2016年07月15日

大学シャッター通り

「文部科学省の大学設置・学校法人審議会は28日、2017年度に私立大44校が入学定員を計7,354人増やすことを認める答申を出した。増加人数は前年度の2倍。うち、収容定員が8千人以上の大規模大11校の定員増は3,866人で、前年度の3倍にのぼる。定員増の人数が多いのは近畿大が920人、東洋大が569人、立命館大が472人、立教大が454人などとなっている。」(朝日新聞デジタル

 人気のある大学が定員増をするニュースを聞くたびに、頭の中で違和感が拡がっていきます。地方の小さな大学の入学定員をはるかに上回る定員増をしても誰も文句も言わず、従うしかないのが現状です。人気がある大学は、定員増をしても目に見える変化は訪れないと思い込んでいるフシが見えます。本音は大学全体や学生のことなどはお構いなし、自大学が生き残るための定員増推進です。隠されている事実は、入学者数はほぼ変わりませんが、規制が厳しくなり補助金に影響するため、集められる学生がいるうちに定員増して安定的な収入増に結び付けたいというのが本音でしょう。

 この姿は、まるで以前の大手スーパーDが勢いを増して、ドンドン地方に進出して商店街の意向など無視し、シャッター通りを作ってしまったのに似ている気がしてなりません。結果はご存じのとおり、その地域を衰退させ多くの住民の生きる力をそぎ落としてしまいました。現在はEが同じように、ドンドン増幅中です。この流れも永遠に続けられるものではないだろうと予測しています。

 ふと感じたのは、今まで大学は何を考えて進んできたのだろう?学生を育成する機関として、存在していたのだろうか?国民の大切な税金を使い、しっかりと研究成果を出せたのだろうか?もしかして大学は教職員の給与のために存在するではないか?この定員増は、キャッシュディスペンサーを増幅しているだけのように見えるのは私だけなのか?最近、頭の中が混沌とし始めました。

 そろそろ我々、大学人は他業種の過去の事例などから、学ぶことを受け入れなければならない時期が来ているのではないでしょうか。ただ自分たちの組織を守る正義のために、推進する行為が愚かな行為だと気づくべきではないでしょうか。

 そうはいっても、各大学の教職員まで落とし込んで考えてみると、その家族を養わなければならない事情が目の前にあります。生き残りを賭けた戦いに突入したと暗黙ですが理解しています。まさに一丸となって、なりふり構わず定員増を推進するしか道はないのです。

 この行き着く先に残るものは、大学シャッター通りかもしれないが、そうならない努力をFMICSの皆さんと共に頑張りたい思いです。

(秋草 誠)

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2016年06月07日

生き残りセントでヒント!

 最近、土曜夜中の番組『昼のセント酒』にはまっています。主人公は広告会社に勤めていて大の銭湯好き、営業先でフラッと目についた銭湯に浸かってしまい、その後に一杯やってしまうというパターン化されたストーリーが面白くて見ています。そこには地元の人たちに愛されている、個性溢れる銭湯が紹介されます。私も子供の頃は、よく通った銭湯ですが、最近はスーパー銭湯に行くので存在を忘れかけていました。先日、テレビに触発されて久しぶりに以前から気になっていた銭湯に自転車で行きました。想像通りの地元密着型で番台があり、子供の頃から通っていると思われる年配の方がいたり、中には刺青が入っている人もいたりしました。その銭湯の周りには、飲み屋さんが数件あり、人が集まるパワーを感じました。車で行くスーパー銭湯では、ありえない光景でした。テレビのお蔭でなかなか風情のある銭湯を見つけることができました。

