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FMICS BIG EGG NETWORK 2000.9
高等教育問題研究会(まずはじめよう会)
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ちょっとした対応で・・・
東京都は今年2月、都職員に「訴訟費用保険」を導入した。個人
が職務に関して訴訟を起こされた場合、弁護士費用や賠償金を補
償する保険である。例えば補助金交付に関し職員が問われた訴訟
や学校で生徒がけがをしたような場合の教職員への損害賠償訴訟
請求などを想定している。主に管理職や病院・学校職員などが加入
しているという。
行政の誤った処分・指導や管理責任を厳しく問うという住民の意
識の変化に加え、情報公開により証拠書類が入手しやすくなるなど
環境が変わったことも一因であろう。行政への監視が強まってきて
おり、行政側も訴訟に対する自己防衛策が必要になってきたといえ
る。
最近、医療事故に関する報道が多くなっているが、医療訴訟につ
いて興味深い話がある。
米国での事例・数字である。東海大学の市川家國教授によると、
受けた医療が不満で患者が訴訟を起こそうとするのが不必要に多
いという。実際に病院側にミスがあって訴訟や示談に至るというも
のは、そのうちの15%。残りの85%はもともと根拠もないから結
局は訴訟、示談には至らない。それでも弁護士を通じて不満患者
に対応していかねばならないから経費がかかる。
医療訴訟での示談金や敗訴の際の賠償金は、医師らが加入す
る医療過誤保険の保険料となるが、前記の85%の対応について
は、病院の直接的経費となる。これが、病院がリスクマネジメント
(訴訟の危険がある際の対応)に教育を注ぐ背景である。そして、
医師に対するリスクマネジメントの講習会では訴訟を避けるため
に次のことが強調されている。
@患者の心配事を親身になって対応すること。
A悪いニュースも必ず伝えること。
B患者側の誤解は必ず指摘しておくこと。
C医療に関して不明で、即座に返事ができない時は、正直にそ
の旨伝えること。 *『三田評論』2000.2No.1021から引用
「訴訟社会」といわれる米国ならではの話かもしれない。しかし、
学ぶべき点は多い。訴訟に対する保険での自己防衛だけでなく、
85%という数字がもたらす意味と組織への影響、そして対応策。
すべては一人の人間のほんの一言、一瞬の行動に起因する。市
川先生はさらに「常識と誠意だけでは現在の問題の解決とならな
い。患者の訴えは積極的に奨励し、総ての訴えに対応する姿勢
を示すこと」と指摘する。
相手の立場を尊重する対応が強く求められている。言動のち
ょっとした注意と工夫が個人を、そして組織を守ることにもつな
がる。 (菊池 裕明)
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F M I C S 9 月 例 会 ( 第393回例会 )
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●FMICSでは、激動する高等教育界を考えるために、審議会答
申を読みこなそうという企画をシリーズ化しました。第1回目(H
11.12)は、西田亀久夫先生に「中教審46答申」を中心にして教
育答申の読み方についてお話いただきました。第2回目(H12.2)
は、多摩大学教授の山岸駿介さんにジャーナリストの目から見た
「大学審議会答申」について語っていただきました。第3回目(H12.
5)は、国立学校財務センターの鳥居聖さんと進研アドの足立寛さ
んに大学審議会答申「大学入試の改善について」を中心に、超競
争時代の大学入試改革とその改革が高校教育の現場をいかに変
えていくかについての検証をしていただきました。第4回目となるこ
の6月例会では、鳥居さんと足立さんに再度ご登場いただき、テー
マを「AO入試」に絞り、その課題と展望について、それぞれ官と民
の立場から報告をしていただきました。●そして、シリーズ第5回
目となる9月例会にご登場いただくゲストは、文部省生涯学習局
長退官後、拓殖大学副学長に就任された草原克豪さんです。
「答申を読む」ということでお話をお願いしましたところ「激変して
いるんだから、大きな視点から高等教育の明日を語りましょう」と
提案いただき、テーマが決まりました。「私の高等教育に対する座
標軸は、文部省にいようと、私学の人間になろうと変わりようがな
い」ともおっしゃられました。●激動する高等教育界を知らず知ら
ずの内に近視眼的に見てしまいがちな私たちの目から、鱗が沢山
落ちるものと確信いたします。1時間ほどのお話の後は、FMICS
らしく全員参加のワイワイガヤガヤディスカッションにより問題点を
更に深めていきます。皆さまにはお仲間をお誘いの上ご参加くだ
さい。
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プロフィール
草原克豪(くさはらかつひで)
拓殖大学副学長、拓殖大学北海道短期大学学長
昭和16年北海道生まれ。41年東京大学教養学部卒業。42年
文部省に入省。コーネル大学留学、ユネスコ本部勤務を経て、学術
国際局国際学術課長、高等教育局専門教育課長、医学教育課長、
企画課長、大臣官房人事課長、高等教育局担当審議官、生涯学習
局長を歴任。平成9年7月に退官し、現職に就任。
■日 時 平成12年9月30日(土) 午後3時〜6時
■会 場 工学院大学・新宿キャンパス28階第4会議室
■プログラム
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大学改革の進展と今後の課題
