた職場の就業規則で禁止されているケースも恐らく皆無だとは思いますが、職場の理解が得られそうになかったり、無用の軋轢を避けるためなどの理由から、職場には内緒で学びに来ている人は、少なからずおられます。

 悲しいことではありますが、教育機関で働いているのにも関わらず、大学職員の世界では働きながら学ぶことを快く思わない気風が、まだまだ見受けられるようです。また職場に内緒にせずに学んだ人の場合でも、やっとの思いで大学院を修了した際にわが事の様に喜んで祝福してくれたのは教員の方々で、事務職員からの反応は淡泊なものだったという事も、よく聞くエピソードだったりします。

 とは言え、これから大学院等での就学を考えている大学職員の方から相談された場合には、様々な事情により一概には言えない面もあるかもしれませんが、職場に内緒にせずに堂々と学ばれるべきだと、私はアドバイスしています。

 大学職員に限らず現職の社会人が大学院で学ぼうとする動機には、学んだ事が即効的に役に立つかどうかにかかわらず、学ぶことによって自分の仕事をより良いものにしていく事が、多かれ少なかれ含まれていると思います。とは言え、大学院で学んだ事が短期的に役に立ったり、特権的に力を発揮するという事はほとんどないでしょう。大学職員を含む事務系の仕事というものは、利害関係者と関わり交渉しながら遂行していくものであり、頭の中の知識のみでポソッと勝ち負けが決まるようなものではないからです。

 ですので、軋轢を避けて自分が大学院で学ぶことを職場に隠しているようでは、学んだ事を良い仕事に結びつけられるのかどうかも危ぶまれます。同僚や上司からの抵抗があったとしても、しなやかに乗り越え、少しずつでも理解を取り付けていく事こそ大切な1歩。ひけらかす事はありませんが、堂々と学んでいく事こそが、良い仕事に結びつくと思うのです。

(出光 直樹)

【追記】12月17日(土)の午後、桜美林大学の四谷(千駄ヶ谷)キャンパスにて、大学アドミニストレーション研究科の説明会と、大学職員の学びをテーマとした公開の研究会が開催されます。

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安心して働ける?

 最近の私は企業の人と会うと必ず、二つの質問をしています。一つ目は、今年の新入社員は何名だった。そして、何人が辞めたの?二つ目の質問は、あなたの職場や友人にうつ病の方はいますか?という質問を投げかけます。一つ目の答えは、すでに辞めた人がいる会社が多いです。二つ目の答えは、ほぼすべての人がいると答えます。

 なんだか私たちの暮らしている空間の居心地の悪さが、二つの質問で明確になってきた感じです。どうしてこんな空間になってしまったのだろう?

 多くの高校生と大学生を見てきた私が感じることは、30歳前後の人から大きく価値観が変わっているように見えます。この人たちの価値観は、答えは一つしかないので、それ以外の答えが浮かばないので発言が出来なくなるようです。頭の中では、「間違っていたらどうしよう。バカだと思われるのが嫌だ。会話中のどこで発言すればいいのだろう。」とグルグル思考が回っているようです。結局は、「黙っていればどうにかなるんじゃないか」という感じです。

 そんな人たちが、その先を求められると「答えを先にください。どこで発言するか合図してください。」と言動に表れてきます。それを見ている我々先輩は、「そんなことわかるだろう!この間もいっただろう!何回同じこといわせるんだ!」と勝手に切れてしまいます。

 そんな言葉を浴びせかけられた人の行く末は、辞めるか!病気になるか!しかないですね。こんなことが、どこの現場でも同じように繰り返されています。そんな空間で暮らしている私は、今後日本の社会で発展していく企業のカタチを考えてみました。若い人たちがどうしたら、安心して働けるのかです。それが、問題発見解決型の人間力を養成することだといえます。でも、ここが問題ですよね。答えはわかっているけど、それをどのように具現化するかわからない。ここで教育機関にアクティブラーニングとラーニングコモンズの登場です。あぁ・・・なんてことを、これで解決できるわけがない。