 そういえば、子供の頃には沢山あった銭湯が今では探すのが難しくなったな、と思い調べてみると思っていた通りでした。私が思っていた銭湯は公衆浴場という名称で、この中に「一般公衆浴場、個室付浴場、ヘルスセンター、サウナ風呂、スポーツ施設、その他」と分類されていました。私が銭湯と称していたのは一般公衆浴場でした。興味があったのでその内訳の推移を見てみました。古いデータから話しても面白くないので平成10年から説明します。平成10年に公衆浴場は26,744あり、一般公衆浴場は8,790、個室付浴場は1,328、ヘルスセンターは1,911、サウナ風呂2,671、スポーツ施設0、その他12,044でした。その後、平成24年には、公衆浴場は27,074あり、一般公衆浴場は4,804、個室付浴場は1,370、ヘルスセンターは2,337、サウナ風呂1,820、スポーツ施設3,271、その他13,472と変化していました。全体数は微増ながら一般公衆浴場は半減していました。この数字を見て短大のようだと感じました。ちなみに短大の同時期の推移は、平成10年に588校ありましたが、平成24年には372校、平成27年には346校になっています。スーパー銭湯などに押されて存在感薄れた銭湯は、まるで四大と専門学校に押しやられた短大のような気がしてなりません。しかし、地域密着型で地元の人に愛されて、個性ある一般浴場が残っているということは、これからもこの銭湯が生き残れるであろうと予想できます。

 この銭湯生き残り策を短大生き残り策に変えても面白いと感じました。まず、番台からお客さんに声掛けは当たり前、来ているお客さんの家庭状況や近隣の商店などの情報も集まります。どこのお店が美味しくて安いのかは、番台やお客さんから聞くことができる人情味ある人間関係が魅力的です。このようなコミュニケーションと地元を愛する空間に人は集まるのではないかと改めて思いました。これは短大生き残りのヒントですね。
(秋草 誠)

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苦しいときの遊び心

 気象庁から九州地方〜東海地方は4日、関東甲信越地方は5日に梅雨入りの発表があった。梅雨本番を迎え学生さんもしんどい時期、付属図書館でもアルバイト学生さんの体調不良が出始め、欠勤が増える時期でもある。お休みした学生さんの代わりにカウンター業務に入る機会が多くなるので、シフトが一緒になる学生さんと接する機会も多くなる。

 先週一緒になった学生さんが持参した記事は「地方出身学生に配慮を」と「卒業成積1年終了時と関連」(毎日新聞6月3日(金)総合・社会面)であった。

 「地方出身学生に配慮を」は、中央大学が18歳選挙権実現に伴い、学生が不在者投票制度を利用しやすいよう、総務省と東京都選挙管理委員会に不在者投票記載場所の増設を求める要望書を送付。中大は地方出身の下宿生が多く、地元で成人式に出席したいという理由で住民票を移していない学生も少なくないとのこと。学事課は「選挙制度に関する情報を学生に伝えるのが大学の使命。他の大学とも連携して、実際に投票しやすい環境をつくる取り組みも進めたい」と話す。私は学生さんから本学の対応について聞かれると思いどぎまぎしたが、学生さんの第一声は「中大が首都圏以外の学生が約4割を占める」のは信じられないとのこと。この学生さんは地方出身者、東京の大学は東京の人が多いと思い込んでいるため、私が中大の職員に事実確認をするという宿題を課されてしまった。FMICSの大先輩方にお力添えをいただき宿題を仕上げたいと思う。

 「卒業成積1年終了時と関連」は、大学卒業時の成績は1年終了時の成績とほぼ一致し、入学試験の結果とは相関関係がみられないことが、東京理科大学が同大の学生を対象に実施した調査で明らかになったとのこと。担当した山本誠副学長は「特に1年の6月第1週の出欠状況が、その後の学生生活を左右する」と話している。前述の学生さん曰く「自分の学生生活は終わった」。

 ここは語呂合わせが得意な楽天の梨田昌孝監督にあやかりたいところ、9連敗のさなか報道陣に囲まれて「(新外国人の)アマダーは胸板が厚い。相手の脅威(胸囲)になってほしいね」「(西武の)高橋光成(こうな)は球は速いが全部コーナーに決まるわけではない」ベンチが明るくなり、連敗を忘れさせたとのこと。指導者としての師の一人、仰木彬さんに学んだことの一つが遊び心。「野球は勝たなくてはいけないが、プロはそれだけではいけない」と感じ、リップサービスもそうした遊び心から出ている。監督のしゃれっ気を活かして、苦しい時期の学生さんへ今日も声をかけていきたい。
(宮本 輝)