日本の大学改革のどこに問題があるのか
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■発 表 者 拓殖大学副学長・拓殖大学北海道短期大学学長
草原 克豪
■参 加 費 会 員 1000円
学 生 500円
非会員 1500円
■申 込 先 9月29日(金)までにお申し込み下さい。
出 光 直 樹 PHS 070-5714-3553
E-mail idemitsu@obirin.ac.jp
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Y F N 9 月 例 会 ( 第392回例会 )
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●昨年YFN例会で発表する機会が縁で、FMICSネットワークが取り
持ち出版社が決まり、見事日本初の日アラビア語辞典を出版するこ
とになった聖徳学園職員田中氏が今回、YFNメンバーや岐阜聖徳
学園大学教職員のささやかな応援もあり、日本アラブ未来協会を発
足し、来る9月10日に発足記念日本アラブ交流の夕べを開催する
ことになりました。●田中さんは全共闘時代の申し子で、九州大学
農学部の委員長として奮闘し、青春の大半を過ごし、大学退学後、
東洋と西洋のどちらにも属さず独自の文化を誇るアラブ地方を放浪
し、病み付きになり、その後毎年、数ヶ月あるいは数週間を過ごし、
民間の草の根交流を実践し、現在にいたっておられます。その間、
アラブからの留学生の生活援助や日本語指導をボランティアで実
践し続け、心強い里親として、岐大大学院留学生の間では、田中
先生と言えば知らない者はいないくらいの存在です。●田中さんの
草の根交流の集大成として、日本アラブ未来協会を立ち上げ記念
すべき第一回交流の夕べをYFNメンバーもスタッフとして参画し、応
援しお祝いすることになりました。皆さまには奮ってご参加下さい。
■日 時 平成12年9月10日(日) 午後4時〜7時
■会 場 岐阜市雄総柳町・環境設計コンセプト
■テ ー マ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
日本アラビア未来協会設立記念
日 本 ア ラ ブ 交 流 の 夕 べ
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■プログラム 講演会
「日本ーアラブ市民交流の可能性」
聖徳学園職員 田中 博 一
「アラブ人留学生の日本体験記」
岐阜大学大学院生 ムハメド・アリ
ビデオ報告会
「ガザ、エルサレム、パレスチナ
1998〜2000」
アラブの詩の朗読
ビデオ映画「3つの宝石の物語」
■参 加 費 500円
■申 込 先 YFN事務局 林 憲和
500-8015 岐阜市松山町2−5
TEL・FAX 058−263−2315
E-mail nhayashi@ha.shotoku.ac.jp
まで直接お申込ください。
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FMICS SD(スタッフディベロップメント) 109
いっしょに読もう『教育答申』 −12−
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FMICS Staff Development 略して 「SD」は、月例会とは別に、原則
として第3週の水曜の夜に開催されている勉強会です。超競争時代を
したたかに活き抜くためにも、大学人一人ひとりの努力を束ねる場を
ご案内いたします。
(1)メディアチェック
あなたのアンテナが何かを感じた新聞・雑誌等の教育&経済トピ
ックスを、切り抜いて持ちよりディスカッションします。トピックスは厳
選して1件、A4縦判にコピー(15枚程度)して、氏名と簡単なMEMO
を付してご持参ください。
各自5分間程度のコメントをしていただきます。
(2)テーマを定めた継続的な勉強会
1997年度は国立教育研究所編『日本近代教育百年史』を、1998
年度は工学院大学と拓殖大学の沿革史を、1999年度前半は『戦後
の大学論』を読み進めてきました。そして、1999年度後半からは、ぐ
っと現代に近づきました。戦後の大学政策に関するもっとも包括的な
基本文献として黒羽亮一先生の『戦後大学政策の展開』を座右の書と
して、中教審、臨教審、そして大学審等の「答申」をただいま読み込み
中です。
■日 時 平成12年9月20日(水)午後6時30分〜9時
■会 場 工学院大学・新宿キャンパス
高層棟27階2710ゼミ室
*会場変更の場合は、ゼミ室前に掲示します。
■テ ー マ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
21世紀の大学の原理原則を探る
戦後の大学政策を読み解く −12−
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■コーディネーター 桜美林大学大学教育研究所研究員 出光直樹
■テキスト 『戦後大学政策の展開』黒羽亮一 玉川大学出版部
■申 込 先 出 光 直 樹 PHS 050-714-3553
Eメール idemitsu@obirin.ac.jp
*今後の日程 平成12年10月18日(水)
平成12年11月15日(水)
平成12年12月13日(水)
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速 報 10月のFMICS &世田谷学園ジョイントシ ン ポ ジ ウ ム