 人々がいやすい空間をどのように創りだすかが問題なのに・・・難しい話ではありません。人は一人では生きていけません。昔からある心を忘れないことです。「感謝する心を忘れない人」「ごめんなさい、すいませんがいえる人」「人を責めず、お互い様といえる人」「あなたがいるから幸せだと伝えられる人」そんな人になれる空間を創りだせばいいだけです。もし、この4つのことを常に考えている組織だとしたら、辞めますか?病気になりそうですか?こんな単純な話を大学で「事例や論文があるのか」なんて、難しくするのは、もうやめましょうよ。企業にお願いしたいのは、“安心して働ける職場作りをしてください”だけです。

(秋草 誠)

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2016年10月25日

新テスト・記述式試験の行方<後編>

<中編から>

 国立大学協会の「論点整理」(8月19日)や、文部科学省の「高大接続改革の進捗状況について」(8月31日)において、新テストの記述式試験の具体的な実施方法に関する複数の案が示され、その中でも、答案の採点を受験生が出願する各大学が個別に実施する案がクローズアップされてきました。

 それに対し日本私立大学団体連合会は、10月5日に「『大学入学希望者学力評価テスト(仮称)』の検討状況についての意見」を発表し、記述式問題を各大学が採点する案について、反対を表明しました。理由として挙げられているポイントは2つで、1つは共通テストとしての採点の信頼性・妥当性に関する懸念、そしてもう1点はやはり、2月上旬から個別入試を実施する私立大学にとって、新テストの記述式試験の採点をするのは実質的に不可能という点です。

 しかし10月18日の毎日新聞の報道によれば、それでも文部科学省は、各大学で採点する方針を固め、11月4日に開催される国立大学協会の総会で説明する方向で調整しているとのこと。これが本当だとすれば、あまりにも残念な対応です。

 そもそも記述式問題の具体的な採点方法については、「高大接続システム改革会議」の最終報告や「高大接続改革の進捗状況について」においては、問題形式や回答字数等の諸条件に応じた採点者の実働人数や日数等の詳細な試算は示されているものの、その担い手としては、民間事業者の活用ということがさらっと書かれているだけで、その点の想定があまりにも甘かったのでしょう。答案のOCR読取やクラスタリング等の採点支援システムを活用するにしても、50万人を超える答案を採点するとなると、多数の採点者に対する研修等もしっかりと手当しなければならないのです。

 しかしそうであればこそ、記述式試験の採点者は受験生を送り出す側の高校教員こそ担い手とし、記述試験の導入が、受験生のみならず高校教員にとっても能力開発の機会となるように位置づけるべきだと思うのです。記述式試験の導入にあたってモデルとして参照されている諸外国の共通試験では、採点者は高校教員が担っている例が多く見られますし、2016年5月号の小論で紹介した米国のAPも、高校と大学の教員が共同して記述式問題の採点を行っています。

 もちろん現行の1月実施のスケジュールでは、高校教員の参画は難しいでしょうから、少なくとも記述式試験は12月頃に実施して、年末年始の期間を利用して採点にあたることが現実的でしょう。高大接続改革が、単に大学入試だけでなく高校教育・大学教育の改善を含めた一体的なものと掲げているのであればこそ、文部科学省には政策官庁としての気概を発揮して、高校の協力も取り付ける形での実施案を取りまとめてほしいと思います。

(出光 直樹)

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カルチャーが人を救う

 先日、IT企業の営業マンのTさんが来学し、本学のネット環境などの様々な提案をしてくれました。そのTさんがあまりにも、イキイキと輝いて見えたので、少し意地悪な質問をしてみました。「ところで、今年の御社の新入社員は何人辞めたの。」最近の私は、企業の方と話す時は、この質問をします。この質問のTさんの答えがとても印象的でした。「弊社では、3年間で一人しか退社していません。その一人は勉強をするために辞めました。」という驚きの返答でした。ここで興味がわいたので、なぜ、辞めないのか理由を聞きました。するとすかさず、「弊社には15のカルチャーがあり、そのカルチャーを全社員が遵守しているからだと思います。」というのです。その15のカルチャーは以下の通りです。

 1、組織成長への貢献、2、本質の見極め、3、スピード&クオリティ、4、プラステクノロジー、5、他部署への尊重、感謝、6、期待+α、7、脱・受け身、8、他責の否定、9、法令とモラルの遵守、10、Execution、11、創造のための効率化、12、変化を楽しむ、13、素直・謙虚・率直、14、迅速なリスク対応、15、知的好奇心の探究。