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2016年04月26日

評価を通じての能力開発

 前回、高大接続を底支えするインフラとして、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」への期待を書きました。高校教育の質の担保や学力把握の仕組みを、大学の入学試験に依存しない形で作り上げていくことが重要であると思うからです。

 この点について諸外国の高大接続を比較して見ると、ヨーロッパ諸国やその影響をうけた旧植民地諸国では、フランスのバカロレア、ドイツのアビトゥアなど、国や州レベルでの中等教育修了資格(試験)が制度化され、それがすなわち大学入学資格や選抜の指標として用いられます。近年注目される国際バカロレアも、国際バカロレアが定める教育課程(DP課程)の修了資格として制度化され、国際的に同等の機能を果たしているのです。

 一方アメリカ合衆国では、ヨーロッパ諸国のような統一的な中等教育修了資格は制度化されず、また日本・中国・韓国のような筆記試験型大学入試とも違う、独特の高大接続インフラがつくられました。SATやACTといった標準テストはその代表的なものです。志願者は大学への出願に先立って、年に複数回実施されるそれらのテストを適宜受験し、そのスコアがアドミッションオフィスによる審査の材料となるのです。

 またテストとは違う形で、志願者の学力・資質を統一的に判断できる材料として活用されているものにアドバンスト・プレイスメント(Advanced Placement=AP)という制度があります。(深堀聰子「米国における高大接続の取組─ アドバンスト・プレイスメントによる共通理解形成 ─」『IDE現代の高等教育』2016年4月号に詳しく紹介されています。)

 このAPは、大学一般教育レベルの授業科目を高校生が在籍する高校で履修するプログラムで、その授業は当該高校の教員がカレッジボード(SATの実施団体でもある)の認定を受けたシラバスに基づいて行います。この科目を履修した生徒は、高校の単位として認められるとともに、高い成績を得た場合には大学における既修単位としても認められます。また当然に入学審査の段階においても、志願者がAP科目をどのような成績で履修しているかどうかが、有力な判断材料の一つとして重視されるのです。

 なおAPの成績評価は、毎年5月に一斉実施される試験によってなされ、それは多肢選択式問題と記述式問題から構成されていますが、記述式問題の採点は、6月に所定の資格を有する高校教員と大学教員が一堂に会して実施されます。

 このように高校教員が大学教員と協働して記述試験の採点に参加する事は、それ自体が高校教員の能力開発の貴重な機会となっていると思われますが、我が国においてもこのような仕掛けを積極的に取り入れていくべきと思います。
 
(出光 直樹)

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危機感からの学び

 今も余震が続いている熊本地震は、4月14日の21時26分頃に最大震度7が観測された。さらに、その28時間後の4月16日1時25分頃には、同じく熊本県熊本地方を震源とする、再び最大震度7が観測された。気象庁は同日、後者(16日未明)の地震が本震で、前者(14日)の地震は前震であったと考えられるとする見解を発表している。

 今回の地震は、私にとっては身近なものとなっていました。それは昨年4月から、長女が熊本県八代市で教員として勤務しているのです。八代市にも2度、現地の高校訪問を兼ねて行っていました。そんな矢先に熊本で大きな地震が2度もあり、市役所が崩壊している映像などを見ると心配で仕方がありませんでした。