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●今年も世田谷学園との学園祭ジョイントシンポジウムを開催します。
3回目となる今回は、中学生が企画の主役です。事前に大学を訪問し
てもらい、ありのままの感想や率直な疑問を語ってもらいます。彼らが
大学生になっている6年後とその未来を見据え、FMICSからのエール
を送ります。FMICSならではの新しい企画です。中高生のお子さんを
お持ちのFMICS人には、是非ともご一緒に親子でご参加ください。
●詳細は10月号をご覧下さい。
■日 時 平成12年10月28日(土) 午後2時30分〜4時
*シンポ終了後、1時間程度の歓談会をおこないます。
■会 場 世田谷学園中学校高等学校
世田谷区三宿1-16-31
■テーマ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
FMICS&世田谷学園シンポジウム −3−
中学生から見た6年後の自分 そしてその未来
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大学経営人材の養成をめざして
第二回筑波大学大学研究センター 短期集中公開研究会のご案内
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筑波大学大学センターの大学の経営・管理・運営の任にあたっておら
れる方々や大学のマネージメントに関心ある方々を対象とする「大学経
営人材に関する第二回短期集中公開研究会」のご案内です。
この6月15日から手探りでスタートしました第一回研究会は、心ならず
も参加者の数を制限せざるを得ないほどの盛況でした。
本公開研究会は、現職として活躍中の方々の受講の便宜を図るため、
原則として夜間に開催し、また一つのテーマについて2〜3ヶ月程度の
短期間に集中して連続実施することを特色としています。このような研究
会を通じて、関係者の認識を高めるとともに、他大学の意欲的な取り組
みを加速することも一つのねらいと考えています。
第二回目の研究会は、10月5日(木)の説明会に始まり、10月12日
から11月16日までいずれも木曜日の午後6時30分〜8時30分に、
筑波大学の東京キャンパス(文京区大塚3-29-1)で行います。講師は、
山岸駿介多摩大学教授をはじめ、文部省・国立大学・私立大学の第一線
で活躍中の専門家のご協力をいただくことにしています。
参加資格には、制限はありませんが、単なる講演会・講習会ではなく、
参加交流型の研究会を目指しておりますので、FMICSメンバーの方々
の積極的な、そして継続的なご参加を望みます。
筑波大学大学研究センター長 山本 眞一
■問い合わせ・参加申し込み先
syamamot@sakura.cc.tsukuba.ac.jp
TEL 03-3942-6304, 6307
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平成12年度大学入学広報セミナーのご案内
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大学入試センターからのご案内です。国公私立大学の入学広報担
当者に、大学における情報提供の必要性をご理解いただき,進学志
望者や高等学校の進路指導にとって役立つよう、情報提供の一層の
質的向上を図ることを目的として『大学入学広報セミナー』を開催
いたします。
●主 催 大学入試センター
●期 日 平成11年9月28日(木)
午前10時30分〜午後4時
●会 場 有楽町朝日ホール
●プログラム
10:00〜10:30 受 付
10:30〜10:40 開会挨拶
10:40〜12:00 講 演
「大学の個性化」−「教師中心の大学」
から「学生本位の大学」へ−
喜多村 和之 私学高等教育研究所主幹
13:00〜16:00 シンポジウム
「アドミッション・ポリシーの明確化と広報の課題」
−AO入試の実践を踏まえて−
武谷 峻一 九州大学アドミッションセンター教授
二村 重博 同志社大学入試センター所長
兼アドミッションズオフィス所長 商学部教授
山本 和彦 千葉県立佐倉高等学校教諭
西川 高志 愛知県立旭丘高等学校教諭
小野 博 大学入試センター研究開発部
特別試験研究部門教授
〔司会〕早川 信夫 日本放送協会解説委員
●参加募集対象 国公私立大学の入学広報担当者(教員・事務職員)
●申し込み・問い合せ先 大学入試センター管理部進学情報課
п@03-3468-3311(代表)
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2000.10 BIG EGGの発送
10月11日(水)6時〜
恵比寿・日能研ビル6階
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メールアドレスの公開を承認される会員
または、アドレスを変更された会員は、
岡村 浩 okamura@cc.kogakuin.ac.jp
まで、メールをお願いいたします。
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会 員 募 集 中
出 光 直 樹 idemitsu@obirin.ac.jp
PHS 070-5714-3553
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◆◆◆ 高 等 教 育 問 題 研 究 会 ◆◆◆
150-0021 渋谷区恵比寿西2-3-14