 なんと素晴らしい話だろうと思い、もうひとつ突っ込んだ質問をしました。「若い人たちは自己肯定感がなく、どこかに正解があると思っていて失敗したくない傾向が強い人が多いが、その対応策はどうしているのか。」すぐに却ってきた言葉が、「それに当てはまるのは、5番の他部署への尊重、感謝です。他部署の存在のおかげで、自部署の業務が成り立つ。私たちは得られる情報や経験の差を認識し、理解を深め、協力しあえる組織である。」と応えてくれました。そして、「答えは教えずに、なぜわからないのか、なぜ出来ないのかを一緒に考えるという仕組みが出来ていて、一緒に働きたいと思える仲間を作っています。」とアッサリと応えられました。Tさんは久しぶりに出会った、素敵な営業マンです。このTさんのような人たちが沢山いる会社となら、一緒に仕事がしたいと誰もが思うのではないでしょうか。

 よく聞くと業界では2番目に大きな会社で、社員は500人を超えているといっていました。500人の社員がいて、3年間で一人しか辞めていない会社なのです。思わず出た言葉が、「本業のITの営業もいいけど、人材育成のコンサルをした方がいい。最近の企業は、人材が辞めてしまうことの対策が出来ていないので、必ず売れるはずだ。」というのと、同時に考えたのは、Tさんの会社のカルチャーが大学の中退問題の解決に繋がらないかです。一度、Tさんの会社に伺ってその空気を感じてみたいと思いました。

(秋草 誠)

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2016年10月03日

新テスト・記述式試験の行方<中編>

<前編から>

 8月19日に国立大学協会の「論点整理」が公表された後、8月31日に文部科学省は「高大接続改革の進捗状況について」を公表しました。この中で、現行の大学入試センター試験に替わる新テスト・「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」における記述式試験の導入と実施時期を含む全体の制度設計については、先の国大協の「論点整理」と同様な、以下の3つの案が示されています。
 
【案1】1月に実施し、センターが採点する案

【案2】12月に実施し、センターが採点する案
 @記述式とマークシート式を同一日程で採点する案
 Aマークシート式は従来通り1月に実施し、記述式を別日程で実施する案

【案3】1月に実施、センターがデータを処理し、それを踏まえて各大学が採点する案

 それぞれのメリット・デメリットについての見解も、先の国大協のものとほぼ同じですが、国大協の検討案では避けられてたマークシート式と記述式の別日程での実施案も、案2Aとして列挙されいます。国大協の文書も文科省の文書も、各論併記で特定の案が有力と明記している訳ではありませんが、現行の入試日程の枠組みを前提とすれば、比較的出題・採点の制約の少ない「各大学での採点案」が有力かの様に受け止められ、報道でも強調されているように思います。

 しかしこの各大学での採点案は、おそらく採用されないのではないかと私は思います。1人の受験生の答案を、複数の大学が重複して採点する事の無駄や、入試業務以外でも多忙な各大学教員の負担増への反発もそうですし、2月上旬から合否発表が相次ぐ私立大学の入試日程のから見てみれば、多くの私立大学はこのスキームに乗ることは出来ないでしょう。国公立大学の中ですら、個別採点の負担から記述式試験を利用しない大学・学部が続出することも考えられ、国家的事業としてすすめる高大接続のインフラ造りにふさわしい発想とは思えません。

 新しいインフラを機能させる為には、現行の入試日程の前提そのものを見直して考えるべきであり、新テストを12月に実施することについて積極的に検討すべきと私は思います。受験日程が前倒しになることについての高等学校側の反発が取りざたされますが、すでに推薦入試やAO入試が早期に実施され、一般入試にも活用されつつある英語資格の検定試験なども12月以前に受験をしているのです。そもそも、国公立大学の一般入試受験者の進路決定(合格発表)が、多くの生徒にとって高校の卒業式以降となる3月中旬以降という現行日程こそが不自然であり、高校3年生の2学期に教科に関わる学力試験が実施されることについてタブー視するかの発想は、見直すべきだと思うのです。

<後編へ>
(出光 直樹)

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