 熊本県や八代市に何かできることはないのか。自問自答していた時に早々に南阿蘇村と菊池市がふるさと納税の仕組みを使って、見返りのないふるさと納税のサイトを立ち上げたのを知りました。私はその情報を、市役所を建て替えると発表のあった、八代市のHPから窓口にメールしました。以下がやり取りの抜粋です。4月19日、「八代には縁があるのでふるさと納税の仕組みを使って納税させてほしいです」4月20日、「皆さまからのご厚意を無駄にしないためにも、秋草様からご紹介いただきました方法で、「災害用の緊急フォーム」というものを作成し、災害支援の方が簡単にふるさと納税ができるよう、現在検討しております」4月22日、「さて、先日のメールで御案内しておりました、ふるさと納税「災害用緊急フォーム」を作成しましたのでご連絡差し上げました。ご検討のほどよろしくお願い致します。」というように地震被害の対応などで大変な時に、私から4月19日にメールが入ってからわずか3日後には対応していただけたというスピード感ある緊急対応でした。今まで市役所の仕事は、のんびりとしていて、スピード感などないと勝手に思っていましたが、危機感がある中で対応できる八代市の職員の方々の八代市と市民を守るという気概を感じました。この時、ふと思い出したのが、真義さんが閉校した短大に出向いたときに感じたというあの言葉でした。「閉校が決まってからの教職員の団結がすごかった。もう少し早く気づいていれば閉校しなくてもよかったかもしれない」という違和感のある言葉です。

 しかし、この言葉を思い出した時に、もしかして私たちの遺伝子の中に危機感の中に、何か特別な感情が沸き起こり、今まで以上の力を発揮できるようプログラムが出来ているのではないかと思いました。大学も定員割れを起こしてからV字復活した話を耳にします。だらだらと定員すれすれの状況では、大学は大きく変えられないのかもしれないと地震から学んだ気になりました。ちなみに、すぐに八代市にふるさと納税させて頂いたことは、いうまでもありません。
(秋草 誠)

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2016年04月08日

「高等学校基礎学力テスト」への期待

 去る3月31日、文部科学省の有識者会議・高大システム改革会議が「最終報告」を出しました。教育再生実行会議の第4次提言(2013年10月)、中央教育審議会のいわゆる「高大接続改革答申」(2014年12月)、そして「高大接続改革実行プラン」(2015年1月)をうけて昨年2月に設置された同会議は、高校教育、大学教育、そして大学入学者選抜の三位一体の改革の具体案を検討し、提言をとりまとめました。

 現行の大学入試センター試験に取って代わる「大学入学希望者学力評価テスト」(まだ仮称)と、新たに導入する「高等学校基礎学力テスト」(同じく仮称)のあり方について注目が集まっていますが、両者ともに、まだまだ詰めるべき課題が山積です。

 この2つのテストに対する私の考えですが、まず「大学入学希望者学力評価テスト」については率直なところ、現行のセンター試験の廃止ありきで突っ走るべきではないと思っています。もちろん、長期的には記述式の導入などで評価できる能力の幅が広がることは良いと思いますが、個別入試で対応出来る事もあり、限りのある改革リソースの割り振り先として、優先度の高いものとは思いません。それよりも現行のセンター試験で変えるべき点は、費用対効果の悪い英語リスニングを廃止することと(その機能は必要に応じて各種検定試験で代替)、降雪等のリスクが高くその後の大学入学までの日程が窮屈な現行の1月実施を12月に早める事と思っています。

 一方「高等学校基礎学力テスト(仮称)」については、高大接続を底支えする大切なインフラとして、重点的に育てて行くべきものと思います。我が国の高大接続は、激しい進学競争の背景のもとにもっぱら大学入試の「選抜」のあり方に焦点があたり、高校教育の質担保や学力把握の仕組みそのものについては、適切な制度化や改革が伴わないままでした。

 しかし、大学入試の選抜機能だけで高大接続の諸課題を解決することは不可能であり、土台となる高校教育の質の向上には、大学入試とは別のインフラ(学力把握の仕組み)が不可欠です。

 なお提言では、2019年度から2022年度までの基礎学力テストは「試行実施期」と位置づけ、その間は大学入学者選抜(や就職)には活用しないとしています。“過度に利用された場合には、高校生活への悪影響を与えるおそれがあることも踏まえ”ての理由だそうですが、それは杞憂が過ぎるでしょう。選抜制の高い大学にとっては、選抜のツールとして直接的に活用する事は考えにくいです。しかし推薦入試などにおいて高校の成績を評価する際に、学校間の差を補正したり、学校内の成績順位は低くとも実力のある生徒を評価する指標などとして、良い形で活用出来る事を期待しています。
 
(出光 直樹)

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未知なる研究会

 先日、ガイダンス業者が主催する面白い企画に参加した。この企画の当初の案内は、埼玉県内の教員を対象にした「進路指導研究会」となっており、本学は不参加としていた。なぜ、不参加にしたかは、他のガイダンス業者が主催する同様の企画に辟易していたからである。それは、「進路指導研究会」とは名ばかりの上級学校が、高校教員に対してのPR合戦だからであった。まあ、今回の企画も同様な結果だと思い込んでいた。その後、もう一度担当者から、私に直接電話があり「ぜひ参加してください」と懇願されたので、お付き合いだと思って参加した。

 しかし、この思い込みが新たな「進路指導研究会」で見事に覆されるとは予測していなかった。会場に入ってみると高校教員16名に対して、「公務員」、「理容・美容」、「栄養・調理・製菓」、「動物」、「音楽」、「コンピュータ」、「簿記・会計」、「保育・幼児教育」の分野の学校の担当者が座っていた。「保育・幼児教育」分野以外はすべて専門学校だったのが印象的だった。             

 そこで司会者が、各学校の自己紹介の後に、高校教員が知りたい、教えてほしい質問を用意していて、すべての学校に鋭い質問を浴びせた。その質問内容は「公務員」分野では、「高卒、大卒、専門卒の違いは?採用試験の難易度、職場、役職、給料の観点から。大学の公務員コース(○○大学など)で公務員を目指す必要はあるのか?」に対して、「大学からの公務員試験は、優秀な大学の方々と勝負になるので、ただ公務員を目指すのなら高卒や専門学校から進む方法を考えさせる手もある。」また、「動物」分野では、「動物分野は就職が厳しいというが、ドッグトレーナーは特に厳しいと聞く。ドッグトレーナーを目指す場合、就職や職場の状況は?また目指している生徒がいた場合、その厳しさの伝え方や諦めさせ方は?」という質問に、「はっきり言ってドッグトレーナーはそんなに簡単なものではない。私に相談があった場合は、危険性が高いのであきらめた方がいいと答える。」など、誰もが興味を示す質問に真摯に応える研究会であった。この冒頭の勢いのまま進んだ研究会は、質疑応答が活発に行われ有意義な時間があっという間に過ぎた。進路担当の教員にとっては、聞きたいけれどなかなか言い出せない質問だったと思う。この質問にしっかりと受け応えた、当該学校の方々は本当にあっ晴れだった。

 終了後は、司会を担当した二人の業者に賞賛を称え、次回の開催を期待していると伝えた。結局は当初のうがった見方を覆された気持ちのいい研究会となっていた。同時に今後は学校選びを本音で語り合える「場」を創って欲しいと願うばかりであった。しかし、内心は本音で語ってもいいのかという学校も多いことも承知しているので、ここは早急に学生のための大学改革を進めていただきたいと切に願うばかりである。
(秋草 誠)

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2016年03月03日

2016年度「大学アドミッション」のご案内

 昨年に引き続き、桜美林大学の大学院 大学アドミニストレーション研究科(修士課程・通学制)にて、私が担当している授業科目「大学アドミッション」のご案内をいたします。

 この授業科目は2014年度に新設され、今回で3年目となります。4月〜7月の春学期に都心(千駄ヶ谷)のキャンパスで開講しますが、遠隔地の方の履修の便を図りつつ、また受講者による課題報告とディスカッションを重視した授業展開も意図して、毎週ではなく月に1回の間隔で日曜日に集中開講します。

 昨年は14名の履修者数。遠くは沖縄や富山、愛知からもお越し頂き、様々な大学の興味深い事例報告とともに、活発なディスカッションが展開されました。

 2016年度の日程は4月17日、5月15日、6月19日、7月17日の4日間で、時間はいずれも10時〜17時(昼休み含む)です。2単位という限られた時間数の中、以下のようにシラバスを組み立てていますが、3年目の今年は少し変更を加えています。

 初回は私による包括的なレクチャーで、「入学者選抜と高大接続をめぐる課題」を整理します。もちろんこの段階でも答申等の各種資料について事前に目を通して来てもらいます。

 2回目は「入学者選抜制度運用の実際」を実例を用いて検討すべく、最初の課題報告として自身の関係する大学等における具体的な入学者選抜制度を取り上げて、その特色や課題を報告します。

 3回目は「学生の目から見た大学選び」を検討すべく、2つ目の課題報告として、事前に3名以上の学生に対してインタビュー調査を行い、入学前の大学選びに関する意識や行動、受験のプロセス、大学入学後の適応などについてまとめ、報告します。

 4回目は、昨年までのエクセル演習に替わる内容となりますが、「広報活動の課題」を探るべく、関係者へのインタビューを含めた広報活動の実例を報告してもらう予定です。

 期末(8月上旬)には授業全体の学びを振り返るレポートを提出してもらい、各回の課題報告内容等を含めて成績評価を行います。

 この科目は、桜美林大学の正規の大学院生としてでなくとも、大卒やそれに準ずる学歴のある方であれば、科目等履修生(単位認定あり)や聴講生(単位認定無し)として、どなたでも履修する事が出来ます。入試広報部門の大学職員の方はもちろん、大学の入試広報や高大接続の課題に関心と何らかの接点をお持ちであれば、それ以外の部門や、大学以外の機関に所属されている皆様も歓迎いたします。

 科目等履修生や聴講生への出願締切は3月31日(木)必着。詳細なシラバスや手続きの詳細等は私のブログにてご案内します。
 
(出光 直樹)

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繁盛する理由

 私の住んでいる街は、志村けんで有名な東村山市です。隣は埼玉県なので東京の端っこにある街です。そんな街にある小さな「うなぎ屋」の話をします。このお店は駅から歩いて、7〜8分くらいに位置していて、決して立地のいいお店というわけではありません。10年くらい前に開店したので、老舗というわけでもありません。愛想の良い笑顔の絶えないおかみさんと几帳面な感じの職人気質のおやじさんと二人で、満席になると27名のお店を切り盛りしています。メニューも豊富でリーズナブルな価格帯なので、遠方の方も来店するお店です。このお店が予約をしないと入れないくらい繁盛している「うなぎ屋」なのです。

 多くのお客さんが帰り際に口にする言葉があります。それが「美味しかったよ。ありがとうね」です。お客さんから、気持ちのいいくらいに帰り際に聞こえてくるこの言葉が心地よくて、私が予約する時は出入り口近くの席をお願いします。このおかみさんの配慮がすごくて、見ていて大変勉強になります。座敷は4人席が3つあるのですが、すべて満席にしてしまうと少し空間が窮屈になるので、予約時に調整して3人、2人、4人くらいの感じで座らせています。常にお客さんのことを考えて、予約を取っているのでギュウギュウの席は作らないといっていました。開店当時は出前にも対応していたようですが、来店するお客さんに満足していただけるように、数年前から出前はしていないといっていました。

 私は東村山に移り住んで16年目になりますが、その間に数多くのお店が開店して閉店する様をたくさん見てきました。当初、この「うなぎ屋」も継続するのかという気持ちで入店してみたのですが、今では心地よい空間に魅せられて、沢山の友人に紹介もして行きたいお店の一つになっています。

 先日、このお店のおかみさんから、またしても魅力ある言葉を聞いてしまいました。それは、以前おかみさんが私に「どんなうなぎが好きですか?」という質問を受け、「あまり脂がのっていないうなぎが好きだ」と答えたのを覚えていて、私の予約時にはその日に入荷したうなぎの中でも、私好みのうなぎを取っておくという話だったのです。行くたびに感じていた、私好みのうなぎはこうして出されていたのでした。ここまでされているとはつゆ知らず、「美味しい」と感じて通っていたのです。多くの常連さんが感じる「美味しかったよ。ありがとう」の言葉は、このひとり一人のニーズを探り当て対応してきた賜物だったのです。繁盛する店の素敵な理由を見つけた瞬間です。

 ふと大学も同じ対応が求められる時代が来るのではないか。ひとり一人を大切にして、ニーズを探り卒業時に、「先生ありがとう。この大学で本当に良かった」といわれるくらいの大学を目指したいと東村山の「うなぎ屋」から学びました。
(秋草 誠)

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2016年01月26日

センター試験で24泊25日

 小笠原村議会議員・一木重夫さんの表題のブログ記事が、反響を呼んでいます。

 東京都の離島・小笠原村には生徒数50人弱の小笠原高校がありますが、センター試験の受験会場は島内に設定されていないため、受験のためには定期船で本土に出向かなければなりません。しかし、毎年この時期は定期船の定期検査があり、約20日間も定期船が父島から出港せず、そのためセンター試験を受験する受験生は、このような長期間の外泊を強いられるとの事です。

 定期船はこの時期がもっとも利用が少ないらしく定期検査の日程変更は難しいようですし、センター試験の会場設置にしても、人数の少なさとともに距離の遠さからも、難しいようです。

 一木さんのブログ記事が掲載されたのは1/12(火)。早々に注目を浴びたらしく、センター試験前日の1/15(金)の段階で「大反響12000件超え・センター試験で24泊25日」と報告されています。

 私がこのブログに気づいたのはセンター試験が終わって3日過ぎた1/20(水)の夜。忙殺された業務も一段落したころでした。この記事を見て最初に感じたのは、新テストに向けてのICT活用が声高に検討されているにもかかわらず、こうした離島の受験生のハンデの問題が省みられていないことや、私自身も思いもよらずにいたことに、大学人の端くれとして愕然とする思いでした。

 センター試験は、リスニングの導入や、地歴公民や理科における2科目選択方式の導入など、年々複雑化してきましたが、費用対効果の疑わしい小手先の仕組みを導入していく前に、地域的な受験機会や環境格差の解消を優先することが、教育インフラとして国家規模で実施する共通試験のあるべき姿ではないかと、長年現場にかかわる人間として強く思います。

 この問題についてはその後、大学ジャーナリストの石渡嶺司さんが「センター試験で24泊25日!〜離島高校生の受験格差を考える」(1/23付)、「小笠原高校生徒の『センター試験24泊25日』はどうすればいい?」(1/24付)と、Yahoo!ニュースに取り上げてくれた事もあり、より広く注目されているようです。

 ネットによる現場からの発信の可能性を感じさせる問題提起ですが、一木さんのプロフィールを見て、別の観点からも、なるほどと思いました。一木さんは小笠原の出身ではなく、千葉に生まれ東京や神奈川で育ち、北海道大学で水産学を学び海藻研究で博士号を取得されてから小笠原に移住しています。やはり外からの視点と学識の経験が、地域の課題解決に向けた活動の支えになられているような気がするのです。
(出光 直樹)


【2017/1/17 追記】
その後の動きを記した石渡さん、一木さんの記事です。

2016/2/10 「センター試験24泊25日」を変えたい!〜一木重夫・小笠原村議インタビュー(石渡嶺司) - Y!ニュース

2016/6/17 センター試験・24泊25日から9泊10日へ - 小笠原村議会議員 一木重夫の政治日記 - Yahoo!ブログ

2016/12/2 センター試験会場・全国から選べるように - 小笠原村議会議員 一木重夫の政治日記 - Yahoo!ブログ

2017/1/13 「センター試験24泊25日」は「9泊10日」へ〜一木重夫・小笠原村議インタビュー再び(石渡嶺司) - Y!ニュース


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